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[ 書店について ]

書店数 減少ランキング 都道府県別 直近 5年間 比較  寄稿:冬狐洞 隆也 氏

直近 5年間(2014年と 2009年)で、書店数はどれくらい減少したのか。都道府県別に書店数の減少ランキングを紹介したい。
 

順位
県名
2014年
書店数
2009年
書店数
5年間の
減少数
1位
東京
1,496
1,675
▲179
2位
大阪
868
1,036
▲168
3位
兵庫
509
610
▲101
4位
愛知
713
791
▲78
5位
京都
365
442
▲77
6位
埼玉
643
716
▲73
7位
神奈川
731
803
▲72
8位
北海道
645
715
▲70
9位
千葉
591
652
▲61
10位
和歌山
131
184
▲53
11位
奈良
137
180
▲43
12位
静岡
355
392
▲40
13位
茨城
285
321
▲36
14位
岡山
225
258
▲33
15位
新潟
283
31
▲32

※日販経営支援チーム調べ 2014年3月31日現在
※店舗数は新刊書籍・雑誌の売場を持っている店舗を集計。


書店数の減少は大都市ほど多い。1店舗の平均坪数は増えているが、実際、全てが出版物の展示ではない。つまり、書籍や雑誌以外の商品も含めた坪数だ。この表に出ている減少数は、ほとんどが中小の零細書店になる。


県人口 100万人以下の 書店数 5年間の 減少数

県名
人口(千人)
2014年の
書店数
5年間の
減少数
※2009年比較
香川
980
172
▲19
和歌山
970
131
▲53
山梨
840
107
▲8
佐賀
835
68
▲4
福井
789
119
▲9
徳島
763
92
▲14
高知
737
107
▲4
島根
697
81
▲1
鳥取
574
79
▲4

※日販経営支援チーム調べ


人口の少ない県で、書店経営は成り立つのか

100万人以下の県は和歌山県を除いて 5年間でそれほど書店は減っていない。これ以上、人口的に見て減ることはないと考える。対して、老齢人口だけは増える。


人口 100万人以下の県の内、生産年齢人口は香川・和歌山・山梨県以外は 50万人を切っている。2020年の将来推計人口を見ても人口減少は微減。 65歳以上の老人人口は増え続ける。一方で、子供の数が減り続けることを考えると、地域の書店がこのまま経営が成り立つかは疑問。


公立学校の合併にも必然性が出てくるし、教科書の配布部数も減り、学習塾・予備校の経営も県人口 100万人以下では県外に逃げ出すしかないであろう。


数字を掲載していないが、問題は公共図書館。 1998年をピークにして図書購入費は右肩下がりで、図書購入予算が 2000万円未満の図書館が 75%も占め、複本を購入できていない図書館もかなりの館数になる。


地方行政の財政難から一番先に予算を切られるのが図書購入費であることは周知の事実。知っていても知らんふりが出版業界の特質。


財政難であるから専門的な司書が不在のまま地域の特色のない金太郎飴のような図書館が全国に増殖し続けている。この実態は一部の関係者しかわからないであろう。このままでは学校図書館も公立図書館も 10年後は廃館が続出し、出版社の納入部数も減少するのを覚悟した方が良い。


出版社・書店が図書館の複本を問題視しているが実態を知らないで、お門違いな発言をよく聞く。図書購入費が不足しているならブックオフで新古本購入するのも選択肢の一つと提案する。しかし、それは図書館流通センター(TRC)が許さないだろう。


図書館の蔵書を見ていると古書店の在庫よりも、汚いボロボロのひどい在庫がある。今後、図書館は新刊だけでなく新古本購入も必要ではないか。これが住民サービスにつながると考える。

寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏