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2005年から2014年における図書館数と図書館の貸出冊数はどう推移しているか。そして、書店数と書籍販売部数の移り変わりを合わせて紹介したい。
年 |
公立図書館 |
個人貸出冊数 (万冊) |
書店数 |
書籍販売部数 (万冊) |
2005 |
2,953 |
61,696 |
17,153 |
73,944 |
2006 |
3,082 |
61,826 |
15,823 |
75,519 |
2007 |
3,111 |
64,086 |
15,361 |
75,542 |
2008 |
3,126 |
65,656 |
14,821 |
75,126 |
2009 |
3,164 |
69,168 |
14,407 |
71,781 |
2010 |
3,188 |
71,172 |
13,949 |
70,233 |
2011 |
3,210 |
71,618 |
13,603 |
70,013 |
2012 |
3,234 |
71,497 |
13,321 |
68,790 |
2013 |
3,248 |
71,149 |
13,107 |
67,738 |
2014 |
3,246 |
69,527 |
- |
64,461 |
※公共図書館数・個人貸出冊数は日本図書館協会調べ
※書店数は日販・書店経営支援チーム調査。新刊書籍・雑誌の売場を持っている店舗だけを集計。
※書籍販売部数は出版科学研究所調査。
図書館も地方行政の財源不足と生産年齢人口減少から図書館を運営・維持するのに苦労している。原因は地域間格差の悪化。首都圏に住んでいては理解できないが、想像以上に地方は疲弊している。
個人貸出冊数の減少も新刊書籍を財源不足から購入できず、(図書購入費 2,000万円以下の図書館が 70%を占める)館内にある書籍が古いため住民から見放される傾向が出てきたようである。
貸出冊数のピークは2011年。その後は貸出冊数も減少している。書籍の販売部数より図書館の個人貸出冊数が多くなった理由は、読者が買ってまで読みたい本が少なくなったことの表れ。文庫も新書も単行本のリメイクかインターネット情報の丸写しばかりと見受けられる。過去の本を読みたければブックオフで十分。
一方、書店数も中小零細書店を中心に減少が続き 1万店以下になることも視野に入ってくる。2014年の書店数は発表されていないが、恐らく 13,000書店以下になっていると見る。書籍の販売部数の中には文庫・新書の部数も入っている。単行本の販売部数が減少しているのは、団塊世代の退職の影響が大きい。
生産年齢の人口減・少子化・出版物に対する無関心等、外的要因が主要因となっている。あのブックオフでさえ直営店は書籍から中古の衣料品・スポーツ用品・貴金属・中古携帯電話の販売に方向を転換しつつある。
出版社の廃業も後を絶たない。日本の出版社は約 3,500社あるが上位 500社で売上 90.8%の占有。後の 3,000社は零細出版社と言われても仕方のない売上。10年前は 4,260社あったから760社が無くなったということ。出版社も最近は二極化しており、成績の良い企業と悪い企業がハッキリしている。
この先、電子書籍というクジラに呑みこまれるかどうかは分からない。しかし、紙の出版物が衰退していくことは間違いないだろう。
これまで電子書籍サービスを利用した経験がない人は全体の74%。現在、たまに利用している人は 14%。サービスを利用している人が最も頻繁に読むコンテンツは、電子コミックが 50%となっている。(日経産業地域研究所調べ)
スマートフォンで電子コミックを読むのが精一杯で専用端末機は 10%しか拡大していない現状からみると電子書籍関係者よりも消費者の方が賢いと思う。逆立ちしても電子書籍は拡大するのに今後 10年は掛かると見ている。その後に厭でも電子図書館が待ち構えているのである。
現在の中高生 51万 1千人がネット依存症になっていることが、厚生労働省の調査で判明した。この人達は将来も本を読むことはないだろうと確信しているが、その後の生徒たちは全てタブレットによる電子教科書と電子黒板・プロジェクターで勉強すると考える。
その時、地方の老舗書店に教科書配給の手数料は入らず、参考書も電子参考書になっている可能性もあり、地方の老舗書店も廃業は避けられない。
今後10年間は、紙の出版物と電子情報コンテンツの端境期となり、紙の出版物の売上は期待できない。それでも電子情報コンテンツも紙の出版物の補完は出来ないと確信する。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏
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