このウェブサイトにおけるページは、書籍『未来は言葉でつくられる 突破する1行の戦略』(細田 高広 著、ダイヤモンド社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・「時代」を発明した言葉
1 一〇年以内に、人類を月に送り込む。 (ジョン・F・ケネディ) 44
2 貧困は、博物館へ。 (ムハマド・ユヌス) 48
3 女のからだを自由にする。 (ココ・シャネル) 52
4 世界はひとつの教室になる。 (サルマン・カーン) 56
5 すべてのデスクと、すべての家庭にコンピュータを。 (ビル・ゲイツ) 60
6 誰もが編集できる百科事典 (ジミ・ウェルズ) 64
7 美容を新しいアートにする。 (ヴィダル・サスーン) 68
8 摩天楼は小さすぎる。 (ル・コルビュジエ) 72
9 メイド・イン・ジャパンは粗悪品、というイメージを変える会社になる。 (盛田昭夫) 76
10 世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする。 (グーグル) 80
・「組織」を発明した言葉
11 自由闊達にして愉快なる理想工場 (井深大) 86
12 まねされる商品をつくれ。 (早川徳次) 90
13 世の中の体温をあげる。 (遠山正道) 94
14 GIVE A GOOD IMAGE (FCバルセロナ) 98
15 一台少なくつくれ。 (エンツォ・フェラーリ) 102
16 地上でいちばん幸せな場所 (ウォルト・ディズニー) 106
17 子どもと一緒に成長する美術館 (金沢21世紀美術館) 110
18 僕たちはエンジニアじゃなくてアーティストなんだ。 (スティーブ・ジョブズ) 114
19 株主は、地球だ。 (イヴァン・シュナイード) 118
20 無印商品 (良品計画) 122
「商品・サービス」を発明した言葉
21 ポケットに入るラジオをつくれ。 (「トランジスタ・ラジオ」井深大・盛田昭夫) 128
22 電池のいらないラジオ (「手回し充電式ラジオ」トレヴァー・ベイリス) 132
23 通過する駅から、集う駅へ。 (「エキュート」JR東日本) 136
24 形態展示から、行動展示へ。 (旭山動物園) 140
25 ATMのように手軽にクルマが使える世の中に。 (「ジップカー」ロビン・チェイス) 144
26 一〇〇〇曲をポケットに。 (「iPod」アップル) 148
27 すべての書籍を、六〇秒以内に手に入るようにする。 (「キンドル」アマゾン) 152
28 家族全員に触ってもらえるゲーム。 (「wii」任天堂) 156
29 第三の場所 (「スターバックス」ハワード・シュルツ) 160
30 世界旅行も、宇宙旅行で。 (ヴァージンギャラクティック) 164
・心理学者のヴィゴツキーは、人は語彙を増やすことで対人的コミュニケーション能力だけでなく、内面における思考能力を高めていると考えました。そして外側に向かう言葉を「外言」、内側で思考の道具となる言葉を、「内言」と呼んで区別したのです。
・ディズニーランドをつくった言葉(中略)
スタッフのことを、アルバイトともホストとも呼びません。彼らは代わりに「キャスト」と呼ばれています。その言葉には、訪れるゲストをもてなすだけでなく、楽しませて魅了する「役者」であれ、というメッセージが込められています。
・ビジョンとは、「見えるもの」ではなく、「見たいもの」。「未来予測」ではなく、「未来意思」。アラン・ケイの言葉を借りれば、「未来を予測するのではなく、つくりだす人」こそが、ビジョナリーと言えるでしょう。
・02 貧困は、博物館へ。ムハマド・ユヌス (中略)
飢饉のときのような惨状はもう二度と見たくないと考えるユヌスは、「二〇三〇年までに、貧困博物館をつくる」と語っています。そして、貧困を世界中でその場所しか見られないものにすると言うのです。
・03 女のからだを自由にする。 ココ・シャネル(中略)
シャネルはコルセットを「女性を縛り付ける不自由なもの」とみなし、ファッションから追放してしまいます。さらに当時、馬の調教師たちの服に使われていたジャージー素材を使って女性用のドレスをつくりました。足さびきが良いようにと、裾をふくらはぎまでカットしてしまったのも、当時は斬新なことでした。
・03 女のからだを自由にする。 ココ・シャネル(中略)
たとえば、ジョルダーバッグ。女性の両手を自由にするために考案されたものです。そして、ルップステック。働く女性が外出先でも化粧直しができるようにと、口紅を形態できるカタチに変えたのでした。
・03 女のからだを自由にする。 ココ・シャネル(中略)
今でこそ当たり前のアクセサリーも、シャネルから始まったものです。そこにも、ファッションを財力から切り離すという狙いがありました。財力とはすなわち、当時の男性たちのことに他なりません。アクセサリーとは、男性から自由になるための道具だったのです。
・10 世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする。 グーグル(中略)
すっきりとしてセンスのいいトップ画面にしても、もともとはデザイナーに払うお金がなかっためにシンプルにせざるえをえなかったという理由から始まっています。
・グーグルのビジョンを支える行動指針(中略)
(1)ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
(2)1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
(3)遅いより速いほうがいい。
(4)ウェブでも民主主義は機能する。
(5)情報を探したくなるのはPCの前にいるときだけではない。
(6)悪事を働かなくてもお金は稼げる。
(7)世の中にはまだまだ情報があふれている。
(8)情報のニーズはすべての国境を超える。
(9)スーツがなくても真剣に仕事はできる。
(10)「すばらしい」では足りない。
・11 自由闊達にして愉快なる理想工場 井深大 (ソニー創業者)(中略)
経営方針には、儲け主義を廃すること、いたずらに規模を追わないこと、従業員は実力本位、人格主義の上に置き、個人の能力を最大限に発揮することなどが記されました。自由でフラットな組織を思い描いていたことがわかります。
・12 まねされる商品をつくれ。 早川徳次 (シャープ創業者)(中略)
いつも他がまねてくれるような商品を出すよう心がけていれば、企業は安定して成長していく。まねが競争を生み、技術を上げ、社会の発展になっていく。ただ先発メーカーは常にあとから追いかけられているわけだから、すぐに次を考えねばならぬし、勉強を怠ってはならない。
・14 GIVE A GOOD IMAGE FCバルセロナ(中略)
選手たちは勝つだけではなく、芸術的なプレーをすることが求められているのです。ファンたちも、たとえ勝利したとしても、美しくなければ容赦なくブーイングを送ります。
美しく勝利する現在のプレースタイルの基礎をつくったのは、一九八八年に監督に就任したオランダ人のヨハン・クライフでした。
・15 一台少なくつくれ。 エンツォ・フェラーリ (フェラーリ創業者) (中略)
創業者のエンツォ・フェラーリは、「需要より、一台少なくつくれ」と常々口にしていました。それはやがて社風となり、社員の考え方となり、大事な戦略となりました。
・16 地上でいちばん幸せな場所 ウォルト・ディズニー(中略)
まず、重要となるのが敷地です。ディズニーは「パークにいるあいだ中、お客様には現実の世界と思ってほしくない。まったく別の世界にいると思ってほしいんだ」と繰り返し語っています。パークを現実から切り離すために、パークの周辺には土盛りをほどこし、外と中を遮断しました。従業員のスペースやショーのキャストを運ぶトンネルも巧妙に森や茂みに隠れるようにつくられています。
・17 子どもと一緒に成長する美術館 金沢21世紀美術館(中略)
開館に合わせて行われたミュージム・クルーズ・プロジェクトでは数千万円の予算をつけ、なんと市内の三万八〇〇〇人の小中学生を無料で招待したのです。
このとき子どもたちに配った冊子には「もう一回券」が付いていました。すると今度は子どもたちが親を連れて戻ってくるという現象が生まれました。親が子どもを連れてくるのではなく、子どもが親を連れてくる。一度来ている子どもたちは、得意気に親に館内を案内したといいます。
・19 株主は、地球だ。 イヴァン・シュナイード (パタゴニア創業者)
かつて企業の社会貢献といえば、企業が本業で儲けたお金を、チャリティやフィランソロフィーのために使うことを指していました。本業とは別の、企業の「正しさ」をPRするための活動と捉えていたのです。(中略)
社会問題への取り組みは本業のおまけではなく、本業を補完するものでもなく、本業の目的そのものへ。こうした変化の先駆とも言える存在がアウトドア用品で知られるパタゴニアです。(中略)
かつてクライミング道具をつくっていた頃、シュナイードは自分がつくったピトンが、岩の形を損なっていたことに気づきます。この問題を解決するために、岩を傷つけずにクラックに押し込んで使うアルミ製のくさびを開発して、ピトンから切り替えたのです。新製品ととも「クリーンクライミング」という概念を広めて成功を収めたのでした。(中略)
パタゴニアのユニークさは「ビジネスを手段とする」という考え方にあると言えるでしょう。この視点があるからこそ、「エコを手段とする」他企業とは一八〇度違うモデルをつくりあげることができたのです。
・21 ポケットに入るラジオをつくれ。 「トランジスタ・ラジオ」 井深大・盛田昭夫(中略)
ラジオは家族のものから、個人のものへと変わっていきました。ソニーはただの小さいラジオをつくったのではなく、「ひとりで聴く」という新しいラジオの聴き方までつくってしまったのです。このラジオは、世界で五〇万台以上も売れて、ソニーが躍進するきっかけとなりました。
・23 通過する駅から、集う駅へ。 「エキュート」 JR東日本(中略)
JR東日本は中期経営計画の中で「ステーションスネッサンス」を提唱しました。一日に一六〇〇万人ものお客さんが利用する駅。その駅を最大の経営資源として捉えて活性化する、という狙いを大々的に発表したのです。(中略)
一目散に目的地へ向かおうとする乗客たちの姿でした。駅の中で人は「いかに早く通過できるか」だけを考えている。この意識を変えることがチーム最大の挑戦となりました。
・27 すべての書籍を、六〇秒以内に手に入るようにする。 「キンドル」アマゾン
・ビジョナリーワードをつくる4ステップ
図3
key question Method
STEP1 現状を疑う 本当にそう? 「ダウト・リスト」
「ラベルを剥がす」
STEP2 未来を探る もしも? 「イフ・リスト」
STEP3 言葉をつくる つまり? 「呼び名を変える」
「ひっくり返す」
「喩える」「ずらす」
「反対を組み合わせる」
STEP4 計画をつくる そのために? 「バックキャスティング」
・アメリカのカリフォルニア州に、デス・ヴァレーという国立公園があります。日本語にして、死の谷。(中略)デコボコな大地を、世界でいちばんゴルフに向かない場所と捉えて、「悪魔のゴルフコース」(devils' golf course)と名づけたのです。(中略)
こうした、でこぼこの大地を「ゴルフコース」という別のものに置き換えて表現する行為は「見立て」と呼ばれます。落語では、ひとつの扇子を煙管(きせる)代わりにしたり、箸代わりにして蕎麦をすすったりしますが、これらもすべて見立てる行為です。
・呼び名を変えると、時代も変わる(中略)
ディズニーランドで働く人(中略)キャストという単語自体は、古くからある言葉で、何も新しくありません。しかし、テーマパークで働く人を「キャスト」と見立てる行為は新しかった。新しい組み合わせが、新しい意味を生み出しているのです。
・呼び名を変えると、時代も変わる(中略)
スティーブ・ジョブズは、「エンジニア」たちを「アーティスト」と呼びました。口先だけではなく、できあがったコンピューターには、アーティストとしてのサインを入れさせた。アップルでは自分たちがつくるものを「商品」ではなくて「作品」だと信じるようになってくのです。
・呼び名を変えると、時代も変わる(中略)
アメリカのある小学校では、子どもたちを「生徒」と呼ぶ代わりに「小さな学者さん」と呼ぶことによって、学業成績を向上させたいという事例があります。(中略)
大人たちは、小さな学者さんに対しては、一方的に教えるべきではありません。むしろ小さな学者さんの発見をサポートする助手になったり、発見に感動する観客となったりするべきだ、と立場を変えました。
また子どもたちは、学者さんと呼ばれることで、自尊心をくすぐられ、先生や友達に教えてあげる何かを見つけようと努力するようになったといいます。
・常識をひっくり返すと、独創が生まれる(中略)
ワコールの「胸を小さく見せるブラ」という発明(中略)女性は誰しもが、胸を大きく見せたいと思っている。そう信じられてきました。しかし、実際にはブラウスの隙間が広がってしまったり、服の柄が伸びてしまったり、ワンピースを着るときに太って見えてしまったり、という悩みを抱えている人が少数ながら、でも確実に存在したのです。
・技法3 喩える(中略)
たとえば、映画『エイリアン』シリーズは、もともと「宇宙を舞台にしたジョーズ」というコンセプトで企画されました。(中略)他にも、キアヌ・リーブス主演の映画『スピード』が、「バスを舞台にした『ダイ・ハード』」ですし、デカプリオ主演の『タイタニック』は、「豪華客船での『ロミオとジュリエット』」として企画されたものです。(中略)
映画を観ただけでは引用元はわかりません。過去のイメージを借りながら、それを発展させていくことで新しい表現を生み出していく。喩えるという作業は、単なるレトリックのひとつではなく、実に創造的な手段なのです。
・技法4 ずらす(中略)
金沢21世紀美術館は、ターゲットをずらすことで成功した事例と言えるでしょう。子どもと一緒に成長する美術館を掲げ、現在美術のメインターゲットを「大人」から「子ども」へとずらしました。その「ずれ」が、作品のコレクションを変え、プロモーションを変え、建築を変え、現在美術館の固定観念を打ち壊して、ユニークな立ち位置を確立しました。
旭山動物園は、手法をずらすことで成功しました。動物の「姿形」をそのまま見せる生態展示から、特徴的な「行動」を見せる動物展示へ。動物園という場所も、展示という目的も、もちろん変わっていません、動物の見せ方という手法をずらすことによって、動物園の新しい可能性を提案することに成功したのです。
●書籍『未来は言葉でつくられる 突破する1行の戦略』より
細田 高広 著
ダイヤモンド社 (2013年7月初版)
※amazonで詳細を見る
Copyright (C) 2003-2024 eパートナー All rights reserved.