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[ 出版業界について ]

出版取次の決算状況から“出版界の今”を見る  寄稿:冬狐洞 隆也 氏

日経MJ 2015年8月5日号に「第44回 日本の卸売業調査」が発表された。その中で「書籍・CD・ビデオ・楽器」業界の中から、出版取次だけを抜粋して、その結果を紹介したい。各出版取次の決算状況や営業利益、伸び率などはどう推移したのだろうか。
 

 
順位
企業名
売上高
増減率
営業利益
増減率
1位
日本出版販売
661,096
▲3.1
2,588
▲45.5
2位
トーハン
495,132
▲2.6
6,257
3.6
3位
MPD
192,574
▲3.4
974
▲5.8
4位
大阪屋
68,134
▲11.1
▲689
-
5位
図書館流通
41,498
2.3
1,711
5.9
6位
栗田出版
32,931
▲11.1
-
-
7位
太洋社
24,506
▲2.9
-
-
8位
日教販
23,244
▲25.2
438
41.7

※日経MJ調査
 
 

順位
企業名
経常利益
増減率
純利益
増減率
書店数
前年比
1位
日本出版販売
3,626
▲31.1
1,052
11.8
4,315
▲115
2位
トーハン
3,912
1.1
1,594
12.6
4,845
287
3位
MPD
1,015
▲7.2
-
-
-
-
4位
大阪屋
▲738
-
2,240
7.8
698
▲422
5位
図書館流通
1,881
9.0
1,881
18.1
-
-
6位
栗田出版
-
-
-
-
638
▲28
7位
太洋社
-
-
-
-
382
▲69
8位
日教販
438
328
328
8.8
-
-

※日経MJ調査


各出版取次の状況をひも解く

トーハンの売上は、直営書店の増加によるもの。大阪屋の営業利益・経常利益が赤字でも出版社の増資と本社土地売却の結果、純利益は黒字となる。2015年決算は不透明。MPDは、日販傘下の取次で蔦屋書店の取次。


栗田出版販売は、2015年6月26日に民事再生法適用で事実上倒産となる。取次の流通システムが疲弊し不透明となってきた今、本気になって時限再販と委託問題を解決しないと出版社・取次・書店とも不幸になることは目に見えてきた。


既に、生産年齢人口減少と少子化で新聞販売店・書店の廃業はどちらが早いか固唾をのんで見ている。新聞も再販維持の結果が、情報を他に持って行かれた結果と考える。このままいくと書店数も10,000店以下になるのも見える。売場が無くなるその時、出版社はどう動くのだろうか。


寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏