FaxDMトップ > 出版業界の豆知識 > 書店について > 書店売上高ランキング 日経MJ調査 2015年発表 寄稿:冬狐洞 隆也 氏

[ 書店について ]

書店売上高ランキング 日経MJ調査 2015年発表 寄稿:冬狐洞 隆也 氏

日経MJ 2015年7月8日号に「第43回 日本の専門店調査」が発表された。紹介したい。
 

順位
会社名
売上高
前年比
経常利益
店舗数
本社
1位
TSUTAYA
カルチャア・コンビニエンス・クラブ
200,416
2.3
17,976
-
東京
2位
紀伊國屋書店
106,714
▲0.4
714
64
東京
3位
ブックオフコーポレーション
50,621
▲6.1
1,677
942
神奈川
4位
ワンダーコーポレーション
WonderGOO
50,950
▲9.3
718
110
茨城
5位
未来屋書店
50,621
▲0.2
361
251
千葉
6位
有隣堂
50,405
0.4
291
47
神奈川
7位
ジュンク堂書店
48,574
▲3.5
▲348
52
兵庫
8位
くまざわ書店
42,721
▲3.0
-
235
東京
9位
ヴィレッジバンガード
35,749
▲5.3
▲277
403
愛知
10位
フタバ図書
34,536
▲2.0
1,292
64
広島
11位
トップカルチャー
33,042
▲2.5
118
69
新潟
12位
文教堂
30,730
▲2.4
▲297
195
神奈川
13位
テイツー
29,390
▲6.4
▲199
118
岡山
14位
三省堂書店
25,900
▲4.4
-
36
東京
15位
三洋堂書店
24,144
▲4.4
211
87
愛知
16位
丸善書店
20,832
▲2.6
202
-
東京
17位
リブロ
20,240
▲5.2
-
88
東京
18位
精文館書店
19,269
▲0.4
540
49
愛知
19位
キクヤ図書販売
13,914
▲3.0
-
30
兵庫
20位
明屋書店
13,753
-
284
84
愛媛
21位
オー・エンターテイメント
12,115
▲7.5
154
61
大阪
22位
文真堂書店
10,141
▲12.4
-
-
群馬
23位
積文館書店
9,717
9.8
75
32
福岡
24位
すばる
9,600
▲5.0
-
29
千葉
25位
ダイレクト・ショップ
9,533
▲5.4
31
51
滋賀
26位
まんだらけ
9,481
0.2
1,226
11
東京
27位
アシーネ
9,208
▲0.1
-
93
東京
28位
京王書籍販売
9,087
▲7.7
-
38
東京
29位
戸田書店
7,292
▲9.5
41
32
静岡

※日経MJ調査  
※単位百万円


本屋の売上げは、“本”の売上げだけではない

書店の売上とは出版物だけではない事を認識する必要がある。大手の書店はほとんどが複合書店だ。あおい書店、ニューコ・ワン、ブックエース、八重洲ブックセンターからは回答がなかった。ネット書店の影響は避けられなかったのだろう。電子書籍・電子雑誌も影響は少なからずあったと考える。

日本の書店数は5月で約13,500店。2000年と比べて8000店以上減少している。書店の中には、読者の興味を引く書籍を独自に仕入れ、他店とは違う個性を出す努力をしている。ただ、実際にはまだまだ努力不足だと言われるが、出版システム全体がそうはなっていないのだから無理な話。


大手スーパー系列の書店が合併や買収される理由

未来屋書店とアシーネが合併、売上高600億円・店舗数約340店舗になる予定。アバンティブックセンター{56店}もトーハンに買収された。今後、大手スーパーの書店子会社をスーパー自身が持ちきれなくなったのと利益率の低さに嫌気がさしてきたと考える。


リアル書店の売場が金太郎飴なら、より便利になったネット書店で素早く検索した方が良いのは決定的。消費者は書店が減少しても、本の入手方法は他にもあるのでそれほど困っていないし、実際のところ心配はあまりしていない。


売上減少の最大の原因は「買う人が減っている」のだから、売上は下がり続けるだろう。生産年齢人口の急激な減少と、それに輪をかけての少子化ではいくら書店が努力しても未来は不透明だ。


電子書籍の時代がすぐそこに来ているようだが、電子書籍は流通コストと製造コストが必要ない。全てプラットフォームと読者直販の話。反論する人がいるようだが、電子書籍の時代に書店のビジネスが成立するのは困難に思える。


電子書籍の市場が大きくなれば、出版市場は安泰?

長期的にみると書店がなくなることにより、電子書籍を含めた書籍全体の市場が縮小していく可能性がある。書店の数が大きく減れば人が書籍に出会う機会がその分減るから。


書店がなくなると、その分、電子書籍が増えることにもならないし、電子書籍サイトに行かないこともはっきりしている。リアルの世界で本と接触する機会が減少する。電子書籍がネットの世界でどれだけの存在感を発揮できるかは現在の段階では不透明な部分だ。


既に米国では2013年から電子書籍の成長が止まった。電子書籍の時代が来る場合、公立学校の教科書が電子教科書になる時期か、団塊の世代交代の時期と考える。しかし、それまでは書籍の売上は今のままでは減り続けると確信する。
 
 
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏