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書籍『ピクサー流 創造するちから』(エド・キャットムル 著、エイミー・ワラス 著、ダイヤモンド社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『ピクサー流 創造するちから』(エド・キャットムル 著、エイミー・ワラス 著、ダイヤモンド社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・ここで働くアニメーターたちは、自分の仕事場を好きに飾ることが許されている、というより奨励されている。そのため、天井からミニチュアのシャンデリアを吊るしたピンク色のドールハウス、本物の竹を組んだ瓦葺きのあずま(中略)


要するに、社員の自己表現を尊重しているのだ。


・財政難に喘ぎ、存続もままならない素人映画製作者集団だったが、「自分たちが観たいものをつくれば、ほかの人も観たくなるに違いない」という単純な思い一つで突き進んできた。


・クリエイティブな発想において、役職や上限関係は無意味だ。(中略)ピクサーの基本的な信条だった。つまり、立場に制限されない自由なコミュニケーションが重要なのだ。


・一九五〇年から一九五五年にかけて、ディズニーは、今日古典と呼ばれる三つの映画作品『シンデレラ』『ピータ・パン』そして『わんわん物語』を制作している。


・本当に優れたアニメーションとは、画面上のキャラクターが考える能力を持っているように思わせるものだ。(中略)それを見た人が、そのキャラクターの動きだけでなく意図も、言い換えれば、感情も感じ取ることができたら、アニメーターはいい仕事をしたと言える。


・人の手には、一カ所たりとも平らな面はない。


・美術的な技巧を凝らそうと、物語がきちんとさえしていれば、視覚的に洗練されているかどうななど問題にならないのだ。


・スティーブは(中略)自己主張が激しい反面、情熱を尊重する人だった。


・ピクサーのクエイティブを特徴づける二つの基本的な考え方(中略)

第一の原則は、「物語が一番偉い(Story Is Kings)」。つまり、技術であれ、物品販売のチャンスであれ、何であってもストーリーの妨げになってはならない(中略)


もう一つの原則は、「プロセスを信じよ(Trust the Process)」。(中略)さまざまな要素が絡むクリエイティブな作業には、必ず困難や失敗がついてくるが、「プロセス」に従って進めば切り抜けられると信じていい、そういう意味だ。


・いいアイデアといいスタッフ、どちらが大切か(中略)私にしてみれば、答えは歴然としている。アイデアは人が考えるものだ。だからアイデアよりも人のほうが大事だ。


・創造に失敗はつきものだ。だが失敗したときには、自己弁護せずに向き合い、変化を厭わない。(中略)自分を批判的に見つめ直し、自己認識を改めるきっかけに


・アイデア、ひいては作品は、批評にさらされ、もまれてこそすばらしいものになる。


・率直な会話、活発な議論、笑い、愛情(中略)

競争意識があると、人のアイデアと自分のアイデアを比較するため、議論ではなく、勝ち負けを決める議論になっています。


・ピクサーがよくリトリート(会社や日常業務から離れて行なう戦略会議)


・ビートは言う。『物語をつくるプロセスは、発見のプロセスでもあります。でも、いろいろな道をたどりながらも、そこには必ず拠り所にする指針があるんです』


・つまり、だめな結果は一つもない。どんな結果も新しい情報を生み出すからだ。実験によって最初に立てた仮説がまちがっていたことがわかったのなら、早くわかってよかったのだ。手に入れた新事実を基に、次の疑問に取り組めばいい。


・議題は一つ、「なぜ立て続けに危機的な問題が起こったのか」。誰かを名指しで非難しようというのではなく、クリエイティブリーダーを集めて、今の迷走状態の原因を突き止めたかった。


・会社の株価だけでなく、その志を高める社員を評価する組織文化を築くことも、リーダーが果たすべき重要な責任の一つだ。


・社員は賢い。だから雇ったはずだ。だったらそれらしく扱おう。歪曲された不誠実なメッセージは見破られる。上司が計画だけを説明して理由を説明しなければ、部下は本当の意図は何かと怪しむ。


・もし監督の要望がすべて通ったら、ものすごく長い映画ができるだろうし、マーケティングの思いどおりになれば、ヒット作品の二番煎じ、つまり観客にはわかりやすいが、創造性という意味では失敗の作品しかつくれない。どの部門も正しいことをしようとしているが、目指す方向がバラバラなのだ。そうした部門の一つが一人勝ちすれば、全体の負けだ。


不健全な組織文化


・対立するのは健全なことだと社員に理解させるのは、マネジメントの仕事だ。それがバランスを実現させる道であり、長い目で見て皆の利益につながる。


・ピクサーでは、会社の倫理観や価値観、独創的で質の高い作品をつくる意思が揺らぐことがないようにしている。


・『レミーのおいしいレストラン』に出てくる、皆が恐れる辛口の料理評論家、アントン・イーゴ(中略)


「評論家というのは気楽な稼業だ。危険を冒すこともなく、料理人たちの努力の結晶に審判を下すだけでいい。辛口な評論は書くのも読むのも楽しいし、商売になる。だが、評論家には苦々しい真実がつきまとう。たとえ評論家にこき下ろされ三流品と呼ばれたとして、料理自体のほうが評論より意味があるのだ。しかし、ときに評論家も冒険する。その冒険とは新しい才能を見つけ、守ることだ。世間は往々にして新しい才能や創造物に冷たい。新人には見方が必要だ」


・人は、うまくいくとわかっていることにしがみつきたがる。


・不安なとき、人は確実性や安定性を求めるが、どちらも見かけほど安全を保証しない。私は別の道をとる。偶発性を恐れるのではなく、それをありのままに受け止め、プラスになるように持っていく。予測不能性は、創造性が生まれる土壌なのだ。


・私は変化に対応することこそが創造性だと思っている。


・私の経営哲学の一つにつながる。「見えないものを解き明かし、その本質を理解しようとしない人は、リーダーとして失格である」


・手品のトリックが成功するためには、二つのことが起こる必要がある。第一に、マジシャンが手品の種から観客の目をそらし、第二に、観客の脳が、既知のこととその瞬間に知覚していることを組み合わせ、不足している情報を充填すること。


・たいていは「成功した、だからこのやり方は正しいに違いない」、「失敗した、だからこのやり方はまちがっていた」の二つに帰着する。その考え方は短絡的すぎる。


・反省会をやる理由は五つあると思う。最初の二つをよく理解されているが、残りの三つはそうでもない。


学んだ教訓を集客する(中略)
水平展開する(中略)
わだかまりを残さない(中略)
反省会の「予定」が反省を促す(中略)
次につなげる


・嵐や荒波を避けることを目標にするなら航海する意味がありません。航海とは制御できないことばかりで、いい日もあれば悪い日もある、しかし何が起きても対処する。なぜならゴールは海の向こう側にたどり着くことだからです。どうやって海を渡るかを正確にコントロールなどできません。そういう世界を選んで入ってきたんです。もっと楽にシンプルに行きたいなら、そもそもボードに乗らないことです

※アンドリュー談


・創造のプロセスには混沌がつきもので、あまり枠にはめようとすると台無しになる。枠や安全策(財務面と感情面)は必要ですが、たとえめちゃくちゃでもしばらく放っておくことも必要で、微妙なバランスがあるんです。大事なのは、その状況で何が必要とされているかを見極めること、そして必要とされているものになることです


・ピクサーの社員は、ここで働きたいから働いているのであって、契約書に定められているからではない、というのがピクサー文化の信条であり、そのためピクサーには雇用契約がなかった。


・ピクサーでは、社員の机周りは自分の趣味や情熱を表現するべく装飾され、盛られ、改造され、まるで個性を奉る神殿のようだ。


・映画で建物を描く場合、でたらめな絵を描いてはいけない。キャラクターや衣装や物語も同じ。ジョンは、細部の一つ一つを通じて信憑性が伝わると話していました(中略)

それが創造性の本質的な要素である


・ピクサーでは、社員にお金と感謝の気持ちの両方を届ける方法を考え、実践している。ボーナスが出せるほど映画がヒットしたときには、ジョンと私と監督とプロデューサーで、その映画に携わったすべての社員に直接小切手を手渡している。


・私の知っているスティーブ(中略)

出会ったころから、彼の一番の判断基準は熱意だった。(中略)かといって、ステーブが理屈より情熱を優先するとが限らない。彼は、感情で物事を判断してはいけないとわかっていた。(中略)つまり理屈と感情のどちらも重視しており、そのバランスの維持のしかたが彼を理解するカギだった。


・スティーブは、効果のないものを手放すことに関して驚くほどの才覚に恵まれていた。けれども、人と言い争った後、相手が正しいと納得したら、その瞬間に考えを改めた。自分が一度すばらしいと思ったからといって、その考えに固執する人ではなかった。


・私の知っているスティーブ(中略)

彼は、昼夜問わず、数分以内にメールを返すことで知られていた


・私の知っているスティーブ(中略)

内部的には建設的な批評家だったが、外部に対しては猛烈な防御者だった。


・私の知っているスティーブ(中略)

コメントや指摘をするときには決まって前置きがあった。「自分は映画づくりに関しては素人だから、まったく無視してもらって構わないが・・・・・・」


・ミスを防げば、ミスに対処する必要がなくなるという幻想に陥ってはならない。実際には、ミスを防ぐためのコストのほうが、ミスに対処するコストよりはるかに高くつく場合が多い。


・信頼とは、相手が失敗しないことを信じるのではなく、相手が失敗しても信じることである。


●書籍『ピクサー流 創造するちから~小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法』より
エド・キャットムル 著
エイミー・ワラス 著
ダイヤモンド社 (2014年10月初版)
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