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佐渡島 庸平 氏 書籍『ぼくらの仮説が世界をつくる』(ダイヤモンド社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島 庸平 著、ダイヤモンド社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・「世界がどうなるか」を心配する時間があるのなら、「世界をどうするか」を考えたいのです。


・編集者って何のためにいるのでしょうか? (中略)「この文章を書いた人間は才能があるかどうか」を「世間には存在しないデータ」をもとに、自分の感性だけで決断することができる、それが編集者の特権なのです。


・「情報→仮説→実行→検証」ではなく「仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証」という順番で思考することで、現状に風穴を開けることができるのです。


・「女性読者が増えると、『宇宙兄弟』がヒットし始める」という仮説を立てたのです。初期のプロモーションは、よって「女性のみ」をターゲットにしました。(中略)


そして「女性がよく行くところで、影響力のある場所はどこだろう?」と考えたときに、ふと「美容室だ!」と思い浮かんだのです。(中略)


なじみの美容師さんに(中略)「お客さんとはどんなことを話しているんですか?」と聞くと「最近おすすめの音楽とか映画とか本とかの話はよくしますね」と言うのです。(中略)


20万円くらいの予算で、美容室400点に、2冊ずつ郵送できることがわかりました。


そこで「これはぼくが5年間かけて育てた新人の描いたマンガです。お店の雰囲気もあるでしょうから店舗に置けないかも、休憩のお時間にでも、ぜひ読んでみてください。もして、もしも心に響くものがあったら、お客さんにこのマンガのこと話していただけたら幸いです」という内容で、思い入れのたっぷりの手紙をつけて『宇宙兄弟』の1・2巻を首都圏の美容室に送ったのです。


・すぐに賛同者がでるようなアイデアは、新しいことではありません。


・強烈な個性を持っている作家がいれば、「世間はその作家に合わせる」ように仕向けるべきだと思っています。


・いい作品とは、新しい定義を生み出すことができるもの(中略)


『ドラゴン桜』を通じて、「受験勉強は、おもしろくなくても『やる価値のあること』であり、トップである東大を目指すのはいいことだ」と教育を再定義しようとしました。その定義を考えている過程で、「教育業界に認められれば、世間も『ドラゴン桜』を信頼して、読まれるようになるのではないか」という仮説が生まれました。


・いい作品とは、新しい定義を生み出すことができるもの(中略)


ドラマになった『働きマン』という安野モヨコさんのヒット作は「働くこと」の意味を再定義しようとした作品です。(中略)「必死にボロボロになるまで働く人はかっこいい」という働き方の再定義が、作品の裏テーマです。


・社会がいかに「何となくのルール」で回っているかがわかります。


・出版社の強みは「流通」にあります。出版の世界には、出版社以外に、本を販売する「書店」と、金融や流通を真ん中で仕切っている「取次会社」という存在があります。この出版のシステムがあるから、全国一律に本というものを書店の店頭に届けることができるのです。


・本や雑誌を作ることは、印刷機とパソコンがあれば、今や個人でもできることです。しかし、それを全国の書店の店頭に並べることは今のところ出版社にしかできません。全国に配本して店舗で売るというシステムがあるからこそ、雑誌に広告を入れるなどの収益も得られる。書店という読者に繋がるためのチャンネルを独占的に抑えているところに、大手出版社の強みがあります。


・テレビ番組のチャンネルをひっきりなしに変えることをザッピングと言いますが、ザッピングを1チャンネルのNHK総合から順にしていくと、どういうことが起きるでしょう。当然、前のほうにあるチャンネルのほうが有利です。そこでおもしろそうな番組があれば、ザッピングをやめてしまうのですから。(中略)


これは、雑誌の世界にも起こっているのです。(中略)ターゲット層の人口自体が減っているからです。(中略)


このように「仕組みのせいで能力を発揮することが阻まれているだけ」なのに、それが才能のせいだと思われているケースが多いように感じています。


・人類最初の経済活動は、物々交換です。物々交換は、相手を信頼していないかぎりできません。相手の者が腐っていたり、壊れていたりしたら、自分が損をしてしまうからです。(中略)貨幣ができたら経済活動の範囲が広がったのです。


・「あぁ、やっぱり親が子を思う気持ちは、世界中どこに行っても、どんな立場でも、みんな一緒なんだぁ」としみじみ実感したのです。


・時代の空気を読みながらマンガを作るということもありません。(中略)『源氏物語』も、『ロミオとジュリエット』も、まったく異世界の話です。(中略)それでも、現代の作品と同じように楽しめているというのは、もっとも雄弁な証拠ではないでしょうか。


本質的なものを作れば、強いコンテンツができて、ちゃんと売れていく。ぼくはそういう信念で本作りをしています。


・「早く、楽に移動したい」という人間が求める根っこの部分が変わらないのであれば、馬車から自動車への変化は、もはや「必然」です。(中略)


「どちらの欲望のほうが、より本質的なのか」を見極めると、どちらが残るのかがわかります。


・多くの人は「明日成功しそうなほう」を選んでしまう。ぼくには「明日失敗するけど、10年後成功している」という道のほうが、楽しそうに見えるのです。


・ぼくの世界の見方はシンプルです。まずは変わらないもの(本質)を見つけること。そして、日々起きる変化の中で、何が大局の変化で、どれが一時的な文化や習慣にすぎないのかを「宇宙人視点」で見つけることです。長期的な変化が何なのか。それを予測し仮説を立てることです。


・人々の物欲が減る中で、どうすると心が満たされるのか? ぼくは「共感」がキーワードだと考えます。「背景にあるストーリーに共感するからモノが欲しい」という時代になってきた。


・世の中のほとんどの記事は「商品を買ってください」と頼んでいます。消費者は、頼まれすぎているから、それだけで嫌になってしまうのです。


・本はファンとの接触回数がすごく少ない媒体なのです。


・ふつう出版社は、本は売り物なので無料で配ったりしません。でもぼくらは、「羽賀翔一」というタレントをどうやって有名にするかを考えているわけです。目的はファンクラブの結成なので、本も名刺代わり、というわけです。(中略)

羽賀さんの本を売ることではなく、羽賀さんのファンになってもらうことなのです。


・小山宙哉さんのサイトを見にきている人たちは、小山さんのことも知りたいのですが、同時に実はそのサイトにいる他の人のことも知りたい可能性があります。


・コルクは、ネット空間の中にファンが集う「喫茶店」をどうやって作るのか、どうやって居心地のいい居場所を作るかを考えているのです。


・編集者というのは、そのコンテンツをいかにして読書に届けるかを徹底して考え実行するプロデューサーであるべきです。


・上手な絵かどうかは「1本の線」でわかる


安野モヨコさんと一緒に上野の字術棺に行ったときのことです。(中略)「この人のデッサン、迷い線が多くて、あまりうまくないから」と。


・絵を描く人は、基本中の基本、「一本の線の状態」で絵のうまさを理解します。たった一本の線に作家の実力が表れてしまうのです。


・人は、「自分の個性が何なのか」「強みが何なのか」ということを、自分では見つけられません。真似るという行為は、他人になろうということではなく、他人との比較によって、自分の個性と強みを見つけようとすることなのです。


・観察力が上がっていくと、同じものを見ていても、他の人とは違う、ものすごく濃密な時間が過ごせるになっていく。


・編集者の仕事の重要なところは、誰も信じていない才能を、本人と一緒に信じることです。世間は結果や数字だけを見て、人を信じるかどうかを決めます。編集者は、自分の経験をもとにその才能を信じます。


・作家が自信をなくしているときは「編集者が作家を信じる姿」に、作家は自信をもらう。その逆もまた然りです。


・自分を信じ切れる作家、作家を信じ続けられる編集者の双方がコンビであることで、ヒット作は生まれるのです。


・今、ぼくは「マグネット」(https://magnet.vc/)というサービスを手伝っています。このサービスは「作家と読者が作品を介してつながることができる」ツールです。


・ベストセラーになった『ドラゴン桜』も『宇宙兄弟』(中略)

「どんなマーケティングをして作ったのですか?」とよく聞かれるのですが、作家と編集者が、自分たちが読みたいものを作っただけです。何が今の時代に合うかを調べて、そこに合わせて描かれた作品ではありません。


・読者がどんな展開だと喜ぶかな? と考えるよりも、自分の好きな展開だけを入れていくようにした。


・嫉妬は、たいてい自分が目立ちたい、評価されたいという気持ちからおきます。でも、「自分が目指しているのはそこではない」と冷静に分析できれば、そのような気持ちは自然となくなります。


・誰かがデザインしたルールに従うのか、それとも自分でルールを作るのか。ぼくは自分でルールを作る側になったほうが、何百倍も楽しいと思うのです。


・取ったリスクの対価しか手に入らない


・作家が投資したのは「お金」でなく、「自分の名前と名誉」です。よって、作家が大成功すると、名誉を手に入れ、社会的地位も高くなり、有名になります。


・「世の中で誰がリスクを取っているのか」「何を投資しているのか」という視点で世の中を眺めると、また違う世界が見えてきます。サラリーマンは、お金を一切投資していません。その代わりに自分の時間を会社に投資して、お金で返してもらおうとしている。だから、投資効率が悪いのです。


・会社の就業時間中にサボると得した気分になるのは、会社に渡している時間を自分のものとして使えたからでしょう。しかし、二度と戻らない時間をサボる時間に投資することは、実はリスクの高いこともであるのです。


・投資は決断だからです。「売買をしない」ということであっても、実は「何もしない」ということを決断している。よって、動かない、もしくは、決断をしない、というのは、「動かないぞ」「決断をしないぞ」という「決断」をしているのです。


・現代人が感じる恐怖や不安というのは「死への恐怖」ではなく、単に「努力をせずに、現状維持をしたい」という思いから生まれる恐怖です。(中略)「環境に合わせて、変化し続けるなければいけない」というのは、有史以来の大原則だからです。


・アメリカでは、「スピーチライター」と呼ばれて尊敬される職種なのですが、なぜか日本では「ゴーストライター」と呼ばれて、あまり存在を知られることがありません。


・ぼくは編集者として、作家を客観的に見てアドバイスをするのが仕事ですが、自分自身を客観視することはできません。だから、この本もダイヤモンド社の編集者がついてくれています。


・「おもしろくない」は、「つまらない」とは違います。作家は「おもしろい」と思って懸命に書いたわけです。でも、編集者であるぼくはおもしろいと思わなかった。ということは「作家の頭の中にあるものが再現できていないだけ」の可能性のほうが高いのです。


だから、「ぼくは楽しめなかったけど、描いていて、どこが一番ワクワクしたのですか?」と質問します。説明を聞けば、ただ演出がうまくいっていなくて、おもしろさが伝わっていないだけだ、とわかるのです、どのような演出がいいのかを話し合えばいいのです。


・三田さんが「人が何かを好きになる理由は説明しないほうがいいよ」と教えてくれました。

※補足 三田紀房さんのこと


・自分が努力すれば、状況を変えられる。


・応援したいから、応援するのです


・時間は有限で、ぼくはそれを平気で無駄にしていたのです。その有限性に気付いたら、のんびりなんてしていられませんでした。


・世の中を変えるのは、仕組みではなく、人々の心。物語を作ることは、その心を豊かにするために働きかけることなのです。


●書籍『ぼくらの仮説が世界をつくる』より
佐渡島 庸平 著
ダイヤモンド社 (2015年12月初版)
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