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全国学校図書館協議会が、2014年から2016年までの図書館における購入額を発表した。紹介したい。
年度 |
小学校 購入額 |
中学校 購入額 |
高等学校 購入額 |
大学 ・ 短大 ・ 高専 購入額 |
公共 図書館 購入額 |
合計 購入額 |
前年比 (%) |
2014年度 |
108.6 |
77.4 |
40.5 |
359.8 |
251.9 |
838.2 |
▲1.8 |
2015年度 |
110.7 |
77.3 |
42.6 |
350.9 |
254.2 |
835.7 |
▲0.3 |
2016年度 |
100.1 |
74.1 |
41.9 |
343.1 |
251.1 |
343.1 |
▲3.0 |
※単位億円
※全国学校図書館協議会 日本図書館協会調査より作成
この統計をみると、少子化の影響が学校図書館から最終的には公共図書館まで及ぶことが確認できる。生徒数減少で行政側の学校図書館の図書購入費用は徐々に減額されてくるだろう。
平日の公共図書館をのぞくと、どこの図書館も明らかに高齢者の人たちに占領されている。その各々が新聞と雑誌しか見ていない。ほとんど書籍を読んでいないのだ。定年を迎えて書籍を選ぶ気力もないのかもしれない。2025年には団塊の世代で一気に後期高齢者が増加。図書館の風景も一変する可能性がある。
日本の自治体数は1718。767市あるうち1館でも図書館を設置している市は754市。12市が図書館を設置していない。市がこのような状態であるので町村で図書館が設置されていない数は計り知れないと感じる。
全国の新刊・雑誌を販売している書店の数は日販集計で2016年度10,583書店。10年間で3,900店強減少。大きな理由は他のメディアに負けて雑誌・コミックの売上減少に他ならない。書店経営が立ち行かなくたった理由の一つに挙げられている。
新刊を扱う書店がない自治体の7割強が人口が急減すると推計されているようだ。「消滅可能都市」に指摘されている自治体だという書店ゼロの自治体数が市町村で332。図書館ゼロ・書店ゼロの自治体があるとは思えないが仮にあったとしたら住民の知へのアクセスはどうなっていくのであろう。
因みに古書店・新古書店の2016年度売り上げは781億9千万円となっているようだ。新刊が売れないので新古書店の仕入れが苦労している。
それから、図書館がない12の市は以下。
北海道 夕張市
青森県 黒石市
つがる市
宮城県 富谷市
茨城県 桜川市
千葉県 富津市
いづみ市
京都府 上京区
大阪府 守口市
岡山県 岡山市中区
福岡県 筑後市
宮若市
上記の市には特別区が2件入っている。特別区に図書館が無いのも珍しい。これから地方における経済格差は鮮明になってくるだろう。地方創生は夢のまた夢になるのでないか。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏
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