このウェブサイトにおけるページは、電子書籍『だいじょうぶ3組 Kindle版』(乙武 洋匡 著、出版社: 講談社)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・せっかく 担任に手足がないんだ。なるべく子どもたちに手伝わせようぜ。そういう積み重ねが、だれかが困ってたら助けてやる、そんな心情を育てていくと思うんだ
・「上ばきを隠すなんて、けっしてほめられたことじゃない。でも、子どもたちだって、好きでそんなことをしているわけじゃあないと思いませんか?」 「好きで、やっているわけじゃない?」 「そう。その子も、きっと自分では解決できない心の問題を抱えているんです。それが、上ばき隠しという事象となって表れている。言ってみれば、子どもからのSOSのサインなんです。その子だって、つらいはずなんですよ。それを〝犯人〟と言われたんじゃ……」
・圧倒的に数が多いことが〝フツー〟ってことなんだ!」陽介がさけんだ。では──と、赤尾が質問を重ねる。「じゃあ、フツーじゃない人の立場ってどうなるんだろう。みんなとちがうからヘン。ひとりだけだからダメ。そういうことになるのかな?」
・努力して、がんばって、それでも一番になれなかったら、子どもは 傷つくよね。『自分はここまでの人間なんだ』って、天井が、自分の限界が見えてしまう。『だったら、はじめから一等賞なんて目指さない』と考える子がいても、ふしぎじゃないと思うんです
・「結果的に一番になることが重要だとは思ってない。でも、一番になろうと努力することは大事なんじゃないかな。その努力が自分の能力を伸ばすだろうし、逆に努力しても報われない経験を通して、挫折を知ることができる」
・よそのクラスの児童の家庭環境まで把握している情報量。運動靴の変化まで見逃さない観察眼。とてもかなわない──。 「学年主任というのはね、そんなものなのよ」
・運動会、そして水泳指導。教員一年目の赤尾にとっては、すべてがはじめての体験だった。子どもの頃にはただなんとなく参加していた行事でも、その裏側では教師たちがこんなにも膨大な時間と労力をかけて打ち合わせを行い、準備を進めていたのだということに、赤尾は大きなおどろきを覚えていた。
・いま自分にはできないことを『 悔しい!』と思って、何とかできるようチャレンジする。その気持ちが大事なんだ。自分にはできるはずない──そうやって決めつけて、チャレンジすることから逃げていたんじゃ、この円はいつまでたっても大きくならないんだぞ」
・「引っ越しちゃうとさ、もう仲間じゃなくなっちゃうのか? 陽介、仲間っていうのは、いつもいっしょにいなきゃダメなのか? 康平、同じ教室で勉強していないと、もう仲間とは呼べないのか?」
・だが、子どもたちにも、いつかは大人の目の届かないところで人間関係を築いていかなければならないときが訪れる。そのとき、からまった糸を解きほぐすようにして人間関係を調整してくれる担任教師という便利な存在はもういない。
そのことを考えれば、けっして転ぶことがないようにと、子どもたちが歩んでいく道からすべての凹凸を取り除いてしまう学校のあり方には、納得できなかった。嫉妬や、葛藤や、もどかしさ──そうした感情を経験させないまま子どもたちを社会に送りだすことのほうが 無責任 だと感じた
●電子書籍『だいじょうぶ3組 Kindle版』より
乙武 洋匡 (おとたけ ひろただ ) 著
出版社: 講談社 (2012/10/16)
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