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2018年における取次別書店数の増減と、売り場面積別の占有率を紹介したい。
取次 |
書店数 |
前年比 (店) |
平均面積 (坪) |
面積占有率 |
トーハン |
4,488 |
▲130 |
110 |
37.8% |
日本出版販売 |
4,252 |
▲222 |
156 |
50.6% |
大阪屋・栗田 |
1,057 |
▲72 |
111 |
8.9% |
中央社 |
408 |
▲7 |
53 |
1.6% |
その他 |
962 |
▲18 |
14 |
1.0% |
不明 |
8 |
0 |
0 |
0 |
合計 |
11,175 |
▲449 |
1117 |
100.0% |
※アルメディア調べ
書店数は調査する会社・方法によって若干数字は変化する。アルメディアの書店数も実際に売り場に商品を置いてある店舗数。最近、見ているのは図書普及のカードリーダ設置店。図書カードで書籍を購入する場合、どうしても必要な機器が出る。そのカードリーダ設置店の数が 2018年5月現在で 8,718店となっている。この数字が書籍を揃えている店舗と判断する。
出版社が書店を管理しているのは大手出版を除いてせいぜい 1,000書店が限界。後は取次任せが大半。取次傘下の直営書店の店舗数が拡大してきた。取次の言い分もあると思うが、逆に取次経営に足かせになってはいないか。直営書店を見るとほとんどが赤字経営になっているようだ。
大阪屋栗田の役員が退任し、全員楽天をメインとする新たな執行体制になったと聞く。大阪屋栗田が発足したのは 2016年4月だから僅か 2年で大手出版社はギブアップし、楽天に丸投げした。楽天も取次経営は素人。取次から物流会社に変化すれば別な話であるが、楽天はドライに優良店・不良店の選別、売掛債権の回収・担保力や売上状況を通じて、書店選別とリストラに向かうのが普通。大阪屋・栗田の書店数1,057店の将来はどうなるのか注視したい。その他、 962店舗は現金取引か中小取次との取引・他業種の兼業と考える。
今の書店数の減少具合から取次業は崩壊の危機が見えてくる。しかし、アメリカ並みに書店数が 5,000店になれば新たな制度・システムに新ルートが出てくるものと確信する。今、取次がするべきことは出版社・書店の売上をあげることだけである。その先にマーケットインがあるかもしれない。
出版不況の原因は、読者の情報収集手段の多様化と情報の階層化、更に情報源や娯楽としての出版物の価値の低下が挙げられるのではないか。もちろん出版物だけではなく新聞・テレビも同様と感じる。高齢者がインターネット・スマートフォン・タブレットを使用しているのを、見ていると更に強く感じる。
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏
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