このウェブサイトにおけるページは、書籍『スタンフォード式 疲れない体』(山田 知生 著、サンマーク出版 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・スタンフォード大学の「科学的知見」。在籍している多くの学生選手が世界レベルの大会に出場し、その層が「全米No.1」といわれるスタンフォード大学のアスリートたちのために、同大学のスポーツ医局が実践している「最新のリカバリー法」。
この2つを軸に組み立てた「疲労予防」と「疲労回復」のメソッドを初めてまとめたものが、この本です。
・全米No.1チームの回復法」という極上メソッド
・ アメリカ人にとって、スタンフォードは「文武両道の大学」というイメージで、学問ばかりか、「スポーツでも名門大学」とされています。
・「アメリカの五輪メダル」 の22%はスタンフォードが獲得していた
2012年のロンドンオリンピックには、スタンフォードから40人の学生が出場し、12の金メダルを獲得。
2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、27個のメダルがスタンフォードの学生の胸に輝きました。アメリカが獲得したメダルの合計は121個。 そのうちの27個ですから、およそ22%をスタンフォードが獲得したことになります。
・「ケガをしない体を作るには?」(中略)なかでも私が重視しているのは「疲れ」です。なぜなら疲れは、ケガはもちろん、アスリートが絶対に避けたい3つの状態を招くから。
①疲れていると、試合に勝てない
②疲れていると、本来の実力が発揮できない
③疲れていると、ケガ・故障につながる
・慢性的な疲れが蓄積して「疲れやすい体」になってしまうのです。だからこそ、私たちは「疲れの予防」と「解消」をセットで考えています。
・常時「100%に近い実力」を発揮する疲労対策プラン
・2章 疲れを持ち越さない 究極のリカバリー法
・3章 抗疲労体質になる 一流の食事術
---「体内に入れるもの」であなたの回復力は変わる
・4章 スタンフォード式 ハードワーク・メソッド
---働いても、働いても、ダメージを最小化する方法
・なぜ人は疲れるのか
・・・・・・知られざる「疲弊する仕組み」
・疲労とは、体だけでなく脳からも生じる現象(中略)
疲労とは、「筋肉と神経の使いすぎや不具合によっての機能に障害が発生している」状態のこと、つまり、筋肉だけでなく「神経のコンディションの悪さ」が疲れを引き起こすというのが、最新のスポーツ医学の見解です。
・疲れを感じている人の多くは、「自律神経」と「中枢神経」の2つの神経コンディションが悪くなってる状態です。神経の司令塔は脳ですから、2つをまとめて「疲労の原因は脳にある」というわけです。
この「脳疲労」を防ぐために、私がとくに注意しているのは「体の歪み」です。体が歪んでる人は、中枢神経から指令が体の各部位にうまく伝わりません。
・「疲れやすい体=歪んだ姿勢の体」と定義しています。あなたがもし、「姿勢が悪いことくらい、どうってことない」と考えているなら、認識を改めましょう。体の歪みは、中枢神経を乱すトリガーとなる危険な状態です。そして、体の歪みと密接に関係しているものこそ「体の圧力」です。
・スポーツ医学において大切なのは、「疲れが最小限になるように予防すること」、「試合中に最高のパフォーマンスを発揮できるようにすること」、そして、「試合後のダメージを回復を最大限にすること」です。
・練習量を増やしたこのシーズン、勝率が64.8%(前年)→50.0%に
・疲労が溜まると、パフォーマンスが落ちる。この説は、客観的なデータと主観的な「疲れ」を照合した結果、「敗北」という形ではっきり裏付けられたのです。
・疲れているかどうかを判断するために、私は選手の脈拍、血圧の正常値を測って「ベースライン」を把握するようにしています。ベースラインと比較して脈が速かったり血圧が変動していたりすれば、「疲れのサイン」と見るようにしているのです。
・「自分の疲労」を客観視する4バロメーター(中略)
①「脈」がいつもと違う(中略)
たとえば水泳選手はゆったりとした脈で、安静時のベースラインは1分間に50~60台。アスリートでない一般の人の脈拍は、70~80程度でしょう。(中略)
②「いろいろな時間」に寝ている(中略)
オリンピックで活躍するレベルの選手に共通するのは、「休日も、練習日と同じ時間に寝て、同じ時間に起きるよう努める」習慣です。(中略)
「睡眠の乱れというのは、どんな優れたメソッドも台無しにしてしまうほど恐ろしいものだ」と経験として知っています。
③「腰」が痛い(中略)
④「呼吸する場所」を間違えて いる
胸だけで浅い呼吸している人は、2つの点から疲れやすくなります。第一に、酸素不足による疲れ。(中略)第二に、「姿勢の歪み」による疲れ。
・「疲れない体」作りの土台となるメソッド「IAP呼吸法」です。
この呼吸法に切り替えることで、体の中の圧力が高くなり、その圧力に支えられる形で体の中心(体幹と脊柱)は安定します。そうすると、中枢神経の通りが整い、無駄な動きや筋肉の負担が減って疲れにくくなる、という仕組みです。
・ダメージが溜まりにくい体にして、最初から疲れないように予防しておく(中略)
風邪を引いてから薬を飲むよりも、うがいで風邪をひかないようにする。
虫歯になって治療するよりも、歯磨きをして虫歯にならないようにする。
病気になって手術をするより、食習慣を改めて病気にならないようにする。
・ 世界最新の疲労予防
「IAP」メソッド
---「体内圧力」を高めてダメージを完璧にブロックする
・「IAP呼吸法」(中略)
お腹を「へこませず」に息を吐く(中略)「IAP」とは(中略)日本語に訳すと「腹腔内圧(腹圧)」。
・IAP呼吸法とは、息を吸うときも吐くときも、お腹の中の圧力を高めてお腹周りを固くする呼吸法で、お腹周りを硬くしたまま息を吐ききるのが特徴です。
・人体の構造上、「お腹を膨らませる」と疲れにくい
・腹式呼吸の場合、「息を吐くと同時にお腹をへこませる(IAPを弱める)」のですが、腹圧呼吸では反対にお腹をへこませずに、息を吐くときも圧をお腹の外にかけるように意識して(=高IAPを維持)、お腹周りを「固く」します。
・「IAP呼吸法」(中略)
横隔膜を下げたまま息を吐くには、「お腹は膨らませたまま」「肩を上げない」のがコツ
・「腹圧を高めてお腹を膨らませたまま、息を吐く」感覚をつかむためにも、最初は指先を足の付け根に差し込んで練習してください。
・人は平均で1分間に12~20回呼吸をしています。
1分間に12回呼吸する人なら、1日1万7280回。
1分間に20回呼吸する人なら、1日2万8800回。
・息を吸うときも吐くときも、とにかくお腹を固く膨らませる。AIP呼吸法をマスターするためにも、「お腹を膨らます」ことを意識する機会を増やしてほしいと思います。
・腰痛を抱える選手はみな、同じような呼吸をしていました。筋肉をひたすら内側に収縮させて深く息を吸う「お腹を引っ込める呼吸」をしながら練習していたのです。
・体内高圧力で寝ると「睡眠回復率」が上がる(中略)
第一の理由は、体は、動かさないと機能が衰えてしまうようにできているから。
第二の理由は、日中に体をある程度動かさないと、夜間に体がリカバリーされないからです。
日中、あまりじっとしていると、交感神経と副交感神経の交替がうまくいかず、自律神経が乱れて夜しっかりと休めなくなります。
・眠る前の2分間、IAP呼吸法をすることを習慣にしていただきたいと思います。(中略)
IAP呼吸法の鍵を握る横隔膜には自律神経が集中していて、ゆっくりとした呼吸による横隔膜の動きが副交感神経を優位にしてくれるためです。
・お腹を膨らませたまま、深く呼吸をする---たったそれだけで「腹圧アップによる体幹と脊柱の安定化」「酸素の最大摂取」というメリットを一挙両得できるのです。
・「筋肉だけを鍛える」という時代は既に終わっているのです。「アメフト選手のイラスト」が示すように、「筋肉と連動している神経にアプローチする」というのが最新トレーニングの主流です。
・「IAP(腹圧)こそ、疲れとダメージを最小限にする体作りの肝である」という結論に至ったのです。
・疲れを即座に解消する「究極のリカバリー法」を、スタンフォードスポーツ医局での実際の試みを軸にお伝えしたいと思います。
・「今日は疲れた」という日は「何もやりたくない」と思うかもしれません。「体を動かすなんてありえない。すぐに寝てしまいたい」となるのも、わかります。しかし、そんな日こそあえて「軽い運動」をしたほうが、翌日に疲労を持ち越さずに済みます。
・体を軽く動かしたほうが、血液の流れが促進されて脳と筋肉にたくさん酸素を送ることができ、疲労物質の滞留を防ぐことができるのです。
・「働きすぎて疲れた日」は、「体を動かしていない日」であることも多いはず。だからこそ、軽い運動で疲れをとるのが効果的です。
・私たちアスレチックトレーナーは、「お尻の筋肉は体のエンジン」だととらえています。お尻の筋肉は体を支え、下半身を安定させる体の中で一番大きい筋肉。ここを鍛えることは、あらゆる競技のアスリートの基本です。エンジンを鍛えると、体全体が安定するので、疲れない体に直結します。
・日本の成人は平均して1日に7時間座っており、これは世界一です。世界の平均は5時間。働き詰めで席から離れられない“日本のオフィス”を象徴するようなデータです。
・肩こりに悩む人がアプローチすべきなのは、「肩周りの筋肉」ではなく背中の「肩甲骨」。肩こりとは、肩甲骨のトラブルが原因で、症状が肩の筋肉に出ている状態なのです。
・肩こり解消「肩甲骨ムービー」
肘を曲げ、右手は右肩に、左手は左肩に軽く置く。胸を開いて、前から後ろへ、両腕を10~12回ほど回す。肩甲骨を中心に寄せるようなイメージ。立っていても座っていてもOK。
・ スタンフォード式「回復浴」とは? (中略)
「冷水」と「温水」に交互に浸かる「交互浴」。
・交互浴の効果は主に2つあります。
第一に血管の収縮と拡張が繰り返されることで血流が良くなること。(中略)
第二に自律神経のバランスが整うこと。温めたり冷やしたりすると、自律神経が効果的に刺激されることが判明しています。
・たとえばテニスの絶対王者ロジャー・フェデラーは、1日12時間睡眠。陸上競技で活躍したウサイン・ボルト、バスケットボールの王者レブロン・ジェームズも、やはり睡眠時間は12時間前後とかなり長めです。(中略)
カリフォルニア大学サンフランシスコ校が「アスリートと睡眠時間の関係」を調査した研究では、「睡眠時間が長ければ長いほど、選手としてのキャリアが長い」という結果も出ています。
・「睡眠4原則」(中略)
最低でも7時間は寝るように言っています(どんなに短くても6時間)。(中略)
①「夜更かし」も「早寝」もしない
「就寝時間」「起床時間」「睡眠時間」は極力変えずに固定します。(中略)
②「週末」に体内時計を狂わせない(中略)寝溜めというのはできるものではありません。(中略)
③「ベッドに入る90分前」までに入浴(中略)
④就寝前に「お腹を膨らませる」(中略)IAP呼吸法を、2,3回行い、横隔膜を動かして腹圧を高めてから眠りにつくことをアドバイスしています。
・少なくともスタンフォードには講義の間、居眠りしている学生は一人もいません(中略)「昼寝で疲れは解決しない」
・疲れには、「脳神経由来の疲れ」と「筋肉の疲れ」がある(中略)内臓の疲れ(中略)胃腸の疲れに何より影響するのが「食」。
・人間の血糖値はつねに小さく上下しているのですが、空腹のあとに大量に食べると血糖値が極端に急上昇し、その後急降下することに。これは「血糖値スパイク」と呼ばれる現象で、糖尿病や心臓病にもつながるとされています。
・朝食を取らないと、「体温が上がりにくくなる」というデメリットも発生します。人の体温は、「就寝前~就寝中」にかけて低くなり、反対に「起床前~覚醒時」は高くなるというリズムがあります。
しかし、朝食を抜くと、本来なら日に向けて上がるはずの「体温上昇」が朝食を食べたときに比べてゆるやかになり、パフォーマンスが上がりにくくなるのです。
さらに朝食は、その日の活動に際しての「エネルギー源」になります。
・「チーズ」は“熱処理”していないものを選ぶ(中略)
プロセスチーズなどの加熱処理をしたチーズは有用な菌が死んでいるので、「ナチュラルチーズ」のほうが菌をよりたくさん腸に届けることができます。
・栄養価の低いキュウリも、ぬか漬けにすれば「ビタミンB1」という栄養素が増加して疲労回復効果があるとされています。
・疲れない体を内側から効率よく作るために、味噌汁、納豆、ぬか漬けという日本特有の優れた発酵食品を、ぜひ朝食の定番にしていただきたいと思います。
・牛赤身肉は脂肪分が少ないうえ、疲労回復のアミノ酸として知られているL-カルチニンが豊富です。疲労回復に役立つ「アリシン」の元になる“アリイン”を含んだニンニクでステーキにすれば、一石二鳥です。
・「疲労回復」という観点で私が一番おすすめしたいのはチキン、とくに「トリ胸肉」です。トリ胸肉に含まれている「イミダペプチド」というアミノ酸は、細胞が傷つく現象「酸化」を防ぐ作用が高く、活性酸素を取り除き、脳の疲れを取る効果が報告されているためです。
・疲れないアスリートが絶対にしない「禁断の疲労食」(中略)
「回復にいい食事」は効果がすぐに感じられないのに対し、「疲れを助長してしまう」食べ物や飲み物はすぐに「疲労感」として表れます。なぜなら、そうした食べ物は胃腸に負担をかけて「内臓の疲れ」に直結するから。
・疲れないアスリートが絶対にしない「禁断の疲労食」(中略)
「とにかく甘いものは朝食べるな!」「甘い朝食、危険!」と選手たちに注意喚起をしています。甘い朝食の代表は、フレンチトーストやパンケーキ。」
・疲れないアスリートが絶対にしない「禁断の疲労食」(中略)
当然ながら、山盛りのホイップクリームは、「闘う戦士」はありえません。
・「お菓子」を食べると“体内のビタミン”がなくなる(中略)
「間食にはフルーツがおすすめ」と書きましたが、間食でも「人工的に甘くしたもの」は避けるべきでしょう。
・スタンフォードの選手たちがほとんど口にしないものは、「清涼炭酸飲料」です。清涼炭酸飲料の問題は糖分。「ペットボトル1本に、ティースプーン山盛り10杯分の砂糖が入ってる」「1日に取っていい砂糖の量を、1本で超えてしまう」などと言われています。
・「エナジードリンク」は科学界でも賛否両論(中略)
アメリカではトレーニング関係者もアスリートも、タウリンを意識していません。また、実際、「タウリンが、健康な人の疲労を軽減することを示した臨床データや論文はない」との声や、「実験動物にタウリンを投与すると、むしろ行動量が制限された」といった報告もあるようです。
・スタンフォード式
ハードワーク・メソッド
---働いても、働いても、ダメージを最小化する方法
・重ねてお伝えするように、疲れは「無駄な動き」「無理な動き」から生じます。
・ 右腕を曲げるとき
上腕二頭筋は収縮
(アゴニスト)
上腕三頭筋は伸びる
(アンタゴニスト)
筋肉同士が「正反対」の働きをすることで、動作が発生する
・耳と肩のラインがまっすぐな状態を、どの動作であってもハードな1日の中でできるだけキープする。これが、ハードワーク・メソッドの基本姿勢です。※横から見たとき
・疲れない「座り方」(中略)
座ったときに足を組む癖がある人は、体のバランスが崩れている可能性大です。(中略)座るときのポイントは、基本姿勢同様、耳と肩の位置が一直線になっていること。
・とにかく肩こりの多くは、「肩甲骨の問題」。正しい座り方をマスターすれば、簡単に予防策を講じることができます。
・ひざの裏には「リンパ節」があります。リンパ節は、体のすみずみにはりめぐらされたリンパ管が集まる老廃物を処理する働きがあるのですが、じっと座っているとリンパ節の働きが滞り、老廃物が体内に溜まってしまいます。そうすると、どうしても体全体に倦怠感が生じることに。
・疲れを溜めないためには、血行をよくして活動のエネルギーとなる栄養分と酸素を細胞や筋肉に運ぶ必要があります。言うまでもなく血液は水分を含んでおり、水分が少ないドロドロの血液より、水分が多いサラサラの血液の方がよく流れるのは明らかです。
・「やる気があれば疲れない」というのは精神論であり、決してマインドセットではありません。精神論とは、その場しのぎの「掛け声」にすぎず、効果もおまじない程度にしか担保されていないもの。
一方、マインドセットは、その人の経験や教育によって形成される「考え方の枠組み」であり、心理学的に「行動や体に影響する効果」が確認された「思考のルール」です。
・イギリスの作家イアン・レズリー氏によれば、子どもは正真正銘「好奇心の塊」で、それが子ども、ひいては人間の成長には欠かせないといいます。実際、2歳から5歳までの3年間で子どもは総計4万回もの質問をするそう
・成功する選手は必ず「長期目標」と「超・短期目標」をセットで設定しています。そして、「超・短期目標」を一つひとつクリアして長期目標に自分を近づいていく。「長期目標だけでは、いくら成長型マインドセットを有していても、いずれ疲れて息切れしてしまう」と選手達たちは知っているのです。
・ 病気やケガという、誰もが休んで当然と見なす状況を引き起こすのが、他ならぬ「疲労」だということは、念をしてお伝えしたいと思います。
・疲労を科学的に計測する方法も出てきていますが、まだまだ研究の途上であり、一般的ではありません。
●書籍『スタンフォード式 疲れない体』より
山田 知生 (著)
サンマーク出版 (2018年5月初版)
※amazonで詳細を見る
Copyright (C) 2003-2024 eパートナー All rights reserved.