このウェブサイトにおけるページは、書籍『本の定価を考える~再販制はなぜ必要か』(出版流通対策協議会 編著 著新泉社、 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・文庫本
量り売り
100g300円!!
・スッゲーッ。奥のマンガ・コーナーは、一センチあたり二〇〇円の《本の厚さ》のはかり売りやっているじゃん
・独占禁止法でも例外的に認められていたものです。一九五〇年代にはせっけんのようなものまで含め、数百の商品があったのですが、市場の価格形成まかせにしても消費者にデメリットが生じないとされて、次第に適用商品が減って、九〇年代初頭までは本、新聞、レコード(CDを除く)、一部の化粧品などだけでしたが、それもいまは全部廃止になりました
・専門書は初版は五年、一〇年とかけて売っていくことはそうめずらしいことことではない。そのためにも再販維持が必要であることを、公取委に力説、理解が得られたためです。
・書籍に再販売価格維持が発達した理由は、むしろ書籍は極めて多品種の商品の陳列を必要とし、もし値下がりの危険があれば小売業者が多品種の商品を保持することは難しく、また生産者としては、多数の小売店にその商品を陳列させることができなくなることである。
・公取委取引課編『主要国における出版物の流通実態調査』(公正取引協会、一九七九年)
・歩戻し
価格の割引制度の一種。本来の取引条件として合意した正味から一定の率で価格を差し引くこと。仕入割引とかバックマージンともいわれる。本来割引制度は、大量に仕入れた買手への割引、卸売業者への小売業者よりも高い割引、代金支払の優良者への現金割引、不需要期の仕入に対する季節割引などがある。しかし、不当な差別対価、不当な廉売、ぎまん的顧客誘引、不当な利益による顧客誘引、優越的地位の濫用などによる割引制度は独禁法違反である。出版界は歩戻しはこの違法な割引制度に限りなく近い。
・長期委託
既刊書籍を期間を長く(通常六か月~一年未満)して書店に販売を委託する制度で、常備のように補充義務はなく売りっぱなし。常備寄託制を利用できないためにこの制度を利用する小出版社はおおいが、これにもまた厳しい制限が課せられている。
・要するに現在の本の流通の要は、新刊委託、長期委託、常備寄託をふくめての「委託制度」にある。そして、それを補完するものとして注文制度がある。
・頒価
「頒」はまだらに分け与えるの意味で、特定の価格を定めず適当な値段で譲ることの意味。頒価一〇〇〇円などの使い方はあまり適切ではない。(中略)明文化された形で頒価が定価ではなくなったのは一九八〇年以降のことである。
・再販制のメリットではあるべき「割引防止・固定マージン率による経営の安定」
・もし、再販制がなくなれば、わたしたち小出版社は、これまでのように出版活動をつづけることはできなくなるし、読書も、あらかじめ値引を見込んだ“定価ならざる定価”の本をかわざるを得なくなるのである。
・『再販売価格維持制度』(辻吉彦、小学館)
・『出版文化・夢と現実』(牧羊社 、一九八四年)
・ある出版評論家は「大手出版社の中には、大量購入に対しては値引販売するところが多いし、定価販売は実質的に崩れている。大手にとり再販制廃止のデメリットはさほど大きくないだろう」
・フランスにおける書籍価格制度の変遷(中略)
本の価格構成比も、日本とはずいぶん違う。おおよそ平均的に出版社と書店がほぼ三分の一ずつ、取次と配送で二割弱、著者に約一割となっている。また取次各社は数十の決まった出版社の書籍しか扱っていない。
・出版物再販制の必要な理由(中略)
(1)極めて種類が多いこと(中略)
(2)陳列展示販売の必要性(中略)
(3)委託・返品制が不可欠なこと(中略)
(4)出版社の新規参入を容易にすること(中略)
・各国の流通マージン
国名 日本 西ドイツ イギリス スウェーデン フランス アメリカ
出版社の取次店依存率 70~80% 19% 10% 50% 不明 17.4%
書籍店の取次店依存率 約99% 26% 3~11% 不明 不明 40%
取次店のマージン率 8% 10~15% 7~22% 8~10% 10% 10%
書籍店のマージン率 22% 28.4% 25~35% 不明(42%?) 30~43% 1冊20%、2冊以上40~50%
『流対協レポート』二号より
・公取委調整課『再販売価格維持制度―研究と資料』公正取引研究会
・『出版流通問題の国際比較―第七回海外出版販売専門視察団報告書』再販維持契約励行委員会
・関川左木夫『再販はなぜ必要か』広告連盟
●書籍『本の定価を考える~再販制はなぜ必要か』より
出版流通対策協議会 編著
新泉社 (1992年1月初版)
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