このウェブサイトにおけるページは、書籍『コンサルタントの「ひと言」力』(野口 吉昭 著、PHP研究所 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・コンサルタントの話す力の“コア“は何か? (中略)
適切なメッセージをひと言に凝縮して伝える力こそが、コンサルタントにとって最も重要なのではないか
・興味深いのは、吉野家は一度キャッチフレーズを変更したことがあるということだ。かつての吉野家のキャッチフレーズは「はやい、うまい、やすい」だった。今とは違って「はやい」が一番最初に来ていたのだ。(中略)
一九八〇年には一度倒産を経験する。「うまさ」をおざなりにしたことが、吉野家倒産の原因となったといえるだろう。
・コンサルティングには大きく「コンテンツ・コンサルティング」と「プロセス・コンサルティング」がある。コンテンツ・コンサルティングとは、クライアントからの依頼を受けてコンサルタントが課題の調査分析を実施し、「御社はこういう戦略をとるべきです」といった提案をクライアントに行うというもの。従来のコンサルティングのイメージかもしれない。(中略)
プロセス・コンサルティングにおいて一番大事なのは、自分自身で答えを出してもらうこと。だからだ私はこんな時、「ところで、そもそも問題点は何でしたっけ?」というひと言を使う。その瞬間、みなハッとした表情になる。
・「できない理由」ばかりが溢れ出してくる。そうなると、チームの雰囲気もまた、どんよりと沈んでくる。あまりにそうした意見が続いた時、私はいつも、「世の中に簡単な変革なんかありませんよ」という言葉を使う。すると、いままで暗い顔をしていたメンバーは不意をつかれたような顔して、「まぁ、そりゃそうですよね」などといって苦笑したりする。だが、その後の雰囲気は明らかに違ってくる。
・なぜ、目的を確認する「ひと言」は大事なのか? (中略)
なぜなら、私は「目的を設定すること」は、企業活動の中でも最重要事項だと考えているからだ。目的がないままに仕事をしている人がいるわけはない、とお思いだろうか? 実はそれが結構いるのである。
・なぜ、目的を確認する「ひと言」は大事なのか? (中略)
たとえば、あなたがコーヒーショップを経営しているとする。「そもそも、(この仕事の)目的は何でしたっけ?」と聞かれて、「コーヒーを提供すること」と答えたとしたら、それは本当に本質的な目的といえるのだろうか。「おいしいコーヒーで人々を幸せにする」くらいになると、より本質に近づいた感じだ。
・「そもそも、目的は何でしたっけ?」(中略)
「そもそも」というひと言を添えるのがポイントである。「そもそも」というひと言には、人の思考をその人が依って立っている原点に立ち戻らせる力があるからだ。
・目的が曖昧になっていたときのひと言
「そもそも、何をやりたいんでしたっけ?」
[場面]モチベーションが低下気味の現場
[効果]仕事の意義を見出し、やる気を高めてもらう(中略)
「あなた、そもそもいったい何をやりたいの?」
と、ズバッと聞いてしまう。
「だから、社会を良くしたいんです」
「社会を良くするって、具体的にはどうしたいの?」
「まずは貧困をどうにかしないと……」
「じゃぁ、貧困をなくすためには何をしたいの?」
「……まずは、自立を促すための教育が必要かと」
「なるほど、つまりあなたは教育事業がやりたいわけだね」
ここまで話が進んで、目からウロコが落ちたような顔する人は多い。
・目的・目標・戦略にズレが生じているときのひと言
「ゼロベースで考えてみましょう」(中略)「ゼロベースで」という伝え方だと、「試しにやってみませんか?」というニュアンスが生まれためか、より抵抗感なく受け入れてもらえる気がしている。
・コンサルティングとコーチング、カウンセリングの違いとは? (中略)
一番の違いは「コーチは、クライアントである個人の目標・行動指針などを自分で決めてもらう必要がある。カウンセラーは覚悟を促すひと言をクライアントに発する必要はほとんどない。が、コンサルタントは個人だけでなく組織自体に大きな覚悟を促す必要がある」ということだ。
・「それは、なかなか難しいですね」
というように、否定から入る人がいる。人間というのは変化を恐れるから、当然のことではあるが、こういう人が一人でもいると、プロジェクト全体の士気が一気に下がってしまうものだ。(中略)
「ええ、簡単な変革などありませんから」
と、ちょっと茶化すようにいってしまう。すると、相手は気勢をそがれてしまうものだ。
・変わろうとしない人に意識転換を促すひと言
「こちらからリセットしないと、リセットされてしまいますよ」
・相手の反論を封じるひと言
「なかでもどこが、一番違うと思いますか?」(中略)
反応に対する切り返しは、ここまで述べてきたように、「受け流して、いつの間にかこちらのペースにする」ということに尽きる。その際に使える言葉の一つがこれだ。
・「ルビコン川を渡る」は「一度実行したら、もう後戻りできないこと」を意味する言葉になっている。
・塩野七生氏の『ローマ人の物語』(新潮社)の影響が大きい。リーダー必読の書として知られていることもあり、リーダー層の間での同書の知名度は驚くほど高い。
・何かいったあとに、自信ありげに大きな声で「そういうものなのです」と付け加えると、いわれた側も「そういうものなのかな」と安心するようだ。
・「いいんです、六〇%で」(中略)
変化のスピードが速い現在、完璧主義はリスクになり得る。
・強みというのは、市場の中でのポジショニングを考えたうえでまとめないと意味が薄くなるのだ。
・幅広い視野を持つためのひと言(中略)
「一つに絞る前に、他の選択肢も教えてもらえますか?」
・わかりやすく説明してもらうためのひと言
「まず、全体像から説明してもらっていいですか?」(中略)
話がわかりにくい人には、大きく分けて二種類ある。一つは、話すことが整理されていても、話し方のスキルが不足している人。そういった人は、この「まず、全体像から説明してもらっていいですか?」というひと言で意識が切り替わり、まがりなりにもわかりやすい説明をしてくれるものだ。
もう一つは、「話が自分の中でも整理できていない人」である。そういう人は、「まず、全体像から説明してもらっていいですか?」とお願いしても、うまく説明できない。(中略)
このひと言を先に投げかけることで、考えがまとまっていない人の話を先に封じ、考えを促すことができるというわけだ。
・結論を深掘りするための一言
「それって前提条件を言ってるだけじゃないですか?」
[場面]議論が上っ面の言葉ばかりの時
[効果]思考停止を排除する(中略)
目指すべき方向を聞かれた際に、「顧客満足を目指す」とか「高い品質を実現する」とか「迅速なデリバリー体制を確立する」とか、「そんなことは当たり前じゃないか」といいたくなるようなケースが目立つのである。だが、これでは人は動かない。
・強みを作るためのひと言
「戦略とは捨てることです」(中略)
限られた経営資源を有効に活用しながら所期の目的・目標を達成するには、やるべきことを絞り込み、そこに多くのエネルギーを注ぎこむ必要がある。つまり「フォーカス&ディープ」である。
・人は、must(すべき)とwill(したい)とcan(できる)の三つがそろった時に、初めて主体的に行動しようという意欲が湧いてくる。mustとcanがあっても、そこにwillが加わらなければ、人を動かすことができないのだ。
・ひらがなを使うと、漢字やカタカナを使うのと比べて、温かくて柔らかい雰囲気が出る。たとえば猫は、「ネコ」や「猫」と書くよりも、「ねこ」とひらがなで書いたほうが、温かくて柔らかい感じが伝わってこないだろうか。
・自分の信念を表すひと言
「他責ではなく、自績で考えて」(中略)
私たちは「なぜうまくいかなかったのだろう」と考える。この時「あいつが悪いんだ」と他人を責めることを他責といい、「自分のせいだ」と自分を責めることを自責という。これが、当事者意識の原点である。
●書籍『コンサルタントの「ひと言」力』より
野口 吉昭 (著)
出版社: PHP研究所 (2011年5月初版)
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