このウェブサイトにおけるページは、書籍『酒好き医師が教える 最高の飲み方~太らない、翌日に残らない、病気にならない』(葉石 かおり 著、浅部 伸一 監修、日経BP社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・取材を進める中であらためて感じたのは、「酒は飲み方によっては毒にもなり、薬ともなる」ということだ。
・「二日酔い、悪酔いを防ぐのに、気をつけなくてはならないのは、アルコールの血中濃度を急激にアップさせないことです。血中濃度が高くなることは、酔いが回るということ。悪酔いの原因です。
松嶋成志さん 東海大学医学部
・いかに胃でのアルコール滞留時間を長くし、小腸へ送る時間を遅くするかが、アルコールの血中濃度を上げない(=酔いを遅くする)カギになるのです
松嶋成志さん 東海大学医学部
・「血中アルコール濃度を上げないという観点では、油分を先にとることが理にかなっています。ただし、油といってももちろんそのままではなく、刺身にオリーブオイルをかけた魚介類のカルパッチョ、マヨネーズを使ったポテトサラダなど油を使った前菜向けの料理は多くあります。こういった油を使った料理を最初に食べるといいでしょう。
松嶋成志さん 東海大学医学部
・松島さんによると、「油に加え、宴会の最初のうちにとっておきたいのがキャベツなど、ビタミンUを多く含む食品」だという。(中略)
「キャベツに含まれるビタミンU(キャベジン)は、胃の粘膜表層のムチンを増やす働きがあります。ムチンとは粘膜から分泌される粘液の主成分で、粘膜を保護したり、細菌の侵入を防御する役目を担っています。
松嶋成志さん 東海大学医学部
・キャベツを食べるときはなるべく生に近い状態が望ましい。なぜならばビタミンUは水溶性で熱に弱いからだ。
・もちろん、水分の摂取も必須です。アルコールの利尿作用によって尿量が増えて脱水症状に陥りやすいため、それを防ぐためにも水分は飲んだ後に限らず、お酒を飲んでいる最中も飲むようにしましょう。飲んだ後は、体内の水分維持効果がある電解質が含まれる飲料が効果的です
松嶋成志さん 東海大学医学部
・日本酒にはアミノ酸、有機酸、ビタミンなど、120種類以上の栄養成分があります。なかでもアミノ酸の含有量は他の酒類に比べダントツ1位で、このアミノ酸こそが本格焼酎やウイスキーを始めとする蒸留酒にはない、日本酒の健康効果の鍵を握っているのです
滝澤行雄さん 秋田大学名誉教授
・ 1日あたりの適量は? (中略)
「健康づくりの要諦は、日本酒1日1〜2合です。私の場合は休肝日を設ける必要はありません。1週間の総量が1日当たり2合程度に収まればいいでしょう。なお、日本アルコール健康医学協会でも、飲酒全般の適正酒量を2合としています」
滝澤行雄さん 秋田大学名誉教授
・事実、ビールを飲んだ後の尿の量は、実際に飲んだ量よりも多く、1.5倍にもなることが分かっています。ビールをはじめとするアルコールの摂取は、水分補給になるどころか、むしろ体内の水分量を減らし、脱水状態を起こす危険性があるのです
林松彦さん 慶應義塾大学病院
・尿が淡い黄色だということは、ヘム分子を適量に含んだ尿を排出している証拠で、水分が適量ではないことを示します。大量に水だけを飲むと、尿の色は薄くなり、透明に近くなります。一方、お酒を飲み、水分が補われないと、腎臓が通常時のように動かなくなり、次第に濃い黄色の尿が出てきます。さらに、尿の量が減ってきたら、脱水気味になりつつある恐れがあります
林松彦さん 慶應義塾大学病院
・脂肪肝とは肝臓(肝細胞)に脂肪(特に中性脂肪)が蓄積した状態のこと。分かりやすく言えば、“フォアグラ状態の肝臓“です。脂肪肝になるメカニズムは実にシンプルで、肝臓から出ていく『使う脂肪』よりも、肝臓が取りこむ『作る脂肪』が多いから。つまり、使われなかった脂肪が“貯金”として肝臓に貯蓄することにより起こります
浅部伸一さん 自治医科大学附属さいたま医療センター
・脂肪肝には大量飲酒が原因のアルコール性脂肪肝と、肥満、脂質異常、糖尿病が関与する非アルコール性脂肪肝の2タイプがあります。一般に非アルコール性脂肪肝の患者の方が多いのですが、“酒飲み“の方の場合は、前者である可能性が高いといってもいいでしょう
浅部伸一 自治医科大学附属さいたま医療センター
・浅部さんによると、大量のアルコール摂取は脂肪肝につながる理由は2つあるという。
「まず、アルコールは中性脂肪の材料になるんです。肝臓に運ばれたエタノールは、アルコール脱水素酵素(ADH1B)によってアセトアルデヒドになり、次にアルデヒド脱水素酵素によって酢酸となります。その後アセチルCoAを経て、最終的にエネルギーを生むるとともに脂肪酸を生成します。この脂肪酸こそが中性脂肪のもととなります。
もう一つの理由は、アルコールが肝臓で代謝されている間は脂肪の燃焼が阻害されるからです。普段、私たちの体は脂肪酸を「β酸化」よって代謝しています。β酸化とは脂肪酸を酸化して、最終的に細胞が必要とするエネルギー源を生成するプロセスのことです。しかし、アルコールが肝臓で代謝されている間はβ酸化が抑制されてしまうため、脂肪が燃焼されにくくなり、代謝されない過剰な脂肪酸は肝臓に蓄積されやすくなります。そのためお酒好きの方は脂肪肝になりやすいのです
浅部伸一 自治医科大学附属さいたま医療センター
・脂肪肝を改善したいなら、休肝日よりも“量を守ること“に注力するといいでしょう
浅部伸一 自治医科大学附属さいたま医療センター
・健診はいい数値を出すことが目的ではない。今の自分の体の状態を正しく知ることが目的なのである。
・浅部さんによると、検査結果でチェックすべきポイントは中性脂肪(TG)のほか、肝臓の解毒作用に寄与するγ-GTP、肝細胞がどれだけ壊れたかの指針となるALT (GPT)の3つだという。ただし、脂肪肝の場合は、血液検査に加え、超音波検査やCTスキャンと合わせて診断してもらうのが確実である。
浅部伸一 自治医科大学附属さいたま医療センター
・「適量の飲酒は長生きにつながる」ことを裏付けるデータがある。専門用語で「Jカーブ効果」と呼ぶものだ。飲酒量を横軸に、死亡率を縦軸にとると、グラフの形状が「J」の字に似ることからそう呼ばれている。
つまり、適量飲む分には死亡率が下がるが、一定を超えてくると死亡率が上がってくるというものだ。
樋口進さん 国立病院機構久里浜医療センター
・「アルコールを飲んで顔が赤くなる人、つまり生まれつきアルコールの分解能力が低い人は注意が必要です。こうした体質の人は飲酒によって食道がんなどのリスクが高まることが分かっています。飲酒量は、飲める人に比べて抑えたほうがいいでしょう」
樋口進さん 国立病院機構久里浜医療センター
・例えば、1日焼酎を2合飲むのが通例なら、1.5合に減らすといった具合に小さな目標を設定するのです。そして、さらに大切なのは目標クリアできたら手帳にマルをつけること。すると、自然と飲む量を頭でモニターするようになります。そうした日々の小さな成功体験を積み重ねことで、飲む量が自然と減っていきます。
樋口進さん 国立病院機構久里浜医療センター
・「飲酒で顔が赤くなる体質のヘビースモーカーで、飲酒量が増えると食道がんリスクが高くなる」という結果が出ている。
垣淵洋一さん 成増厚生病院東京アルコール医療総合センター
・ウコンで肝障害に!
脂肪肝の人は要注意
浅部伸一さん 自治医科大学附属さいたま医療センター
・「肝機能を高める」と信じて飲んだはずのウコンが薬物性間障害の原因の1つに……。
浅部伸一さん 自治医科大学附属さいたま医療センター
・脂肪肝などの人にウコンを勧めないもう一つの理由は、ウコンに含まれる「鉄」にあると浅部さんは話す。(中略)
鉄の含有量が記載されていないものがあるのです。鉄は一部の肝臓の悪い方に悪影響を及ぼすことが分かっています。
浅部伸一さん 自治医科大学附属さいたま医療センター
・鉄分を多く摂取したほうがいいと思っている方が多いと思いますが、それは女性の話です。月経のある女性は鉄分を補給する必要がありますが、男性は鉄不足になるかことはまずありません。中でも日常的にアルコールを常飲する習慣のある方や脂肪肝の方は、鉄過剰の傾向があるので注意が必要です
浅部伸一さん 自治医科大学附属さいたま医療センター
・ウコンを煮出したり、ウコンを精製した粉を飲むなど、濃度が高いものを長期間、大量に飲むのは注意が必要です。
浅部伸一さん 自治医科大学附属さいたま医療センター
・「飛行機での飲酒はキケン」はホント? (中略)
飲まないことをお勧めします(中略)
飛行機の中の機内の気圧は0.8気圧戦後、最大で0.74気圧まで下がり、これは富士山でいう5合目程度(2000メートル〜2500メートル付近)に匹敵します。これ以上機内の気圧を下げると、高山病の発病率が高くなることがわかっているので、これを下回らないように調整しているわけです。
気圧の低下に伴い、酸素の分圧も減少します。具体的には、機内の酸素分圧も一定の80%程度まで低下します。わかりやすくいいますと、1回の呼吸で体内に入ってくる酸素の量が、機内では地上に比べ2割減ると言うことです。(中略)
この低酸素こそが、『いつもより酔いが早い』と思う要因の一つなのです
大越裕文さん 渡航医学センター西新橋クリニック
・脳は低酸素になるとパフォーマンスが落ち、判断力が鈍くなるなど、酔いにも似た症状が現れることがあります。こうした低酸素状態でお酒を飲むと、いつもよりアルコールの影響が強く出やすく、『酔いが早い』と感じるんです。
大越裕文さん 渡航医学センター西新橋クリニック
・就寝時は、健常な状態の人でも呼吸が浅くなるため、覚醒時より低酸素状態になります。また、アルコールを摂取すると、低酸素に対する体の反応が鈍くなってしまいます。アルコールを飲んで寝てしまうと低酸素を助長することになり危険です
大越裕文さん 渡航医学センター西新橋クリニック
・左党にとって、最も避けたいことの一つ。それは「嘔吐」であろう。(中略)
そもそも嘔吐とは生理行動は、古川さんによると「人間に備わる生理機序のなかで、生命を維持するための最も重要な仕組みの一つ」なのだ。
答える人:古川直裕さん
川崎医療福祉大学医療技術学部
・飲酒が大腸がんのリスクを高めるのは「確実」
答える人:溝上哲答える人:古也さん
国立国際医療研究センター臨床研究センター
・お酒量が増えると大腸がんのリスクが上がります。まずは酒量を純アルコールに換算して23〜45.9グラム未満(日本酒1〜2合程度)に抑えること、これが大前提です
答える人:溝上哲答える人:古也さん
国立国際医療研究センター臨床研究センター
・イソフラボンが乳がんのリスク減少に良いと聞いてサプリメントで補おうとする方がいますが、医師の立場からはお勧めしません。また、乳製品においてはリスク要因になるかどうかは賛否両論あり、証拠不十分となっています
答える人:中村清吾さん
昭和大学医学部乳腺外科
・妊娠中の飲酒は厳禁。
答える人:吉野一枝さん
よしの女性診療所
・芋焼酎・泡盛で血栓を溶解する物質が倍増(中略)
純アルコールに換算して1日に30ミリリットル程度であることが分かっています」
本格焼酎で言えば、120ミリリットル程度。(中略)
芋焼酎の香りを嗅ぐことでも、血栓を溶解する効果が期待できると言えるのです
答える人:須見洋行さん
倉敷芸術科学大学名誉教授
・実は本格焼酎のつまみに納豆を加えることで「血栓溶解がさらにアップする」といううれしい効果が隠されていることが分かった。(中略)
また納豆の薬味に合うネギ類にも血小板の凝集を阻害する効果があるので、意識的に混ぜるといいでしょう
・そもそもポリフェノールとは何だろうか?
「ポリフェノールは、植物が光合成によって生成する色素や苦味の成分で、活性酸素による酸化からカラダを守る抗酸化物質です。植物が自らを守るために作り出した成分なので、基本的に植物ならポリフェノールを含んでいます。ポリフェノールは5000以上の種類があり、赤ワインに含まれる代表的なものは、アントシアニン、リスペラトロール、タンニンなどが挙げられます。
答える人:佐藤充克さん
山梨大学大学院ワイン科学研究センター
・ブドウの品種では、カベルネ・ソーヴィニヨンが最もポリフェノールを含み、抗酸化作用が高かった。カベルネ・ソーヴィニヨンは、ボルドーのメドック地区のワインやチリ、カリフォルニアなどのワインで使われる品種で、ボディがしっかりしたタイプのワインだ。つまり、ボディがしっかりした重めのタイプの方が健康にはいいということになる。
答える人:佐藤充克さん
山梨大学大学院ワイン科学研究センター
・アミノ酸は“美肌の素“とも言える、お肌には欠かせない物質です。日本酒を肌につけることで、お肌がしっとりするのはこのためです
答える人:若月左恵子さん
福光屋
・お肌に良いとされるのは、醸造アルコールを添加していない純米酒です。純米酒とは醸造アルコールを添加せず、水とお米と麹だけで造られているピュアなお酒を指します。純米酒の方がアミノ酸が豊富に含まれています(中略)
値段が高く、お米をたくさん磨いて造った高価な純米大吟醸酒のほうが良いと思われがちですが、お肌には断然、純米酒のほうがいいのです
答える人:若月左恵子さん
福光屋
・つまり米をあまり磨かないで造ったアミノ酸豊富な純米酒の方が、美肌効果が高いということになるのです
答える人:若月左恵子さん
福光屋
・酒を飲んで眠ると、たしかに寝入りばながよく、また深く眠れたような気がするのは、徐波睡眠のおかげであるわけだ。
・薬をアルコールで飲む? とんでもありません。絶対にダメです! 「水で服用」が大原則です
答える人:飯嶋久志さん
千葉県薬剤師会薬事情報センター
・アルコール摂取の多い人ほど、歯周病の罹患率が高いことが報告されています
答える人:山本龍生さん
神奈川歯科大学
※補足:罹患(りかん)とは、病気にかかること。
・私たちのカラダは気温が低いと、「体温を下げないように」と血管を収縮させ、結果として血圧が上がります。一方で気温が上がると、熱を放出して体温を下げようとして血管は拡張するので血圧は下がります。このため、夏は血圧が低くなり、冬場は血圧が上がるのです
答える人:梅村敏さん
横浜労災病院院長
●書籍『酒好き医師が教える 最高の飲み方~太らない、翌日に残らない、病気にならない』より
葉石 かおり 著
浅部 伸一 監修
日経BP社 (2017年11月初版)
※amazonで詳細を見る
Copyright (C) 2003-2024 eパートナー All rights reserved.