このウェブサイトにおけるページは、書籍『NHK ことばのハンドブック 第2版』(NHK放送文化研究所 編集、NHK出版 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・アナログからデジタルへと、めざましい発展を遂げました。しかし、放送の形がどんな進化しても、そこで使われることばの重要性は、変わることがありません。ことばなしに、放送は成り立たないのです。
・硫黄島(小笠原) 読み ◯イオートー ×イオージマ
ただし、組織名や小説・映画のタイトルなどはこれにあたらない場合もあるため、注意が必要である。(鹿児島県三島村の「硫黄島」は◯イオージマ ×イオートー)
・市場
イチバ…… (「場所」を表す場合) 魚〜 果物〜
シジョー… (「経済的な機能」を表す場合) 〜価格 売手〜 卸売〜 果果物〜
・一矢(〜を報いる) 読み ◯イッシ ×イチヤ ×ヒトヤ
・「茨城県」の読み ◯イバラキケン ×イバラギケン
大阪の茨木市は〔イバラキシ〕。
・違法・不法
「違法」は「不法」とほとんど同義語として使われることが多いが、次のようなニュアンスの違いがある。
違法… (法律に違反していること) 〜建築 〜駐車
不法… (法律に違反していることのほかに、反社会的な行為なども含む) 〜入国 〜侵入 価格を〜つり上げる
・「大」の付く語の読み(中略)
原則として、「大」の後に「漢語」(音読みの語)がくると〔ダイ〕、「和語」(訓読みの語)がくると〔オー〕だとされている。「大地震」の場合は、〔オージシン〕である。
・標準語と共通語(中略)
標準語とは1つのあるべき姿を想定したことばであり、共通語はどの地域の人々でも共通に理解できるというニュアンスの違いがある。
・競売〔キョーバイ〕
放送では〔キョーバイ〕とする。出演者が〔ケイバイ〕と言うのは、かまわない。
・皇室の敬語について(中略)
皇室のニュースを伝える時には、1文に1つの敬語を使い、二重敬語にならないように注意する。なお、皇室に対しては、伝統的に特別なことばや敬語を使う場合があるが、それはやさしいことばに言いかえて使う。
・五色 読み ゴシキ・・・・・・色とりどり。
ゴショク・・・5種類の色。
・古文書 読み 〇コモンジョ ×コブンショ
・混合表現(中略)
たとえば、「汚名返上」と「名誉挽回」が混ざってしまい、「汚名挽回」ということばになってしまうなどである。(中略)
本来の正しい言い方「精魂尽き果てる」の後半を、似たような表現「疲れ果てる」と混合した結果、出てきたものと思われる。なんとなく意味は通じるがもちろん正しい表現とは言えない。
・最大の焦点
「最大の」は、単に大きさを言っているわけではないので、「最大の焦点」は、ひゆ的にはありうる表現。ただ、「最大の焦点」を乱用すると、焦点がぼやけて効果が弱くなる場合があるので、別の表現を工夫したほうがいい。
・CD〔シーディー〕
「CD」は、一般的には次の3つのことばの省略語として使われる。
(1)コンパクトディスク compact disc
(2)現金自動支払機 cash dispenser
(3)譲渡性預金 certificate of deposit
・NHKでは広告宣伝放送が禁止されている。それがニュースや番組に必須の要素である場合を除いて、商品名を放送しないことになっている。
商品名などの特定名称ではなく、一般名称を使う。たとえば、「宅急便」は、特定の商品名であるため、一般名称である「宅配便」に言いかえて使う。
「セロテープ」も、特定の商品名であり「セロハンテープと」と言いかえて使っている。
・重複表現(中略)
たとえば、「馬から落ちて落馬して~」のように、重複表現であることが明らかのものや、「日本に来日する」「水道の水が断水する」「色が変色する」「元旦の朝」「炎天下のもと」「工事に着工する」などはできるだけ避けたほうがよいだろう。
・重複表現(中略)
「今、現在」「歌を歌う」「犯罪を犯す」などは、そのことばを強調する役割もしており、意味が重なることでわかりやすくしているとも言える。そのため重複に見えても場合によって許される。
・テレビ画面の文字数
示す時間の長さにも関係してくるが、ニュースでは、現在、1行の限度13字、7行以内を目安にしている。(中略)なお、文字放送の場合は、1行15字、2~8行。
・天気
「天気」は一般に次の3つの意味で使われる。
(1)ある場所のある時刻の気象状態を言う。(中略)
〈例〉~予報 あすの~は…(中略)
(2)上記(1)よりも狭い意味で、晴れ、曇り、雨、雪などに限定して言う。(中略)
(3)晴天の意味。(気象用語では、この意味は使わない)
〈例〉あすは~だ
・豚汁 読み 〇トンジル 〇ブタジル
全国を見ると両方の読みがある。北海道をのぞく東日本にやや〔トンジル〕が多く、西日本と北海道に〔ブタジル〕が多い傾向が見られ、地域によって呼び名が異なることがある。
・とんでもない
「とんでもない」を「とんでもありません」「とんでもございません」という人がいるが、「~なんて、とんでもないこと(話)です」という言い方が本来の形。
・耳で聞いて理解しにくいことばや意味の紛れやすいことばはできるだけ言いかえをする。文を短く、講文を簡単にする。明瞭な発音でわかりやすく話すことが重要だと考えられている。
・放送文章の基本
放送文章を書く際には、次のような基本を守る必要がある。
1.センテンスを短く(中略)
2.長い連体修飾語を避ける(中略)
3.見出しをできるだけ簡潔に(中略)
4.常とう的な表現を避ける(中略)
5.専門用語や官庁用語をわかりやすく
・メセナ活動
放送では、「企業による社会への貢献、文化芸術への貢献」などと説明を付ける。フランス語で文化・芸術活動に対する支援の意。
・メッカ
イスラム教の聖地のことであり、比喩的には使わない。
〈例〉 ×修験道のメッカ、○○山 ×高校野球のメッカ、甲子園
●書籍『NHK ことばのハンドブック 第2版』より
NHK放送文化研究所 (編集)
出版社: NHK出版 (2005年11月初版)
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