このウェブサイトにおけるページは、書籍『TED TALKS スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド』(クリス・アンダーソン 著、 関 美和 翻訳、日経BP社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・人前でのスピーチだ。ヘビよりも、高い所よりも、なんと死よりも、人前で話す方が怖いのだ。(中略)
じゃぁ、なぜそんなに怖いんだろう?
それは、失うものが大きいからだ。その瞬間の経験だけでなく、もっと長い目で見た自分の評判が、そこにかかっているからだ。他人にどう見られるかは、僕らにとって一大事だ。人間はどうしようもなく社会的な生き物だから。
・TEDに登壇した科学者のソフィー・スコットは、2分もたたないうちに観客全員を笑いの渦に巻き込んでいた。ソフィーは世界的に有名な「笑い」の研究者
・登壇者の多くは拍手喝采に送られてステージを降り、感動的なツイートが続々と流れることを夢見ている。そこに落とし穴がある。スタンディングオベレーションを追い求めると、悪いほうに走ってしまうのだ。感動的な登壇者のトークを見て、それを真似てしまう。でも形だけだ。すると最悪の結果が待っている。観客の頭と心を操ろうとして、これでもかといろんな技を追い続けることになる。
・ステージを闊歩して頭の良さを見せつけ、観客を沸かせるような大人気の講演者になることを夢見ているのなら、考え直したほうがいい。その夢は捨ててほしい。あなたよりもはるかに大きななにかを夢見てほしい。その夢に向かって努力し、価値あるなにかを成し遂げてほしい。それから、謙虚にここにやってきて、学んだことを教えて欲しい。
・演劇や映画や小説の分析に使われる言葉がある。スルーラインだ。つまり、一つひとつの物語の要素をひとつにまとめる、一環したテーマのことだ。どんなトークにも、このスルーラインが必要になる。
・TEDの人気トークとそのスルーラインを挙げてみよう。どのスルーラインにも、意外性がある。
●選択肢が増えると幸福度は下がる
●弱さは大切な宝物で、隠さなくていい
●子供のものすごい(おもしろい)創造性に目を向ければ、教育の可能性が一変する
●ふりをしていると本物になれる
・TEDトークは18分までと決まっている。(なぜ18分か? インターネットを含めて、人が集中力を保ち、真剣に考えられるのちょうどいい短さだから。それでいて、大切なことを語るのに十分な長さだから)。
・スピーチの長さによる。10分のスピーチなら準備にまるまる2週間かかる。30分のスピーチなら1週間。いくらでもしゃべっていいなら、準備はいらない。今すぐできる。
・今この時点でもっとも再生回数の多いTEDの登壇者は、ケン・ロビンソン卿だ。彼のトークのほとんどは、単純な構成に従っている。
A イントロダクション ―― これから何を話すかを紹介する
B 背景 ―― なぜこの問題が大切なのかを説明する
C 中心になるコンセプトを語る
D 実際にどんな影響が考えられるかを予想する
E 結論で締める
・問題は、この手のトークをたくさん聞かされると、観客は気分的に疲れ果て、心を閉ざしはじめることだ。共感疲れが溜まってくる。あなたのトークの前にそうなってしまうと、あなたはインパクトを与えられない。
どうしたらそれを避けられるだろう? まずは、あなたのトークを「社会問題」を訴えるものではなく、「アイデア」を語るものと考えることだ。(中略)
社会問題は「これって悲惨じゃないですか?」と訴える。アイデアは「これって面白くないですか」と問いかける。
・講演者の使う5つのツールを見ていこう。
●つながる
●ストーリーを語る
●説明する
●説得する
●見せる
・パッと見た目の判断の基準になるのは、おどろくほど軽いヒントだ。洋服。歩き方。立ち姿。表情。ボディーランゲージ。目線。
優れた講演者は、すばやく観客とつながるにはどうしたらいいかを知っている。ステージで堂々と歩き、見回し、2、3人と目を合わせ、微笑むだけでいい。
・弱さを見せる
観客の構えをほどくもうひとつのいい方法は、はじめにあなた自身の弱さを見せることだ。(中略)
「少々お待ちを。みなさんお気づきだと思いますけど、ちょっと緊張してるんです。すぐに通常運転に戻りますから」。そんな講演者に観客は温かい拍手を送り、心から成功してほしいと願うものだ。
・弱さを出すといっても、なんでもかんでもさらけ出せばいいわけではありません。それには公式があります。限度のない弱さは弱さではない、ということです。(中略)
いちばんいいのは、なぜ弱みを見せようとするのかを深く探ってみることです。聞き手の役に立つからでしょうか? それとも自分のためでしょうか? 前者には力がありますが、後者は心を傷つけてしまいます
・ストーリーを語るときには、次の4つのことが大切だ。
●観客が共感できるような登場人物を主人公にすること
●好奇心、社会的な関心、実際の危険を通して緊張を盛り上げること
●適度な量のディテールを盛り込むこと。少なすぎるとストーリーが生き生きとしない。多すぎるともたついてしまう
●最後に笑いや感動や驚きできちんと締めくくること
・アイスクリームチェーンのベン&ジェリーズにはレバーと玉ねぎ味のアイスはありません。でもそれは調理して、試食して、オエッとなったからじゃありませんよね。実際に試してみなくても、そのフレーバーを想像してオエッと感じるからです。
こうして疑似体験の実例を生き生きと描くことで、観客は完璧に理解する。
・好奇心に火をつけた。なぜ? どうして? という気持ちを起こすのが好奇心だ。なにかおかしいという気持ちだ。そこに、知識の溝を埋めたいという欲求が生まれる。
・たとえ話の力をこんな例で語っていた。(中略)
朝、出かける準備をするとき、ジーンズをはく前に靴をはくなんて考えられますか?
・説得とは、聞き手に今の世界の見方が違っているとわからせることだ。それは、ダメな部分を壊して、もっといいものにつくり変えるということだ。それに成功すると、話し手も聞き手もぞくぞくするような感覚を覚える。
・作品の力を際立たせるには、話し手がめったに使わない武器を使うこともできる。沈黙だ。
・そのスライド大丈夫? (中略)
そうした素材が本当に必要なのか胸に当てて聞いてほしい。TEDの中でもっとも再生回数の多いトークの少なくとも3分の1は、まったくスライドを使っていない。(中略)
スライドがあると聞き手の注意が話し手からスクリーンに多少は移ってしまう。
・グラフやチャートについては特にそうだ。2月の降雨量が10月よりも必ず多いと話すなら、降雨量のグラフの中で、2月と10月の移動別の色に表してみたらどうだろう?
・アイディアを見せる道具として、動画はとっておきのツールになる。だけど、一度に30秒超えてはいけない。よっぽどのことがない限りは、18分のトークでそれを2回から4回までにしたほうがいい。
・テストには2種類ある。人のテストと機械のテストだ。まず人のほうは、講演者がプレゼン、特にスライドを、家族や専門家でない友達の前で見せてテストしよう。
・複雑なことを平易に語り、わかりにくいことをワクワクするものに変える
・伝え方を間違えると、新鮮さがなくなってしまうのだ。「原稿を読む」のと「観客に話しかける」のでは、聞く側からはまったく違う印象になる。
・ここに呼ばれて光栄だとか、主催者の妻に感謝するなんていうことは、本当にどうでもいい。大切なのは、観客に1秒でもそっぽ向かれないことだ。出だしの瞬間から観客を引き込むような「つかみ」を準備してほしい。意外な言葉。好奇心を湧かせる質問。短いストーリー。ありえない画像。
・たまに、出だしの部分に多くを詰め込みすぎる登壇者がいる。つかみの部分でトークのおちを全部出してしまうのだ。「起業家としての成功の秘訣はただひとつ。それはあきらめないこと」。すばらしい目標だ。でも聞き手はそこで興味を失ってしまうトーク。全部聞いたつもりになってしまうのだ。(中略)
逆に、こうはじまったらどうだろう? 「これからの数分間で、起業家としての成功の秘訣と、ここにいるみなさんがそれをどう育てられるかを教えしましょう」。おそらく、少なくともあと数分は聞いてみようと思うはずだ。
最初に手の内をすべて見せずに、聞き手をに連れていくよう誘惑するには、どんな言葉を使ったらいいかを考えてみよう。
・ダメな例を挙げてみよう。(中略)
●「最後に、この写真に写っている私の素晴らしい仲間たちにお礼を言いたいと思います。(中略)」(気持ちはわかるが、アイデアよりも仲間のほうが大切なのか? それに、僕たち観客よりも仲間に気を遣うのか?!)
●「未来は挑戦とチャンスに満ちています。ここにいる全員に世界を変える力があります。一緒に夢を目指しましょう。世界をいい方向に変えていこうではありませんか?」(言葉はきれいだけど、中身がゼロ)(中略)
●「これで私の話は終わりです。質問はありませんか?」(それじゃ拍手できないだろ!)
・トークにインパクトがなくなってしまう。そんなことにならないよう、7つの方法を紹介しよう。
大きな可能性を示す(中略)
行動を呼びかける(中略)
個人的に約束する(中略)
価値とビジョンを伝える(中略)
パッケージし直す(中略)
最初のストーリーに戻る(中略)
詩的なインスピレーションを与える
・不倫には両面があると思います。ひとつは苦痛と裏切り。もうひとつは成長と自己発見。不倫が相手に与えた影響と自分にとっての意味です。
・服装
なにを着ればいい? (中略)
TEDではほどほどにカジュアルな服装をおすすめしていて、そのほうがみんなで一緒にリラックスできるからなの。
・服装
なにを着ればいい? (中略)
TEDウーマンに登壇したリンダ・ クリアット・ワイマンは背景に混ざらないような鮮やかなピンクのワンピースで登場して、その瞬間から最後の拍手まで全員の目をくぎづけにしていたわ。
・パブリック・スピーキングのスキルは今も重要だけど、これから先はもっともっと重要になる。
・理性というものはそもそも、個人の視点ではなく、人間全体の視点で世界を見ることを求める。理性は「自分のためにこうなってほしい」という主張を拒否し、「全員のためにこうなるべきだ」という主張を選ぶ。
・本書がほかのTED関連本と根本的に違うのは、人気のTEDスピーカーの生の声がふんだんに盛り込まれているところと、オンラインに乗せられないような失敗トークを公開しているところだ。
・TEDの精神「広める価値のあるアイデア」
●書籍『TED TALKS スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド』より
クリス・アンダーソン (著), 関 美和 (翻訳)
出版社: 日経BP社 (2016年7月初版)
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