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佐藤 章夫 氏 書籍『牛乳は子どもによくない』(PHP研究所 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『牛乳は子どもによくない』(佐藤 章夫 著、PHP研究所 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・「アメリカ人は牛乳を飲む。牛乳にはカルシウムが多い。アメリカ人のようになるにはカルシウムが必要だ。日本の子供に牛乳を!」ということになった。

牛乳を飲めばアメリカ人のようになれるのか。答えはNOである。最終身長は遺伝で決まっている。


・「骨粗鬆症にならない」も牛乳のセールポイントだった。ほんとうに骨が丈夫になるのか。答えはNOである。牛乳消費量の少ない日本人の骨は欧米人の骨より脆いのか。答えはNOである。


・牛乳は乳がんや前立腺がんの原因になる可能性が高い


・最近の牛乳は、妊娠した牛から搾られているために大量の女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)を含んでいる(中略)。

離乳期を過ぎた人間の子どもや成人は妊娠したウシの白い血液などを飲んではいけないのである。


・現在の遺伝的に改変された乳牛(たとえばホルスタイン)は1日に20〜40kgの牛乳を生産する。しかも、搾乳されている乳牛のほとんどが妊娠している。自分の身体を維持し、胎仔を育てながら、なおかつこんなに大量のミルクを分泌することは尋常ではできない。


・現代の酪農ーーー365日のうち300日搾乳する


・酪農家は、毎日の牛乳生産量が大きく変わらないようにするため、4種類の乳牛から搾乳する。妊娠していない牛、妊娠前期の牛、妊娠中期の牛、妊娠後期の牛の4種類である。出産直後の5日間と出産前の2か月(乾乳期)を除いて、すべてのウシから人間用に搾乳する。


・要するにミルクは、同種の動物の子どもの成長・発育に適うように精密につくられた非常に複雑な生化学大的液体なのである。牛乳が悪い飲み物というわけではない。それはすばらしい飲み物である、正しい仔ウシにとって。ここに昨今の牛乳問題の本質がある。


・現在の乳牛は泌乳中に妊娠し、妊娠中にもかからず大量のミルクを分泌するのである。くり返すが、牛乳中のホルモンは本物のホルモンであるから(ウシの女性ホルモンは人間のものと同じ)、そのホルモン作用は外因性内分泌攪拌物質(環境ホルモン)などとは比べようもないほど強い。


・つまり、この研究では、更年期前の女性が低脂肪ミルクと低脂肪の乳製品を多く摂ると、乳がんが予防されるという結論になった。


・前立腺がんと牛乳・乳製品の消費量の間に高度の相関関係があった。重相関分析で独立して前立腺がんと関係が認められたのは「チーズ+ミルク」であった。


・乳がんは、できるだけ早いときか乳・乳製品を摂らないことで予防できる。たとえ乳がんになっても、乳・乳製品を絶つことで転移・再発を抑えることができる。


・2008年4月、厚生労働省の研究班(国立がん研究センター)が「牛乳やヨーグルトなどの乳製品を多く摂取すると、前立腺がんになるリスクが上がる」という研究結果を発表した。


・日本で乳がんが実質的に増えていることは間違いないが、この乳がん患者の増加の一部が乳がん検診に伴う過剰診断によるものであることを忘れてはならない。検診技術が精密になって微小な病変が発見されるようになればなるほど過剰診断が増える。


・デンマーク政府は2011年10月1日、国民の健康を増進するという理由で、バターなどの飽和脂肪酸を一定量以上含む食品に対する課税を始めた。飽和脂肪酸を2.3%以上含むバター、チーズ、加工食品などが課税対象となり、飽和脂肪1kgあたり16クローネ(約220円)の税金が徴収されることになった。(中略)

そして、2012年11月11日、デンマーク政府は2013年の国家予算の策定にあたって「脂肪税の廃止」を発表した。世界で初めての制度として注目された脂肪税は、およそ1年間という短期間で廃止されることになった。


・カルシウムの摂取量をいくら増やしたところで、骨粗鬆症とそれに伴う骨折は予防できるわけではない。ましてや、牛乳の摂取量を増やせば骨折が予防されるなどということはない。


・酪農・乳業に関係の深いカルシウム栄養学の最大の悩みや「カルシウムは骨の健康に必須だと言っているのに、どうしてカルシウム摂取量の多い国ほど骨粗鬆症や骨折が多いのか」という矛盾を説明できないことにある。


・カルシウム摂取量の多い国(=乳・乳製品の多い国)ほど骨粗鬆症を原因とする骨折が多い。


・カルシウム摂取量の多い国ほど骨粗鬆症が多いというカルシウム・パラドックスを初めて報告したのは、ハーバード大学のヘグステッド


・牛乳を飲んでも骨粗鬆症の予防にならないことは、アメリカで行われた大規模疫学調査においても確認されている。そのためアメリカでは、1998年から、「骨粗鬆症の予防に牛乳を」というコマーシャルがメディアから消えた。日本でも2003年から骨粗鬆症に絡めた牛乳の宣伝が行われなくなった


・「子どもを健康に育てるためには何をおいても牛乳を!」という刷り込みの大本は母子健康手帳にある。(中略)

ただし、2012年に配布された母子健康手帳では、牛乳・乳製品を強く勧める記述は消えている。


・スポック博士は、「自然界には、離乳期を過ぎてミルクを飲む動物はいない。人間も同じで、離乳期を過ぎたらミルクを飲まないことが正常である。……(中略)……必要なタンパク質を植物から摂ったほうが、子どものカルシウム・バランスは良くなる」


・離乳期を過ぎてもなお、ミルクという成長促進剤を飲み続けることが問題なのである。


・ミルクを大量に分泌しているウシを妊娠させ、妊娠しているウシから大量にミルクを搾るという現代酪農は不自然である。


●書籍『牛乳は子どもによくない』より
佐藤 章夫 (著)
出版社: PHP研究所 (2014年12月初版)
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