このウェブサイトにおけるページは、書籍『なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編』(山田 英夫 著、日本経済新聞出版社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・「アップルやグーグルのように新しいビジネスモデルで稼ぐ方法を考えろ」
こうしたテーマを与えられたビジネスパーソンは少なくない。
・高速バスの市場
国内線航空会社の年間利用者が約八〇〇〇万人に対して、高速バスの利用者数は年間一億人と言われ、人数では高速バスの方が多い。しかし前途のように、高速バスは地方から都会へという需要に偏っていた。(中略)
実はバス業界全体を見ると、繁盛記と言えども、すべてのバスが稼働している訳ではない。たとえば年末年始やお盆には高速バスは満席に近くなるが、この時期は、逆に貸切バスはフル稼働していない。学校の遠足もなく、社員旅行もない。年末年始やお盆は、貸切バスが余っているのである。(中略)
このため楽天バスサービスでは、貸切バス事業者をリスト化し、繁盛日のみの高速ツアーバス事業を提案し、遊休資産の活用を促した。中小のバス会社は、ツアーバスのマーケティング・ツールを持たないため、楽天バスサービスのマーケティング・ツールを持たないため、楽天バスサービスのウェブ販売に頼らざるをえなかった。
・レベニュー・マネジメントとは、需要を予測して価格を変化させながら、販売量と販売単価の積であるレベニュー(収入)を極大化することである。米国の航空会社が発祥であり、固定費比率の高いホテル業界などでは定着している。「イールド・マネジメント」と呼ばれることもある。
・銀行の基本は、個人から預金を集め、それを法人に貸し出す利鞘で儲けるビジネスである。ところが、ビジネスを個人サービス(リテール)に特化し、他行が手がけない(できない)ような商品・サービスで利益を上げてきたのが、地方銀行の雄、スルガ銀行である。
・スルガ銀行の戦略転換
スルガ銀行の戦略転換のポイントは、個人と法人という両方の顧客を追求するのをやめ、個人に重点を置き、「個人金融サービス・カンパニー」を標榜したことである。
・スルガ銀行の戦略転換(中略)
個人ローンの中でも特にフォーカスしたのか、ニッチ・セグメント向けローンであった。他行が敬遠しているセグメントであっても、信用リスクをきちんと分析すれば、十分ビジネスとして成り立つ層を発見し、それらを開拓した。
・星野リゾート(中略)
星野社長はいっさい指示はしなかったが、「ファミリー旅行の場合、親子は終始一緒にいることが楽しいのだろうか?」という疑問を投げかけた。従来ファミリーリゾートというと、家族が終日行動を共にし、結局親がくつろげないケースが多かったからである。
・パーク24の新事業(中略)
一つは、稼働率のよくない駐車場では、時間貸し以外にその一部を月極駐車場として貸し出している。時間貸しと月極の台数は、需要と供給を見ながら柔軟に配分している。(中略)
もう一つは、駐車場を拠点としてて、カーシェアリング事業「タイムズプラス」を開始した。
・たとえばアマゾンは、出版社へ支払いをする平均四一日前に消費者から入金され、かつ高い在庫回転率が収益の源泉となっている。
・真の顧客は誰か? (中略)
「病院の顧客は?」と問われれば、「患者」と答えるのが普通だろあろう。しかし、本当に患者だけが病院の顧客だろうか。(中略)
青梅慶友病院は患者の家族を顧客と考えるため、以下のような施策をとっている。(中略)
家族が宿泊できるビジネスホテルのような部屋も病院内に設置しており、「今日は帰ってほしくない」という患者の突然の願いにも、対応できる仕組みになっている(この部屋の本来の用途は、最後を看取る家族用である)。
・ドリルメーカーはドリルを売っているのではなく、穴を売っている
・カーブスは、女性がフィットネスクラブに行きにくい三つのMを排除した。それは「No Men」(女性専用)、「No Makeーup」(シャワー、着替えなし)、「No Mirror」(鏡なし)である。
・ワンルーム・マンションからビジネスホテルへ(中略)
飲食や宴会で大手ホテルに追いつくことは難しいが、“宿泊”に絞り込んで勝負すれば戦えるのではないかと考え、一九八九年にビジネスホテル「リンクス」を開業した。(中略)
そして一九九七年には、「ノーキー・ノーチェックアウト・システム」で、特許庁からビジネスモデル特許を取得した。(中略)
ビジネスホテルに宿泊する客は、滞在中ほとんどの時間は寝ていることから、「よく眠れることを」にこだわった。ホテルの責任でぐっすり眠れなかった場合には、預金を返却している。
・映画はヒットする確率は低く、それを事前に予測することは難しい。したがって、製作する側はリスクヘッジのために複数の会社で製作委員会というコンソーシアムを組み、一握りのヒットした映画で、はずれた多くの映画の制作費用を回収しようとしている。これはまさに、ポートフォリオの考え方である。
・ジレットモデルの例
本体 保管製品
栗田工業 水処理プラント 薬品
ネスレ ネスプレッソマシーン コーヒーカプセル
キャノン/エプソン プリンター インクカートリッジ
アクアクララ ウォーターサーバー ウォーターボトル
イーモバイル Wi-Fiルーター 通信料
携帯各社 携帯電話 通話料
東レ/三菱レイヨン 浄水器 カートリッジ
フィリップス 超音波歯ブラシ 替えブラシ
エプソン プロジェクター 交換ランプ
ラスベガス ホテル カジノ
・ジレットモデルは、本体は安く販売し、後から売れる製品で利益を回収するが、それが消耗品である必要はない。消耗品を商品に置き換え、定価で販売するモデルを作ったのが「オフィスグリコ」であった。
・コンビニのデータを見ても、菓子の購入客の七割が女性であった。しかし実際のオフィスグリコの利用者は、七割が男性であった。
オフィスグリコを始めるにあたっては、既存チャネルとのカニバリゼーションも予想され、グリコ社内で反対も出た。だが、(中略)三〇~四〇代の男性の需要を発掘できた。職場における男性の消費は、菓子メーカーにとって“空白地帯”であったのである。
・旧モデルへの固執
ビジネスモデルを変革することは、過去と決別することでもある。人間はこれまでの方法を続ける方が楽であるし、それで利益が出ている場合はなおさらである。
・マイケル・ポーターは、「戦略においては、何をやろうという選択と同じくらい、何をしないかと言う選択は重要である」と語った
・一曲あたり九九セントというリーズナブルな価格で、音楽を一曲から買えるようにした。曲単位で音楽販売するというのは、当時の音楽産業では画期的なことであった。iTunes Storeからダウンロードした音楽
・たとえばコマツは、建機を販売した後、交換部品やメンテナンスで利益を上げている。
●書籍『なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編』より
山田 英夫 (著)
出版社: 日本経済新聞出版社 (2012年7月初版)
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