このウェブサイトにおけるページは、書籍『電子書籍奮戦記』(萩野 正昭 著、新潮社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・本が売れていれば作家と出版社は当然にもいい関係が続きます。しかし売れ行きがかげれば関係に齟齬が生じます。不満がはけ口を探してさまよいます。
・大金で相手の心を浮き上がらせた上で、小出しにいろなものを出させて、欲しいものを取れるだけ取った段階で買収計画を中止する。これが米国式企業買収の手としてあるものだというのです。
・以前、講談社はライセンス契約で嫌な思い出があったようです。ライセンサーとなる会社が倒産して、資産がまるで知らない相手に転売されることになり、いろいろと業務に支障が生じました。この痛い経験から、ボイジャーに対する単なるライセンシー以上の関係を作っておくべきだととの意向から、資金を投入しようという話が持ち上がったようです。
・このとき学んだのは、端末と、フォーマットやビューワが一蓮托生で、突き進むのは危険であるということです。端末をつくったメーカーが、フォーマットやビューワを独占したいと考えるのは、それによって読者を囲い込むことができるからです。
・覇権主義の一つの例が、アップルによる「検閲」です。アップストアで、大谷和利『iPhoneをつくった会社』(アスキー新書)という本を販売しようとしたところ、アップルはこの本のiPhoneでの配信を拒否しました。
・出版とは、「パブリッシング」の訳です。パブリッシングの元々の意味は、私的な意見を、表に立って堂々と発表することです。意見を発表するのに、紙に書かれた言葉が電子的な文章かは問題ではありません。出版社は、紙の本を作るから出版社なのではなく、出版本来の意味で、出版行為を行うからこそ、出版社なのです。
●書籍『電子書籍奮戦記』より
萩野 正昭 (著)
出版社: 新潮社 (2010年11月初版)
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