このウェブサイトにおけるページは、書籍『筋肉の栄養学~強いからだを作る食事術』(川端 理香 著、朝日新聞出版 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・筋肉をつけることは、見た目をよくするだけではなく、健康寿命を延ばすことにもつながる
・筋肉をつけたいからと、たんぱく質が多く含まれているとされる食べ物ばかりとっていてはだめです。コンビニなどでも手軽に買える「サラダチキン」や「卵の白身」ばかり食べているだけでは効果をアップすることはできません。
・「サラダチキン」の落とし穴(中略)
実は鶏肉だけでできている市販のサラダチキンはほとんどありません。(中略)たんぱく質量を増やすために、ホエイパウダーや卵白、脱脂粉乳なども使われていることもあります。
・一つの栄養素だけで細胞が作られているわけではないのです。
・カルシウムやビタミンCなどはいくらとってもエネルギーにならない、つまり太らないのです。
・腎臓で濾されて尿中に排泄されます。そのためたんぱく質をとりすぎると腎臓に負担がかかります。
・たんぱく質を一生懸命とっている人にありがちなのは、おならや便の臭いです。たんぱく質の多い食事をはじめてから、臭いがとてもきつくなっていたりはしませんか?
・たんぱく質を多く取った場合には、腸の状態をよくするには食物繊維を増やすことが欠かせないのです。以上、「筋肉をつける=たんぱく質をとる」ではない
・たんぱく質とは何か(中略)
納豆のたんぱく質は約6グラムです。
・牛肉 ヒレ たんぱく質量(グラム) 19.1 100グラム当たりの量
・トレーニング後などの疲労回復には豚肉や鶏胸肉がおすすめです。筋トレ中にジャンプをしたり、ランニングをしている場合は、足の裏で血液が破壊されるためレバーや牛肉をとりましょう。
・肉類の過剰摂取で腸内で悪玉菌が有害物質を増やしやすいことから、肉を食べたら食物繊維の多い野菜や海藻などを増やすようにしましょう。
・魚介類(中略)
脂質が多いからとトロは避けて赤身を選ぶのは間違いとはいえませんが、筋肉を作るためには魚の脂質はとりたい栄養素で、トレーニングをおこなうときには避ける必要はないのです。(中略)
さばやさんまなど脂がのったものは避ける必要はありません。
・特に筋肉と骨を強化したいのなら、鮭がおすすめです。たんぱく質とビタミンDが多いので、効率よく筋肉を作るだけでなく、カルシウムの吸収を高めて骨も一緒に強くします。同様に、さばなどの青魚も筋肉と骨の強化におすすめです。
・卵---黄身もちゃんと食べよう(中略)
筋肉を効率よくつけるには、たんぱく質量だけを意識していてはだめです。実際に、私が栄養サポートをおこっているアスリートの中には、むしろ卵の黄身を1日数個食べていたりする人がいます。なぜなら、卵の黄身には、トレーニングで多く必要となる鉄だけでなく、筋肉を作るのにかかわる葉酸なども含まれるのです。卵白だけを食べていては効率が悪いのです。
・トレーニング時の水分補給には牛乳はおすすめ。特にトレーニング後すぐの栄養補給は筋肉作りには効果的です
・ヨーグルト(中略)ふたを開けた時とき、浮いている上澄みを捨てないこと。筋肉をつけたいならば捨ててはいけません。この水はホエイといって、筋肉をつけるためには有効なたんぱく質の一つなのです。
・納豆は、健康に筋肉をつけたいときには毎日1パックでもとりたい食品です。さらに納豆にはかつおぶしをかけて食べることをおすすめします。たんぱく質を上手に筋肉にするための組み合わせのコツです。
・人間のからだには、たんぱく質は約12~15%の割合で、筋肉だけでなく骨や血液、内臓などにも存在しています。特に骨格筋に多く、その量は体内の総たんぱく量の約65パーセントにもなります。
・食事で摂取したたんぱく質は、アミノ酸に分解されて吸収され、体内でもう一度たんぱく質になります。つまり、アミノ酸が集まったものがたんぱく質なのです。トップアスリートの中にも、このたんぱく質とアミノ酸が全く別のものだと思ってサプリメントを使用していることもありますが、実はそうではないのです。
・たんぱく質のとりすぎは内臓に負担(中略)
たんぱく質をとりすぎてしまうと、肝臓と腎臓に負担がかかります。また肝臓はたんぱく質以外の栄養素の代謝にも大きく関わる臓器です。筋肉をつけたいから、たんぱく質をたくさんとったからといって、必ずしも筋肉をつけることにはならず、ほかの栄養素の代謝にも影響するためむしろマイナスになってしまうこともあるのです。
・筋肉作りを促す必須アミノ酸・ BCAAとは
筋たんぱく質の合成を促すのは主に必須アミノ酸で、特にその中でもバリン、ロイシン、イソロイシンが有効です。この3つのアミノ酸はBCAA (分岐鎖アミノ酸)といわれています。
その中でも、ロイシンはほかの栄養素なしでも、単体で筋たんぱく質の合成を急激に増加させます。つまり、筋肉を作りたいときには意識したいアミノ酸の一つなのです。
・もう一つ、筋肉作りで意識したいのがグルタミンです。これは筋肉の合成を促進したり、分解を抑制します。成長ホルモンの分泌を促進したり、胃粘膜の保護、さらには小腸のエネルギー源にもなり免疫を高めるアミノ酸でもあるのです。
・グルタミンと名前が似たアミノ酸にグルタミン酸がありますが、これは全くの別物です。グルタミン酸は、だしなどに含まれているうまみ成分です。混同しないように注意しましょう。
・豆よりも肉の方が筋肉になりやすいとは一概にはいえない
・米と納豆という組み合わせで、米のたんぱく質もしっかり筋肉作りに使えるようになるのです。そして、同時に取ることがポイントです。
・筋肉をつけたい場合、実はとった方がよい脂質や炭水化物があります。
・脂質(中略)よい油も1グラム9キロカロリーなのです。からだによいからと、とりすぎれば体脂肪になることは覚えておきましょう。
・魚の場合は刺身でとることがよいです。なるべく早く食べるようにしましょう。夕食で残ったものを翌日の朝食で……というのは、健康にはマイナスです。
・オメガ3は、脂質の中では積極的にとることがすすめられています。血管の老化を予防し、血液の流れをよくする効果がありますが、特にトレーニング時に意識したいのはEPAです。摂取することで赤血球が柔らかくなるため末梢まで血液が運ばれやすくなり、それによって心臓に負担をかけずに、酸素が運ばれやすくなるのです。また筋肉痛や腰痛などの炎症はもちろんのこと、花粉症などのすべての炎症を抑える効果があります。疲労回復にもなるので、筋肉を作るためには積極的にとりましょう。
・炭水化物とは、糖質と食物繊維のことなのです。人が消化吸収できるのは糖質、できないのは食物繊維です。そのため吸収できる糖質は1グラム4キロカロリーですが、食物繊維はエネルギーがほぼ0キロカロリーです。
・血糖値を上げるのは糖質だということです。脂質は血糖値を上げないことを覚えておきましょう。
・たんぱく質だけとってトレーニングをおこなうよりも、インシュリンをだすような食事をすることが筋肉作りには有効なことがわかります。
・食物繊維の主な働きは、①血糖値の上昇をゆるやかにする、②血中コレステロール値を正常にする、③便秘を予防する、④腸内環境をよくする、があげられます。
・たんぱく質を多くとってる人は普段から食物繊維の多いものを積極的にとりましょう。
・効率よく筋肉を作るためには、腸の環境をよくしておくことです。そのためには、プレバイオティクスとプロバイオティクスという言葉を覚えておきましょう。まずプレバイオティクスですが、これはオリゴ糖を含む食物繊維のことです。
プロバイオティクスとは、乳酸菌やビフィズス菌をはじめとする微生物やそれらを含む食品のことです。具体的には、納豆やキムチ、ヨーグルト、ぬか漬けなど、発酵食に含まれています。(中略)
この食物繊維を含むプレバイオティクス、プロバイオティクスも意識するようにしましょう。
・ビタミンD---からだ作りに高い効果(中略)
生しいたけも紫外線をあてることでビタミンD量がアップします。(中略)ただし、干ししいたけは必ずしもビタミンDを多く含むとは限りません。天日干しなどと書いていれば別ですが、機器などで乾燥させたものが多いのです。
・ビタミンK---ひきわり納豆で強化
骨祖しょう症の治療薬として使われるなど、骨の形成の促進効果が認められているビタミンです。(中略)ビタミンKをとりたいならば何といってもおすすめは納豆です。(中略)ひきわり納豆を選ぶとさらにビタミンKがとれます。なんと粒納豆の1.5倍です。(中略)
原材料が一緒でも製造方法が違うと栄養価が異なる
・ビタミンKは、モロヘイヤやほうれん草、春菊、ケール、パセリ、ブロッコリーなどの野菜に含まれます。
・ビタミンB2---口内炎の予防に
レバーやうなぎ、かれい、さば、ぶり、納豆、乳製品にも含まれます。(中略)ビタミンB2は不足すると口内炎や口角炎が起こります。
・ビタミンB6---たんぱく質を多くとったら必要
ビタミンB6は、まぐろやかつお、鮭、などの魚介類や、鶏胸肉、レバー、牛肉、そしてバナナに含まれます。(中略)ビタミンB6は脂質や糖質、アルコールなどで引き起こされる脂肪肝の予防に効果があることがわかってきました。
・ミネラルとは何か
ミネラルとは、鉄やカルシウム、ナトリウムなどの総称です。骨や血液などのからだを作る成分となったり、筋肉の収縮にも関与しています。
・カルシウム---日本人は不足しやすい(中略)
牛乳が苦手だったり、食事で思うようにカルシウムがとれないと思う人は、硬水を飲むようにするだけでも違います。そして、カルシウムをとるときに注意したのが、たんぱく質です。やみくもに増やしてしまうと、カルシウムの吸収が落ちるのです。
・鉄---効率的な吸収を考えて(中略)
毎朝の納豆に、酢とねぎをのせて食べるアスリートがいますが、この組み合わせも鉄の吸収を上げます。
・回数を分けてたんぱく質をとる(中略)
1回で吸収できるたんぱく質の量はそれほど多くないため、効果的に筋肉を作るのに大事などは、まとめて食べるよりも、回数を分けて食べること。(中略)
実際に、ある食事を3食でとるのと、たんぱく質を毎食とれるようにそれを5回に分けたものでは、回数が多いほうが筋肉がつきやすいことがわかっています。
・筋肉を作るには、摂取のタイミングがポイントです。トレーニングが終わったらすぐに補給します。トレーニング後30分以内とよくいわれますが、終わったらとにかくすぐに補給しましょう。効率よく筋肉をつけたいならばここがとても大事です。
トレーニングが終わってすぐがよい理由には、このタイミングは、成長ホルモンの濃度や血流、インシュリンの筋肉への感受性が高まっているからです。
・トレーニング後にバナナを食べている人がいます。バナナは炭水化物が多いのですが、たんぱく質はほとんど含まれません。バナナを食べる場合は、一緒に牛乳、豆乳、チーズをとりましょう。バナナにはビタミンB6が含まれます。繰り返すように、たんぱく質の代謝に必要なビタミンを一緒にとれるので効率よく筋肉を作ることができます。
・スポーツドリンクは比較的糖質が多いのです。
・米は納豆と一緒に食べることで質がよくなる(中略)パンも豆製品との組み合わせがよい
・卵は手軽にたんぱく質やビタミンDなど筋肉作りに必要な栄養素がとれます。ただしビタミンCと食物繊維だけが含まれません。ですから卵をとるときに豆製品は食物繊維が多い納豆がおすすめです。またサラダなどではビタミンCやビタミンB6がとれるブロッコリーを多めにします。
・自分でお弁当を作る場合、まず確認したいことはお弁当箱の大きさです。お弁当の容器の底に〇ミリリットルなどと容量が書いてありますが、700ミリリットルの容器の場合にその700キロカロリー程度になるといわれています。
・一人暮らしだったりして疲れてお弁当を作る時間がない選手の場合、「おにぎりに魚に缶詰、粉チーズ、野菜スティック」を持参するというケースもあります。魚の缶詰に粉チーズをかけて味をアレンジしながらカルシウムをとっているのです。
・中華料理(中略)あんかけ料理には注意。中華料理はたっぷりの油で炒める調理法で、八宝菜などのあんはその油をすべて含んでいます。
・中華料理(中略)
〈おすすめメニュー〉
①ごはん、えびと豆腐・卵の塩炒め、レバニラ、きくらげのスープ
②ごはん、麻婆豆腐、青椒肉絲(チンジャオロース)、卵スープ
③ごはん、野菜炒め、酸辣湯(サンラータン)、棒棒鶏(バンバンジー)(またはよだれ鶏)
・ファストフード(中略)
店舗で生野菜をカットしている場合は別ですが、スーパーにあるカット野菜のような場合は栄養素の損失があり、食べているつもりでも意外に栄養素がとれていないことがあるからです。それよりは、ミニトマトなどの購入して、帰宅後に食べることをおすすめします。
ちなみに最近のカット野菜は、この栄養素を損失をおさえる工夫もされている商品もあります。そのためカット野菜は栄養素の損失が大きいとは一概には言えなくなってきています。
・アルコールの最大の弊害は、筋肉作りに関与する成長ホルモンなどの分泌が減り、たんぱく質の合成が阻害されることです。
・トレーニングをおこなったあとに血液検査をすればわかりますが、必ず肝機能の数値が上がります。アスリートの場合もこの数値があまりにも高くなりすぎると怪我のリスクが高まるため、体を休めることを意識することです。
・肝臓の働きを助けるタウリン(中略)実はタコ、イカ、ホタテなど魚介類に多いのが特徴。刺身1皿をとれば相当な量のタウリンが取とれます。
・遅い時間の夕食は体脂肪になりやすいのです。なるべく早めに夕飯はとり、遅くともそのため21時までには食べ終わりたいものです。
・夕食(中略)遅くなってしまう方(中略)
自宅に戻ってから夕食をしっかり食べるのではなく、会社で補食を食べて遅い時間の夕食の量を減らすようにします。
・女性におすすめの筋肉食メニュー(中略)
キンパ&チョングッチャン(中略)
筋肉をつけながら体脂肪を落とし、からだを引き締めたい女性には韓国料理がおすすめ。野菜や胡麻、酢などがとりやすいです。キンパはおにぎりよりも具だくさんのため、糖質を抑えながらビタミン等がとりやすいのは特徴です。またチョングッチャンなどの鍋料理は必要な栄養素をとりながら満腹感も得ることができます。
・ごはんと豆腐の組み合わせは、たんぱく質を無駄にしない上手な食べ方です。豆腐の場合、木綿豆腐にすればカルシウムをしっかりとります。
・食事を変えるということは習慣を変えることでもあり、それは簡単ではありません。変化を受け入れる事ことは年齢とともに難しくなったりもするのですが、今よりも強くなるなど現場を変えるためには、何かをプラスするとか、大きな変化が必要になることもあります。
・食べることもトレーニング
・肥料やえさなどでも食品の栄養価は変わります。卵でもビタミンEが多いものをアピールしているものや、さらに最近は黄身の色を鮮やかにするために飼料にパプリカをいれるなどしています。こうしたこだわりのある選び方が、結果を変えていくのです。
・毎朝、さばやさんまの缶詰を1缶食べる。(中略)
チームで測定する血液検査では、コンディションの指標になるEPAの数値がチームの中では断トツの高い値です。
・食事はからだだけでなく、メンタルも強くするものだと思います。さらには知識が増えると、俗説を鵜呑みにせず自ら考え、選択するという、思考力も高めることになると思います。
・つまり代謝が高ければ、同じような生活をしているだけでエネルギーが多く使われるため、体脂肪もつきにくくなります。
・基礎代謝は筋肉量だけでなく、年齢、性別、気温などでも変わります。
・トレーニングによって白筋は赤筋に変化しますが、その逆は起こりません。
つまり、短距離が得意な選手はトレーニングによって長距離も得意になる可能性はありますが、その逆は難しいということです。
・カフェインは筋肉を意識してるときはとらない方がよい? (中略)
カフェインは筋肉増加にかかる事ことはありませんが、疲労を遅らせ、体脂肪の燃焼を促進したり、中枢神経の興奮作用があったりと、持久力や集中力を高めます。体脂肪を落としながら、しっかりトレーニングを行い行いたい場合は使えます。
しかし、利尿作用があり鉄やカルシウムの吸収が落ちます。運動中の水分補給の重要性や鉄やカルシウムの必要性を考慮すると、筋肉をつけたいことを目的とする場合は、とりすぎない方がよいでしょう。
●書籍『筋肉の栄養学~強いからだを作る食事術』より
川端 理香 (著)
出版社: 朝日新聞出版 (2019年4月初版)
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