このウェブサイトにおけるページは、書籍『本を売る技術』(矢部 潤子 著、本の雑誌社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・杉江由次(本の雑誌社 営業部)(中略)
本屋さんの仕事、“本を売る技術”に興味が湧きました。超がつくほど多品種の、同じ値段でしか売ることのできないものをどのようにして売っているのか。
・本屋で働く新しい人たちへの10ヶ条
1、新聞を読むこと
2、売場にいること
3、品出しを優先すること
4、考えて並べること
5、本をよく見ること
6、手を動かすこと
7、売場とお客さまに教わること
8、棚で語ること
9、本を売ること
10、そして本を愛しすぎないこと
・新刊と呼んでいるのは新しい本のなかでも、一応出て3ヶ月が目安なんです
・その本はなぜそこに置くかを考えないといけないと。ここに本を指す理由、ここに本を積む理由をね。ただ漫然と置いていると、こちらに置けば売れたかもしれないということがわからなくなっちゃうでしょ。
・本屋という仕事が他の小売りとちょっと違うのは返品があるってことですよね。実は何を売るかと同じくらい何を返すかというのが重要な要素になる
※杉江由次(本の雑誌社 営業部)
・何を返品するかをジャッジできないと仕事が終わらない
・あんこ棒を棚板の奥に入れて、本を前に押し出します。既成のそれ用あんこ棒もあるし、スチールレンボードを切ってお手製で作る場合もある。
・棚から本の背が5ミリ前に揃って出るようにしたい。(中略)なんで本を5ミリ出すんですか?
本が手に取りやすくなるでしょう? てことは買いやすい。それに照明が当たって背表紙が読みやすくなる。
・本屋っていうのは、毎日来る人向けだと思っているからね。とすると、同じ場所にずっと同じ本はつまらないでしょ。
・お客さまの無意識下にあるものということですかね。「流行っているって聞いたかも」くらいの本を見つけて、「あ、これこれ!」というものが。「あれを買いに来た」と意識下にあるものは、お店の入り口になくてもいい。
※杉江由次(本の雑誌社 営業部)
・売るっていうことは並べるってことであり、並べるっていうことは外すっていうことなんですね。面白いなあ。
※杉江由次(本の雑誌社 営業部)
・置かれた場所で咲きなさい、ではなくて、咲く場所に置きなさいってことなんですね。
※杉江由次(本の雑誌社 営業部)
・版元は新刊が出来上がるおおよそ一週間前になると、その新刊の見本、事前に書店から集めた注文データ、販売計画を持って取次の仕入れ窓口を訪れます。これを見本出しといいます。
小林泰大 氏談
・本来は棚下でいつも同じだけ売れているっていうのが一番ありがたいわけです。手間がかからないんだもん。
・広告だと、銘柄ごとの出版社の力の入れ具合もなんとなくわかりますからね。それで新刊が出る人がわかれば、既刊本を返さないようにする
・物流と販売日(中略)
どんな銘柄でも全国発売日を統一できないかというと、そうでもありません。その手段として「発売協定」があります。発売協定の手法として「東京出荷協定」と「積込」の2種類があります。(中略)
一部のコミックが中京・近畿圏で首都圏より1日早く発売されているのはこの関係で、かつて首都圏基準1日遅れだった地域に対して、首都圏と同一販売になった今でも1日遅れ扱いで積込されていることによります。
・この間ある本屋さんに行って何かが足りないと感じたんですけど、あとで考えたら季節感のあるフェア台がなかったんです。たとえば、春先だったらお弁当のフェアとか
・季節ネタは生活と結びついているから、お客さまにわかりやすい売場を演出することができる(中略)例えば急に暑くなったら、冷たい飲み物とか冷たいデザートってみんな思うわけじゃない。タイミングがあえばもちろん売れる。
・本屋は一般的な平台だと四六判で32点くらい積める平台がある(中略)32点というのは奥4点に横8点というイメージ
・エンド台の役割は、この平台の両奥には書棚がずっと連なっていて、ここに積んである本はそのほんの一部であって、奥に行けばまだまだ面白そうな本があるんですって思っておもらうこと(中略)
なので、エンド台の左端右端には、比較的売れているんだけど在庫が少ない本とか、内容も棚前の平積みと繋がる本などを置く
・本屋の棚は基本的に左から右に流れるように作る
※同書 99ページより
・平台はいつも縦割り。何列ずつってすることはあってもいつも縦。すごく在庫が少なくてもほんとに売れていてここで売るぞっていう本は1列でも縦。
※同書 101ページより
・新刊配本以外では、書店から注文しない限り商品は入荷しません。その際版元と取り決める取引条件が主に三つあり、それぞれ「注文」「長期」「常備」と呼んでいます。
・発注経路と使い分け(中略)
Web受注サービスは一部の版元が独自に、ないし共同で運営しているもので、KADOKAWAのWeb Hot Line、講談社のWebまるこ、小学館・集英社・白泉社など36社が乗り入れるs-book.net、新潮社・文芸春秋・光文社など28社が乗り入れるBookインタラクティブなどがあります。s-book.netに登録すると出版社共同ネット(95社加盟)にも発注できるようになります。取次のWebサービスには基本料金がかかる一方、これらのWebサービスはすべて無料で利用できるので登録だけでもしておきましょう。ただし発注時に出荷が確約されないことも多々あるので、客注分としての利用は避けるのが賢明です
・残念ながらスリップは、2018年あたりから廃止する出版社が出てきまして、今現在(2019年)大小含め50社以上がスリップなしで納品するようになっているようです
※杉江由次(本の雑誌社 営業部)
・---そもそも本て、何を基準に置き場所を決めるんですか? ※杉江由次(本の雑誌社 営業部)
どこに置いたら一番売れるかということだけれど、それって結局お客さまが自分で探しやすいかどうかですよね。
---ああ、お客様が誰にも聞かずにその場所に行って、そこに本があるってことですか。 ※杉江由次(本の雑誌社 営業部)
そうそう。
・---曖昧な本とかをどこに置くかって矢部さんはどうやって判断していたんですか? ※杉江由次(本の雑誌社 営業部)
みんな自分なりの基準はあると思うけど、でも基本は著者が何をしている人か、だよね。
---著者の職業とことですか? ※杉江由次(本の雑誌社 営業部)
そう。最初に見るのは何を生業にしている人かっていうことね。
・その本の本籍地をどこに定めるのかっていうのが、売上を守るのには一番大事なんだよね。だから著者プロフィールはしっかり見ます。
・お客さまが本を取りやすいかどうかをまず考える。そしてもちろんを傷めないようにすること。
・お客さまが手に取りやすい平台や棚を作るのは、本屋として最優先事項です。(中略)何よりもお客さまの使い勝手のいいお店にしていかないとね。
・出版社の作るPOPの多くは帯や表紙のまんまだったりして、あれはまったく意味をなしてないと思いますね。※杉江由次(本の雑誌社 営業部)
・POPのの後ろに置かれた本は死んじゃうこともある。(中略)立てても問題ないのは、同じ本を多面で積んでいるときね。
・新潮文庫にはスピンが付いているじゃない。あれって、お客さまが手に取って中を見ると飛び出ちゃうよね。で、飛び出したまま棚にまた戻る。それを直してました。
・スピンを糊付けしているところからいちばん近いページに挟みます。コツがあって、スピンを一度下にキュッと引いてからページの奥に入れ、長さの真ん中あたりからクルッと柔らかく丸めて入ります。
・通路にワゴンとかテーブルとか自立什器を何台も置いて、平台自体も斜めにしたりして歩きにくく、ストレスを感じさせる売り場になっていないかしらって。(中略)
通路を妨げてお客さまの足を止めるのではなく、平台の力と商品の力で止まってもらいたいよね。
・ワタシは更に残したストックの30冊が売場に再デビューする事はそんなにないと思う。だったらバックヤードのその場所は、その本を置くために使うより、これから売る本を置くのに使うべきだと思います。
・平台は基本的には新刊プラス売上上位を積んでる
・客注(中略)
お取り寄せ、すなわち客注はおおまかに受注、発注、突き合わせ、入荷連絡、引き渡しの5つのフェーズに分けられます。これらを全て同じ人が担当することはまれでしょう。ましてや店舗が大きくなればなおさらです。
●書籍『本を売る技術』より
矢部 潤子 (著)
出版社: 本の雑誌社 (2020年1月初版)
※amazonで詳細を見る
Copyright (C) 2003-2024 eパートナー All rights reserved.