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亀井 芳郎 氏 書籍『中小企業を救うエマージェント経営戦略 セブンエレメンツモデル』(ビジネス社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『中小企業を救うエマージェント経営戦略 セブンエレメンツモデル』(亀井 芳郎 著、ビジネス社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・エマージェント・ストラテジー(中略)=エマージェント(中略)

“創発戦略”とは、計画重視の戦略ではなく、“現場実行から生まれる戦略”で、環境適応に優れた柔軟な戦略だ。たとえば、飲食店がデリバリーを始める、小売店がウェブショップを強化する、カバンの製造業者がマスクを製造する……などといった、ポストコロナ経営の答えとなり得るものが、ここにある。


・世界の創業100年以上の企業のうち、半数近くが日本の企業という結果だ。さらに創業200年以上の企業の比率は、65%まで上がる。長寿という条件では、日本企業はダントツで世界一である。


・中小企業の戦略分析・立案に適した、戦略フレームワークが見当たらない


・商家の原点は「家」だということである。商家では、「商売繁盛、子孫繁栄」がモットーとして表現されている。そして、この世代的に受け継がれていく家業のシンボルが「のれん」だった。のれんは、商家の伝統と信用の象徴である。


・「家」「長期視点」「家族主義」「終身雇用・年功序列」「中核人事と外部人材」が江戸時代の商家のエッセンスである。


・日本企業の特徴の1つとして、職務権限が不明確なことがあげられる。


・十七条憲法を要約すると、以下のことが示されている。

●日本人が古より受け継いでいる「和」の重要性
●謙虚・ 質素・礼儀
●私利私欲の排除・公明正大
●人としての正しい道
●勤勉・勤労の大切さ
●勤勉・勤労の大切さ
●信用の大切さ
●私より公を優先する
●独断専行の解除


・戦略とは選択であり、企業は自社と競合他社と差別化する戦略を選ばなければならない


・戦略を組んでも、策定通りにうまくいかないということが、往々にしてあるのではないだろうか?

戦略策定をするにあたり、誤って信じられていることがある。

(中略)
その誤りとは主に、「予測することは可能である」「戦略策定者は現場と別世界で存在できる」「戦略策定プロセスは定型化すべきである」の3つの要因である。


・エフェクチュエーション(手段ありき)のモデルでは、意思決定者は、あらかじめ決められた結果や市場からスタートしない。その代わりに「可能な手段を定義すること」からスタートして、次に、偶発性を伴うやり方で、いくつかの可能な結果から選択するのである。

対して、コーゼーション(目的ありき)の教科書的なマーケティング・プロセスは、こうだ。まず製品が対象とするすべての顧客を含む「市場を定義すること」からスタートする。そして、定義された市場の「情報」が、フォーカスグループやサーベイなどのテクニックを用いて収集される。


・事前のしっかりした市場調査の活用や分析に基づいた戦略や計画に目を奪われるよりも、“実行を繰り返す中でデータを集め、戦略を変容させていく”という方法は、経営資源が少ない中小企業にとっては最適だろう。


・「中小企業に適した戦略フレームワーク」の条件は、次の4つとする。

第1に、前途した戦略フレームワークの定義「製品―市場分野における、内部環境分析、外部環境分析、競合分析をしたうえで、その競争優位なポジションを示すことができる」を満たす。

第2に、戦略策定のための分析データについて、膨大に必要とせず、かつ入手が容易であること。

第3に、戦略策定を企業のすべての階層で扱うものとするため(=ボトムアップ型)、中小企業の経営者を始め従業員にも理解できる用語のみを使うこと。

第4に、数値計画に移行しやすいこと。


・そもそも戦略とは仮説であり、実行、検証を繰り返す中でより洗練された戦略としていくことがエマージェンンシー戦略の要である。


・サトウのごはんを例とした、セブンエレメンツモデルの活用法(中略)

自社のシーズに餅の保存技術があり、それが従来にない商品として、良質な保存のご飯となった。顧客は、若年層で、販路はコンビニエンスストア。競合はインスタントラーメンなどだ。これが当初の戦略分析となる。

しかし、この戦略で売上が目標を上回ることはなく苦戦した。そのような状況で、ある関西の地域での売上が好調であるという情報が入った。調査の結果、高齢者の買い上げが多いことがわかった。この情報をもとに、戦略の変更(ピボット)を行い、顧客を若者から高齢者にした。それに伴い、販路もコンビニからスーパーに変更した。販促についても、便利なごはんからこだわりのごはんにイメージを変更して広告を行った。その結果、売上が飛躍的に伸びた


・多くの中小企業は、採用を「即戦力」の中途採用に頼りがちである。つまり、仕事をきちっと教えてもらった経験がないので、教えられない。育成のノウハウがないので、経験のある中途採用者に頼ることが、人材育成の難しさの原因ともなっているのである。


・つまり、自分で問題、原因、対策を考え、自ら実行していくことで、その問題を解決することに達成感がある


・成果の上がる組織学習の仕組み(中略)

小集団の前提(中略)小集団は、7人程度であることが必須だ。(中略)10人を超す班になると、だんだんうまくいかなくなる。10人を超すと、おそらく人々の相互の関係が他人的になり、リーダー型のメンバーたちと分離して、少しずつだが使用者的態度になりやすくなるのであろう。(中略)

6、7人という、顔をつきあわせた小集団では、人々相互のあいだの人間的な接触の強さのために、お互いによく理解しあい、個人と全体との対立がほとんどなくなるからであろう。それどころか、孤独な各人に対して、全体がこれを激励し、心の支えとさえなる。


・人材育成や問題解決の効果を上げるためには、以下の条件を満たすことが、まず大切だ。

1. 7人程度の小集団とする。
2. 自分たちの 直面する問題が題材となる。
3. 自分たちで考える。


・支援者が答えを出すのではなく、一緒に考え、また学習効果が自ら答えを出すようにかかわることが求められる


・知識と実行は別物である


・経営は科学で論理的なものであるから、科学的に分析して答えを出せば、高い確率で、その通りにうまくいくものという考えは間違っている。


・科学は経営の一部であるが、すべてではない。経営にはアート(直観・感性・感情)の部分があり、クラフト(技術・経験)の部分もあり、そしてサイエンス(論理・理論)の部分もある。これらのバランスを取るのが、経営をうまく行う方法であり、経営者の個性でもある。


・ファシリテーションとは、「集団による知的相互作用の促進する働き」のことで、エマージェントプロジェクト(小集団活動)を支援する実践的なスキルである。


・一般的に、コンサルタントや顧問は、企業の問題点を指摘する仕事と思われているが、良いところを見つけて伸ばすことのほうが重要であると考える。問題点や欠点は自分で自覚しいているが、良いところや強みはわかっていないことが多い。


・筆者の専門分野は、流通業における戦略、マーケティング、経営管理である。自身のキャリアがアパレルの卸、小売業、業種は営業、仕入、企画、その後経営者であったからである。


・問題点をあげていくとプロジェクトの雰囲気が暗くなるのは、どこの会社も同じである。次に、強みをあげてもらう。


・問題点は、戦略を上層部だけで決めて、それを現場に伝えていないことにあった。(中略)トップと現場が一体となって思考錯誤して仮説・検証を繰り返すことで、適した方法が見つかり、また現場のモチベーションが上がる。


・強みである接客を活かして売上増を図る、最も有効で低コストな方法である。


・「戦略とは」という質問に対して、メンバーがもっている答えが多岐にわたり、曖昧だということである。これはE社のメンバーに限ったことではなく、同じ質問をいろいろな会社で行っても、同じような傾向がある。


・過度な分析やデータにより、時間をかけて戦略を立案するのは時代遅れである。現場が主体になって、スピーディに戦略立案し、そして実行、検証のサイクルを回す。これが環境変化に対応できる経営、エマージェント経営である。


●書籍『中小企業を救うエマージェント経営戦略 セブンエレメンツモデル』より
亀井 芳郎 (著)
出版社 : ビジネス社 (2020年11月初版)
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