このウェブサイトにおけるページは、書籍『健康になる技術 大全』(林 英恵 著、ダイヤモンド社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・健康になる技術とは、健康でいるために必要なことを実践するスキルです。簡単にいうと、健康になるために「WHAT(何)」を「HOW(どのように)」行ったら良いのか、自分の環境や特性(弱点・強み)に合わせて実践する技術を指します。
・私の専門は、社会疫学・行科学・ヘルスコミュニケーションです。何が健康に良いのか、悪いのかを見極め(社会疫学)、人々が正しい健康習慣を身につけやすくする方法を模索し、(行動科学)、実際に好ましい方法を普及して評価する(ヘルスコミニケーション)ことを仕事にしています。
・健康になるには、特定のことだけを行うのではなく、総合力が重要です。運動は毎日行っていても、食生活がイマイチだったり、逆に、食生活は完璧に近くても全く運動していない状態は、良いとはいえません。食事・運動・睡眠・ストレス
・第1章 エビデンス 科学とは思ったより白黒はっきりしていない(中略)
第2章 行動 健康的な行動ができなくても、あなたがダメなわけじゃない(中略)
第3章 習慣 できるだけ苦労をせずに「良い習慣を身に付ける技術」(中略)
第4章 食事 健康になるための「食事」の技術(エビデンス的に食べた方が良いもの・悪いもの)(中略)
第5章 運動 運動だけが体を動かすことではない(「体を動かす」ことの意味)(中略)
第6章 睡眠 プロフェッショナルな眠り方と休み方(中略)
第7章 ストレス ストレスに負けずに心を休める方法(中略)
第8章 感情 感情が健康を作る
・エビデンスは日本語で「科学的根拠」と訳されます。
・エビデンスのピラミッド
①複数の研究の総合的なレビュー(メタアナリシス・系統的レビュー)
②無作為に割りつけた研究(ランダム化比較実験)
③前後比較・準実験(対象群のあるもの)・観察研究
④事例やケース
⑤専門家個人の意見・動物実験・試験管での研究
・たまにテレビで見かける、「*個人の感想です」という、言い訳がましい注釈がつけられた証言は、この事例(ケース)にすら入りません。(中略)
いくらたくさんの事例でも、エビデンスと呼べないからです。(中略)
科学では、その正確さと再現性(誰がやっても同じ結果が出ること)がとても重要だからです。
・この本で今まで紹介してきた「エビデンス」という表現は、一つひとつの研究の結果から出てきた情報をまとめたもの、つまり科学的な証拠の集合体を指しています。
・この本では、集合体のエビデンスを、「エビデンス」と表現します。個々の研究の結果は、わかりにくいのでエビデンスとは呼ばず、「個々の研究の結果」と表現します。
・平均寿命と健康寿命の差、
男性
健康寿命 72.68
平均寿命 81.41
差 8.73年
女性
健康寿命 75.38
平均寿命 87.45
差 12.07年
・健康とは単なる病気がない状態のことではない
・ WHO (世界保健機関)では、健康を以下のように定義しています。「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全な良好な状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。)」私なりの解釈を加えると、幸せや自分が生きる意味を見出しながら、より満ち足りた状態で生きることこそが、これからの本当の意味での健康です
・第2章
行動
健康的な行動ができなくても、あなたがダメなわけじゃない
・言わ易し行うは難し(中略)(中国のことわざ)
・失敗や挫折を経験したことがない人は、新しいことに何も挑戦したことのない人だ。
(アルバルト・アインシュタイン ドイツ出身の理論物理学者)
・第1章で、日本人の健康を阻害する要因について紹介しました。日本人の半数の死亡理由とされる、慢性疾患。これに対して、日々の生活で気をつけるべきものは、食事や運動・タバコ・飲酒・ストレスなど、決して数が多いわけではありません。健康のためにしなくてはいけないことの一つひとつは、そんなに難しいことではないのに、どうして簡単なことが続かないのか、なぜ悪習慣がやめられないのだろうかと思うかもしれません。
・例えば、アメリカでは1988年から2006年の18年間にわたって、人々がどのくらい健康のために簡単な生活習慣を守っているかを調査しました。具体的には、健康的な食生活、安定的な運動、健康的な体重、ほどほどの量のアルコール、たばこを吸わないことです。その結果、この5つを守れてる人は、調査対象のたった8%しかいませんでした。
・例えば、日本の喫煙率は、諸外国に比べると高いですが、特に教育年数の短い人ほど喫煙率が高いことがわかっています
・住んでる場所も、私たちの選択に影響を与えます。新鮮な野菜や果物を買えるスーパーマーケットやコンビニエンスストアが近くにあるかどうかと、近隣の人々の食習慣が関連していることが知られています。一方、バーや酒店の近くに住んでる人は、それぞれジャンクフードやアルコールの摂取が多くなる傾向があります
東京、大阪、神奈川などの鉄道駅の密度が高い、つまり鉄道の駅がたくさんあるところの人たちの方が、1日の平均歩数が多くなっています。
・習慣を変えられないのは、怠け者だからでも意思が弱いからでもない
・人は基本的に現状(デフォルト)を変えることを好まない
・遠くのご褒美より近くの喜びを選ぶ(中略)
大体の健康に悪い習慣が、一瞬・ 一時の刺激や快感、喜びを与えてくれるものです。
・健康になろうとすると出てくる厄介な考え方の癖
1.「がまんする方が体によくない」ーーー認知不協和。(中略)
自分が選択する行動の正当化。(中略)
2.「私の周りでみんなやっているし」ーーーバンドワゴン効果(中略)
3.「ちょっとくらいやったところで、何も変わらない」ーーーピーナツ効果(中略)
4.「やめろと言われると、やってみたくなる。やれと言われると、やりたくなくなる」ーーー(中略)リアクタンス(中略)
5.「楽しいから大丈夫」ーーー直感的な判断
・一貫性のない自分の状態を変える方法は2つに1つ。たばこを吸う自分を変えるか、たばこは体に悪いと考える自分を変えるか。
・健康になろうと思っている人を邪魔する大きな理由の1つ。それは、目の前の行動があまりにも小さな一歩だと感じるために、「病気になるかもしれない」という未来の大きな損失と自分の行動を結びつけられず、結果として不健康な行動を取り続けてしまうことです。
例えば、たばこを吸い続けることが体に悪いとわかっていても、目の前のたった1本を吸うことが、がんを引き起こすことはないと考えます。結果、「たった1本」を何度も繰り返し、病気になってしまうのです。これは、たばこだけではなく、お酒、食事など、多くのことに当てはまります。逆も然りです。今日たった15分歩いたって、病気予防にはつながらないから、歩かなくても結果は変わらないと考えるのです。
・習慣を支配することは、人生を支配することだ。
・日々の行動の約40%が無意識に行われている(中略)
毎日、何気なく繰り返し行っていることを振り返ってみてください。歯を磨く、風呂に入って、体や髪を洗う、通勤電車でメールをする、寝る前にストレッチをする、家の鍵を玄関の決められた場所に置く、休憩中に外で出てたばこを吸うなど、人によって習慣になっているものは、様々だと思います。すでにに行っている習慣の中に、健康に良いこと、悪いことはどのくらいあったでしょうか?
・この章では、習慣を自由に操れるようになるコツを、科学に基づいて紹介します。ご自身の今の習慣を想い描きながら、読んでみてください。✳︎第3章
・習慣を作るための鍵と4つのステージ(中略)
キーワードは、「繰り返し」と「状況」です。習慣とは、ただその行動だけで成り立っているのではなく、何らかの状況、つまりその行動が行われる環境に合わせる形で、何度も繰り返されることで形成されるのです
・習慣は、4つのステージを経て身につくものになるといわれています。4つのステージとは以下の通りです。
①決意(その行動をするという明確な意図を形成する)
②行動(決意を実行に移す)
③行動の繰り返し(日々同じ行動を繰り返す)
④習慣の形成(行動が自動的に繰り返されるようになる)
・人間の行動は、何らかの「流れ」の中で行われるもの
・これらの流れをよりスムーズにするために、食器を洗った後、ウォーキング服に着替えるのであれば、まず家から帰ったら、(面倒にならないうちに)着替えを台所やリビングに置いておくと良いでしょう。夜のウォーキングになるので、ライトや安全ベルト一式を台所に横にセットし、運動靴を帰ってきた時に出しておくのも良いでしょう。
・特に、最初の行動のハードルを低くし、その行動がスムーズに続くような流れを作ることが重要です。(中略)
例えば、週末にジムに行くのであれば、ジムに行くまでの動線の第一歩が重要です。つまり、着替えを持って、運動靴を履いて玄関を出るという最初の流れが作れれば、よほどのことがない限り、途中でやめたくなって帰る、という流れにはならないでしょう。そのために、着替えや運動靴を、明確な意図がある前日までに用意しておくのは良い方法だと思います。自転車に乗る時と一緒で、最初の踏み出がうまくいくと、その後は、スムーズに前に進めるはずです。
・やめたい行動も基本的な事は一緒です。(中略)
例えば、体に良くないものをやめたい人が、自身の生活を振り返ってみると、勤務先から自宅に帰る際に、ふらっとコンビニエンスストアによってジャンクフードを買ってしまうことがわかったとします。この場合の行動のキュー (合図)は、コンビニエンスストアの前を通ることです。行動を変えるには、そのお店のある通りを歩かなくしたり、道の反対側の通りを歩き店に近づきにくくしましょう。他にも、喫煙している人がたばこをやめる場合、自分の生活からたばこをなくすだけでは不十分です。灰皿ライターなどが行動の合図(キュー)となってしまうことがあります。これらのものが自動的にたばこを吸いたくなるような環境を作り出し、禁煙の失敗となることも多いので、こういった「たばこ」に関連するものをすべてなくしましょう。
・「〜しない」を、「〜する」にする(中略)
たばこを吸わないようにしようと思っていると、結局たばこのことを考えることになります(中略)
つまり、やめたい行動に常に注意を払い続けることで、通常よりもより高いレベルのセルフコントロールが必要になります。(中略)
なぜなら、行動の合図と「何かしないこと」をくっつけることよりも、合図と新しい習慣をくっつける方がやりやすいからです。
・「〜しない」を、「〜する」にする(中略)
これらは置き換えの例です。
●スナック菓子を食べるのをやめる→お腹がすいたら果物を食べる
●たばこをやめる→たばこが吸いたくなったら禁煙のためのガムを噛む
●食べすぎない→ゆっくり噛んで食べる
●スマホを寝る前に見ない→寝る前には、本を読む
●飲みすぎない→お酒を1杯飲んだら、次はお茶や水にする
・悪習慣の「きっかけ」が負の連鎖のように重なり、最終的に、(食べたくもないし、食べようとも思っていない)ジャンクフードに走るのです。
・行動の記録も、習慣づくりには効果的です
・健康的な生活をしている人を味方につける(中略)
例えば、結婚すると、男性は野菜の摂取量が増え、飲酒量が減ることが知られていますが、これも、モデリングやカメレオン効果の一例でしょう。
例えば、昼間会社にいる人は、健康的な食事をしている人と一緒にランチに行く習慣をつけるのも手です。
・エビデンス的に食べた方が良いもの・悪いもの
・ WHO (世界保健機関)では、健康を次に定義しています。「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることである。
・「食品Aは病気Cを予防する!」
このようなうたい文句で1つの食品が勧められていることが多くあります。しかし、このような物言いには注意が必要です(中略)
もしそれでも関連付けるのであれば、エビデンス①とエビデンス②の結果、仮説③の可能性が考えられる、というのが正しい表現の仕方です。ところが、このように詳しい関係性を説明しているものはほとんどないのが現状です。
・穀物と病気との関連性については、全粒穀物や食物繊維の摂取が多い人ほど、全体的な死亡率や、循環器系疾患、糖尿病、特定のがんなどの様々なタイプの慢性疾患による死亡のリスクは低いことがわかっています。
・欧米を中心にした研究では、全粒穀物が健康に良いことは、多くの研究結果により指示されています
・全粒穀物の摂取は、様々な疾患と関係しており、疾患の予防や健康に良さそう。ただし、ここでいう全粒穀物は、お米に限らず、様々な穀物を含んでいることに注意。玄米を含む全粒穀物について、日本人を対象に、死亡率や病気の発生率との関係を調査した大規模な研究はまだない。逆に、精製された穀物が、死亡率や疾患のリスクを上げそうだという研究結果は限られている。白米に関しては、より多く食べる人ほど、糖尿病のリスクが高い傾向がある。これはアジア人においてもいえる。一方、糖尿病以外の疾患のリスクとの関連は認められていない。また、白米を食べている人ほど死亡率が低いことを示す報告もある。
・野菜や果物を摂取している人ほど、死亡率が低くなる傾向が認められています(中略)
細かな推定としては、野菜と果物は、量でいうと約80g食べるごとに、5〜6%ほど死亡率が低くなるというイメージです。
・多様な種類のものを食べることで、1つの食べ物に偏ることで起こる病気のリスクを避けられるように思います。ですので、結局、野菜に関しても、様々な種類を食べましょう、という一般的なお勧め通りで良いと考えています。
・私は「色とりどりの野菜を組み合わせて食べる」ことを心がけています(中略)
赤・オレンジ・黄色・緑・紫・黒・濃い茶色・白など
・イギリスの食事のガイドラインEatwell Guideのでは、「じゃがいもは野菜ではなく、炭水化物」と考えられるようにと明記されています。また、ハーバード大学の食事介ガイドでもあるHealthy Eating Plateでは、「じゃがいもやフライドポテトは野菜とはみなしません」と書いてあります。
・野菜ジュースや果物ジュースは、実際の野菜や果物の代わりになるのか(中略)
既存の疾患との関係に関するエビデンスを考えると、エビデンスが弱い野菜ジュースや果物ジュースに頼るよりも、野菜や果物そのものを食べ物として、色彩豊かに食する方が健康には良さそうです。
・食べ物は、入っているパッケージによって、消費量が変わることが知られています(中略)
具体的には、食べたい、摂取を増やしたいものは目立つところや透明の容器に入れて、内容がわかるようにすることです。逆に、摂取を控えたいものは、不透明なのパッケージや、取り出すの一手間必要なところに置くことです。
・子どもの野菜摂取を増やす戦略についても紹介したいと思います。アメリカやイギリスの研究によると、「野菜を自分で育ててみる経験をすると良い」ことが報告されています。
・どうしてオーガニック食品に関するエビデンスが少ないのか? (中略)
この理由は、やはり食品の研究の難しさにあります。例えば、オーガニック食品に興味がある人は、健康に関心があり、すでに健康的な生活を送っていることが考えられます。(中略)
仮に彼らがより健康だとしても、オーガニック食品のおかげなのか、健康的な生活に伴う別の多くの事柄のおかげなのかわからないからです。
・どのように食品を選べば良いのでしょうか? (中略)
子どもが生まれた後は、(中略)
例えば、皮や表皮を食べる玄米と野菜や果物は、皮や表皮には残留農薬が残りやすいために、できるだけオーガニックにしています。食品の安全性は制度上確保されているとはいえ、少しでも農薬の影響の可能性の少ないものを用意したいと言う思いからです。
・例えば「オーガニック」と書いてあると、エネルギー量(いわゆる「カロリー」)を低く見積もったり、通常のものよりも価値を感じてもっとお金を払っても良いと感じたり、栄養分がたくさん入っているように感じるようです。
・普段からオーガニック食品やエコに関心がある人や、栄養分が書いてあるラベルを読む人たちは、「オーガニック」の言葉に惑わされることは少ないことも報告されています
・「オーガニック」という言葉の響きで、その品が実際よりもより健康そうに見えてしまうことがあるので、食べすぎやそれだけで健康になったと過信してしまうことには気をつけましょう。
・近年、肉は種類によって病気のリスクを上げることが示唆されています。
・たんぱく質の英語名の「プロテイン」の語源は、ギリシャ語で「最も重要な」という意味です。この意味の通り、たんぱく質は人の体を機能させるのに欠かせない栄養素です。
・なぜ、赤肉と加工肉が体に良くないのか?
ところが、健康の面では、肉は様々な問題点が指摘されています。より注意が必要なものとして、赤肉と加工肉があります。
赤肉とは、牛、子牛、豚、ヒツジ、子羊、馬、ヤギなどの哺乳動物の肉のことを指します(一般的に「脂身が少ない」ことを意味する赤身の肉とは異なります。対して、鶏肉は「白い肉」とされ、赤肉とは区別されます。加工肉とは、保存や味を良くするために、何らかの加工を施した肉のことです。(中略)
ハムやソーセージ、ベーコン、ビーフジャーキーやコンビーフ、肉の缶詰や肉をベースに作ったソースなども含まれます(中略)
WHO (世界保健機関)にあるIARC(中略)というがんを専門に研究する機関が、2015年に、加工肉は発がん性があり、赤肉はおそらく発がん性があると発表しました。加工肉に関しては、1日あたり50g摂取するごとに、大腸がんのリスクが18%増加すると推定されます。赤肉に関しては、加工肉ほどの強いエビデンスは見出せれなかったものの、1日あたり100g摂取するごとに、大腸がんのリスクが17%増加すると推定されます。(中略)
もう1つのがんの国際的な研究機関、WCRF(中略)は、赤肉は多くても、料理後の重さで1週間に350〜500g以上は食べないこと、また加工肉は、食べるとしたらほんの少しだけにとどめることを勧めています。
・アメリカ人を対象とした研究では、赤肉と加工肉を多く摂取する人は、精製された穀物、甘いもの、フライドポテトなども摂取する傾向を示しました。
・赤肉や加工肉を減らしつつ、たんぱく質の摂取を意識したい場合には、動物性たんぱく質であれば鶏肉・魚・卵を考えるのが良いでしょう。植物性のものでは、大豆食品(豆腐や納豆、味噌など)、穀物(米・麦・そばなど)、種実類(ごま、ピーナッツ、アーモンドなど、)、豆類(大豆やあずき、ひよこ豆など)が挙げられます。
・肉の摂取にこだわるのであれば、鶏肉が良いでしょう。鴨やターキー(七面鳥)もこの部類に入ります。
・魚を1日1品以上食べてる人ほど、死亡率が10%ほど低いと報告されています。しかし、他の多くの食品群と同じように、魚をよく食べる人が、もともと健康志向であるために健康に良いという結果が見えているのかもしれません。
・健康への多くのメリットが報告されている魚ですが、水銀の問題が懸念されています(中略)
大きくて比較的長く生きる魚、食物連鎖の上のほうにいる魚は水銀が多く、逆に命のサイクルが短い魚の水銀は少ないです(中略)
大型の魚に偏った摂取などせず、小さな魚から大きな魚まで、様々な種類のものも幅広く楽しむのが、きっと健康への影響を最適化できるのかなと思います。
・コレステロールには、血液中のコレステロールと、食べ物に由来するコレステロール(食品中のコレステロール)の2つがあり、これらを区別して考えることが大切です。(中略)
コレステロールと言われたら、「何の」コレステロールを指しているのか注意してみましょう。
・ (食品中のコレステロールが高いといわれる)卵を食べても、極端な量を食べない限り、血中のコレステロール値にはそれほど影響与えないと考えられています
・肉料理のそばには、パセリやレタス、セロリのような、ほんの少しの緑の野菜が添えられていませんか? これが、ハロー効果の罠です。(中略)
つまり、セロリ(小さな緑の野菜)は「ちょっと健康そうな感じ」を演出するのに機能しているのです。
・小さな緑の野菜があるだけでカロリーを低く見積もる傾向は、一般の人よりも、皮肉にも、食事に気を使うダイエット中の人により多く見られました。ハンバーガー以外でも、ステーキやフライドチキンについてるほんの少しの緑の野菜は、肉を食べていい! という自分へのゴーサインを出しやすくするために置いてある、といっても過言ではありません。
・乳製品と骨の強さに関しては、意外にも、白黒はっきりしているわけではありません。これは、還元主義的な考え方で一種類の栄養素の働きにだけ注目して食を考えてしまうと、実際の病気と食べ物の関係を失ってしまう具体的な例といえるでしょう。
・あぶらの種類(飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸)
脂肪酸
飽和脂肪酸
●ココナッツオイルや油冷やし(パーム油)
●ラードやバター、赤肉・チーズなどの動物性脂肪
不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸
●オリーブオイル、キャノーラ油、落花生油、紅花油、米油、アボガドオイル・ピーナッツなどのナッツ類
トランス脂肪酸
●特定のマーガリン・ショートニング、ファットスプレッド、クッキー、パイなどの焼菓子類、ビスケット類、スナック菓子、洋菓子、特定のマヨネーズなど
多価不飽和脂肪酸
オメガ3系脂肪酸
●えごま油、あまに油
●魚
オメガ6系脂肪酸
●コーン油、ごま油、大豆油
・ 2017年には、アメリカ心臓協会(中略)が正式に、「ココナッツオイルは心臓のために良くない」という声明を出しました(中略)
ココナッツオイルは、心疾患の危険因子であるLDLコレステロールを上げると認識されています。しかし、心臓の病気や他の疾患のリスクに関係するのを示したエビデンスはまだないので、現状で「体に悪い」とは断定はできません。それでもアメリカの心臓学会が声明を出すのは、やはり飽和脂肪酸の量が多く、LDLコレステロールの血中濃度を上げるということが理由のようです。一方で、体脂肪の代謝を助けるといった効果も可能性として報告されています
・砂糖を含む糖類と、健康の話をする際、欧米では(中略)「糖類はたばこの次(に体に悪い)」や「(中略)糖類は新しいたばこだ」という言い方をすることがあります。
・たばこやアルコール、食品の業界団体による研究資金提供と、研究の結果が業界に有利なように結論づけられているという論文はいくつも出ています。
・消費者も、研究の結果などが発表された際には、必ず、どこが資金提供をしているか、企業のお金が絡んでいるのかなどはチェックするポイントとして持っておいた方がいいでしょう。
・アルコールは、喫煙や高血圧にならび、世界で7番目に死亡と病気に貢献している原因と推定されます
・痛風が心配な方は、プリン体による影響よりも、アルコール自体の摂取量が問題です。(中略)
摂取量が多い人ほど発症率が高い
・量にかかわらず休肝日がある方が良く、なおかつ飲酒量が少ないのがベストのようです。
・ついつい飲み過ぎてしまう、と言う方が、飲み過ぎを防ぐ手っ取り早い方法は、飲み物のクラスを工夫することです。
飲む量を控えたい場合は、グラスのサイズを小さくすることで、飲む量も減る可能性があります。(中略)
また、背の高い細めのグラスを選びましょう。人はグラスの高さに着目しますが、横幅への注意を払いにくいという研究結果が報告されています
・サプリメント:健康のためにと思っているものが仇になる
・「サプリメント(中略)」とは、その名の通り、食事で足りないものを「補う」という意味です。
・喫煙者などの特定のグループでβカロテンのサプリメントを服用すると、肺がんの発症率や死亡率が上がる
・βカロテンのサプリメントを常用することで、逆に肺がんや胃がんのリスクを上げることが指摘されました
・健康に良かれと思って飲んでいるはずのサプリですが、効果がないだけでなく、かえってがんの発生率や死亡率を上げる可能性があるというということで、当時大きなニュースとなりました。サプリメントについて語る上で欠かせない話となっています。
・「なんとなく健康によさそうだから」といった曖昧な理由や憶測で、任意にサプリメントをとることはお勧めしません。専門家の判断を仰がないでとるサプリメントに関して、長期的に健康に好ましい効果が見込めるものは、今のところないと考えましょう。
・足りないものをサプリメントで補えば何とかなるといえるほど、科学は単純ではないのです。
・塩に関する知見が積もり、その懸念が高まるにつれ、摂取基準も年々厳しくなっています。(中略)
2020年には、さらに踏み込んだ内容となり、男性7.5g未満、女性6.5g未満が推奨となりました。ちなみに、WHO (世界保健機関)では、さらに厳しく、1日5gを推奨しています。
・塩分摂取で特に注意が必要なのは、加工食品(中略)
過剰摂取が与える健康への悪影響で悩ましいのは、血圧を上げることです。さらに関連して、慢性腎臓病、心臓病や脳卒中のリスクが上がると考えられています。さらには骨粗しょう症、胃がんとの関連性も指摘されています。
・塩分摂取で特に注意が必要なのは、加工食品です。先進国では、過剰な塩の接種の70〜80%以上が、料理の時に自分で入れる塩ではなく、サンドイッチはピザ、スープのようにすでに加工された食品からだといわれています。
・塩分摂取(中略)
他に気をつけなくてはならないのは、コンビニの惣菜です。(中略)
例えば、ある大手コンビニチェーンのたらこのおにぎり1つには、ナトリウムが510mg入っています(食品表示に書いてあるので見てみてください)。これは、塩分量に換算すると、1.30gです。おにぎりの種類によっては、ナトリウムが800mg近いものもあり、そうすると塩分量は2gを超えます。このようなおにぎりを2つ食べると、厚生労働省の基準でも、すでに1日の許容量の半分以上の塩分を摂取することになります。これにおかずや味噌汁をつけると、一食であっという間に1日の許容量を満たしてしまうことがわかると思います。
・塩を減らすためにできること(中略)
料理をする方は、調理で一工夫するのも良いと思います。例えば、だし、レモン(柑橘類)、ニンニクや生姜などの薬味をうまく使うと、塩そのものが少量でも、香りや味で料理を楽しめるでしょう。特に、昆布・椎茸・鰹節は、日本の料理に欠かせませんが、減塩食の実験では、うまみ物質を用いた料理では、味を損なわずに、平均で35%以上の減塩が可能になることがわかりました。
ただ、手軽に使いやすい顆粒のだしには、塩分が含まれていることが多いので注意が必要です。
日本には、これらの減塩に役立つだしの文化や、数多くの豊富な薬味(山椒、からし、大葉、唐辛子、ミョウガ、小ネギなど)があります。これらを味方につけて、おいしさを保ちながら塩分を減らすことを目指すと良いでしょう。
・塩を減らすためにできること(中略)
容器を工夫するのも一つの手です。イギリスで行われた小規模の実験では、塩の容器の穴の数を17個から5個に減らしたところ、平均で約30%減できる可能性が示唆されました。日本でも、プッシュしないと出ないタイプや、スプレータイプのものになっている醤油差しがあります。
・弁当箱は、行動経済学の分野で人を動かす方法の1つとして知られる「選択アーキテクチャー・選択のための構造(中略)」と呼ばれる手法をとても賢く使っているとのことです。細かい仕切りがあることで、様々な食材を別々のところに個々に入れなければならず、それにより自然と食材が豊富になったり、食べすぎないような構造にできるといいます。
・ココナツオイルなどは、メディアの影響で注目されたが、今の時点では、わからないことも多い。健康にマイナスに働く可能性が指摘されている。
・アルコールの量を減らすには、背の高い細めのグラスを選ぶと良い。
・減塩については少しずつ減らしていくことを日常で心がける。穴の数を減らしたソルトシェイカーのような容器や、だしなどをとることで調理の工夫をするなどして無理なく減らしてみることを心がける。
・運動だけが体を動かすことではない
・健康のためにやらなければいけないことは「運動」ではなくて、「体を動かすこと」なのです。(中略)
この「体を動かすこと」には、先ほど挙げた「運動」に加えて、生活や家事などの日常生活における労働・通勤・通学なども入ります。これを「生活活動」といいます。階段の上り下りや子どもや孫と遊ぶこと、重い荷物を運ぶことや炊事洗濯、ガーデニングや水やりなど、日常生活で多分みなさんが意識しないで行っていることが含まれます。
・身体活動の強度(レベル)を表すのに使われるのは「メッツ(中略)」という単位です。運動学の分野で、身体活動の強さは表す単位として、世界的に使われています。
・様々な身体活動のメッツ(中略)
メッツ 3.5
モップ、掃除機、箱詰め作業、軽い荷物運び、電気関係の仕事:配管工事
1エクササイズに相当する時間 17分
・なぜ、運動しないといけないのでしょうか? それは、運動しないと、人間が「死ぬ」原因にもなるからです。
・体を動かす量が多いと、全く体動かさない人に比べて、死亡リスクが20〜39%低いことがわかっています
・最近の研究では、座っている時間が長いと、様々な病気のリスクや、死亡の危険性を増やすことがわかっています
・4タイプの運動を組み合わせる(中略)
1 有酸素運動
体に軽〜中程度の負荷をかけながら、酸素を体に取り込んで、筋肉を動かすためのエネルギーとなる脂肪燃焼させることから、このように呼ばれます。(中略)
2 筋力増強運動
年齢とともに失われる筋肉量や筋力を増強をする運動です。筋肉量や筋肉の増強・骨を丈夫にし、血糖を下げます。筋肉量が増えることでエネルギー消費量が増加し、これにより体重のコントロールが可能になります。(中略)
3 柔軟運動
年齢とともに失われる筋肉や腱の柔軟性を保ちます。筋肉を柔軟に保つことで、関節を動かせる範囲を広げます。(中略)
4 バランス運動
バランス感覚(平行感覚)を保ち、体の各部分の連携動作をうまく維持できるようにする運動を指します。バランス感覚とは、止まっていたり動いていたりする時に、自分の姿勢を維持できるようにする能力のことです。
・ 4つのタイプの運動(中略)
有酸素運動
内容
心拍数や呼吸数を上げ、心臓や肺に負担をかけることで、耐久性を増やす。筋肉をリズミカルに動かし、継続するもの。
例
ランニング、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳。リズミカルな動きをするヨガ(例:アシュタインザヨガ)、ダンスなど。
筋力増強運動(筋力トレーニング)
内容
年齢とともに失われる筋肉量や筋力を増強させる。
例
道具を使って行う動作(ウェイトリフティング、ダンベルの上げ下げなど)。自らの体重で鍛える動作(スクワット、腕立て伏せ、腹筋など)、ヨガ・ピラティスなど。
柔軟運動
内容
年齢とともに失われる、筋肉や膝の柔軟性を保つ。筋肉を柔軟に保つことで関節の可動域を広げる。
例
ストレッチ、ヨガなど。呼吸を使って体の筋肉(ハムストリングス(肩・背中・腕・腰まわりなど)の筋肉や痛くならない程度に伸ばす。
バランス運動
内容
バランス感覚(平衡感覚)を保ち、体の各部分の連携動作をうまく維持できるようにするもの。
例
太極拳はヨガなど重心運動(前後・左右など)や、体の重心を使って安定性を保ちながら行う運動。
・目標を持って記録する
体を動かすことに限らず、記録することのパワーは絶大です。専門用語では「セルフモニタリング(自分で観察する)」といいます。セルフモニタリングは、色々な分野で行動を変えて習慣化するのに大切です。記録することで、結果や目標行動に自分自身の注意を向け、気づきを得られるからです。
・目標設定も重要です。「できるだけ走る」は曖昧です。これを、いつ、どのくらい(距離または時間)をどの程度の頻度でやるか、に書き換えましょう。
・運動するときは、「誰かと一緒に」体を動かすことが大切です。できれば、スポーツにコミュニティ(ウォーキングの会や、ヨガのコミュニティ)に所属するとより良いです。
・体を動かすことをルーティンにする上で大切な事は、日常に組み込むことです。わざわざ「運動」にしなくても、体を動かすチャンスは日常にあふれています。(中略)
例えば、時間がなくても、いつものランチの場所から少し離れたレストランに行ってみたり、一駅分歩いたりすることで歩数は簡単に稼げます。いつもなら車で行ってしまうテイクアウトを、自転車や徒歩で買いに行ってみましょう。子どもと遊んだり、庭の草むしりをしたり、農作業を行ったりすることも立派な身体活動です。
・運動だけが体を動かすことではない。健康のためにやらなければいけないことは「運動」ではなくて、「体を動かすこと」である。
・私がもし、健康のために必要なものを3つ挙げなさいと言われたら、食べること、動くこと、そして、ストレスの予防や対策を含め、きちんと休むことを挙げるでしょう。
・たった1日休んでも、罪悪感や焦燥感、不安感に苛(さいな)まれてしまう、ワーカーホリック(仕事中毒)な自分を発見することとなりました。
・睡眠の専門家は、「寝ることは決して無駄な時間ではなく、食事や運動と同じくらい健康において重要なものである」と説いています
・なぜ睡眠がそんなにも大切なのでしょうか。
睡眠には、健康のために3つの重要な要素があります。
1つ目は体の健康のため。眠ることで、起きている間に損なわれていたものを修復、回復させる機能があるといわれています。具体的には、寝ることで、心臓や血管、筋肉、細胞などの機能が修復されます。睡眠不足は、心臓疾患、腎臓病、高血圧、糖尿病、脳卒中、体重増加、肥満のリスクにつながる可能性があると報告されています。(中略)
2つ目は、脳と感情の健康的な状態を保つため。寝ている間に、脳は記憶したり新しい学びの準備をしたりするといわれています。眠ることで、学んだり何かを実行したりするのに重要な能力を養っていることになります。具体的には、注意力に意思決定力、クリエイティビティ(創造力)、モチベーション(やる気)、判断力、知覚なども寝ている間に培われています。(中略)
3つ目は、睡眠は、起きている間の生産性と深く結びついているためです。睡眠不足の次の日に仕事がはかどらないのは、多くの人は経験済みでしょう。ミスが多くなったり、仕事の効率が悪くなったりします。
・慢性的な睡眠不足は、寿命も短くしてしまう可能性があるようです。睡眠時間は短すぎても長すぎても死亡率の増加との関連が見られました。
・睡眠に影響与えると考えられているもの(例)
環境
寝室の環境
家の周りの環境
仕事環境
社会
家族・婚姻の状況やパートナーとの関係
仕事と家庭のバランス
個人
年齢・妊娠してるかどうかなどの本人の状況
ストレスやうつがあるかなどの心理的な状況
カフェインの摂取量や食事時間などの行動的な要素
・特に、寝室にテレビをおかないこと、携帯電話(スマートフォン)を枕元におかない事は重要です。(中略)
なぜなら、こういったものが近くにあると、現在志向バイアスが働きやすくなるからです。現在志向バイアスとは、目の前にある楽しさや喜びを優先するがために、将来の利益(ここでいう睡眠)を犠牲にしてしまうことです。
・職場の環境と睡眠にも深い関係があるといわれています。アメリカの研究では、長時間労働の人は、睡眠時間が少ないことがわかっています。また、職場の上司が労働時間や働き方に柔軟かどうかも、働く人の睡眠時間に影響与えることがわかっています。
・寝る前に30分ソーシャルメディアを見るだけで、睡眠が邪魔される結果が明らかとなりました
・厚めのパジャマを着たり、掛け布団を多くか掛けたりして対策をする人も多いと思いますが、睡眠の質に影響が懸念されています
・より良い睡眠を取るために、個人レベルで変えられることを見ていきましょう。
1 とにかく、起きる時間を一定にする(中略)
2 口に入れるものにも気を配る
食事と睡眠にも密接な関係があります。お腹が空きすぎても、満腹すぎても眠れない経験をした人は多いのではないでしょうか。寝る2〜3時間前には、食事を済ませておきましょう。
・寝る直前にかなりの量のウォーキングを行っていました。寝る直前の運動は、体を興奮させてしまうので良くないといわれています。運動の習慣は大切なのですが、タイミングが重要です。
・コレステロールの値や、肥満度の目安であるBMI (ボディマス指数)に影響があったり、また、自分自身の健康状態を低く評価する傾向があることがわかりました
・ハーバードの教授たちと海外出張する際、毎回感心するのが彼らは必ずジムのあるホテルを選ぶということ。可能な場合、「ホテルの周りをジョギングできるようなところがあるか」もホテル選びの基準にしています。
・何が起こるかが問題なのではない。それにどう対処するかが問題なのだ。(中略)
エピクテトス 古代ギリシャの哲学者
・なぜ心を休ませることが大切なのか(中略)
ストレスが、健康的な習慣の邪魔をし、不健康な習慣を助長する大きな要因になるためです。(中略)
感情的になれば健康的に悪い行動をとりやすくなり、疲れすぎていたりストレスを感じていると悪い習慣に戻りやすくなったりしてしまうのです。
・過去の研究をもとに、日常生活で感じるストレスを少なくするコツや、気をつけるべきポイントをお伝えします。
・ストレスがあることで、タバコやアルコールの摂取量が増えることがわかっています。
・ストレスというと、ネガティブな響きを感じる人も多いかもしれませんが、すべてのストレスが悪いわけではありません。例えば、火事場の馬鹿力という言葉があるように、締め切り前に踏ん張れたり、いつもの倍以上の集中力を発揮したり、という経験をした人もいると思います
・日本でも、仕事と家庭の両立の困難さが女性にとってストレスとなり、うつの症状と関連することがわかっています
・人と比べることをやめる
アメリカに「比べると絶望する(中略)」ということわざがあります。ストレスを感じずに生きる方法の1つは、人と比べることをやめることです。
・体を動かす(中略)
運動することがストレスに良い理由として、ストレスで受けたダメージを運動で覆せる(具体的にいうと、脳の細胞を守りながら、感情を安定させる働きを生み出す)ためや、気持ちが良いと感じるホルモン(エンドルフィン)によるストレスに対応できる力がつくためといわれています
・健康に良い感情とは何か?
1 健康的な生活の鍵となる「プライド(誇り)」(中略)
2 健康だけでなく、人間関係、人生の満足度を高める「感謝」(中略)
3 病気を予防する力があるといわれている「幸せ」(中略)
つまり、幸せの感情は病気を治すことはできないけれども、病気を予防する力がある
・感情と仲良くつきあうための最もシンプルな方法は、「呼吸」です。呼吸と気持ちに密接な関係があります。怒っている時、悲しい時、満ち足りてる時、それぞれ呼吸はどうなるでしょうか? 怒っている時は浅く激しく、悲しい時は浅く重く、満ち足りている時は深く落ち着いた呼吸になってるはずです。
・人は、大人で1分間に12〜18回呼吸をします。生きている限り、人は呼吸をします。であるのなら、毎日している呼吸に意識を向けるだけで、何気ない呼吸が、感情と仲良くするためのパワフルなものに変わります。
・感謝の気持ちと健康にプラスになることに相関が見られたことについて、ハーバード大学医学部のレポートでは、感謝の気持ちを持つことで、自分の人生において「ない」ことに焦点を当てるのではなく、今自分に「ある」ものに焦点が当たるために、より自分の人生に満足できるようになるからではないかと解説しています。
・人への信頼を低くし、リスクを低く見積らせる「怒り」
・特に怒りは、健康の選択において、2つの点で大きな影響があります。それは、人を信頼しにくくなることと、リスクを軽視してしまうことです。
・人間はそんなに単純ではありません。がんになる可能性を聞いてもたばこをやめられなかったり、運動が健康に良いとわかっていてもできないのです。
・健康は、人によっては人生で一番大切なものかもしれません。一方、人によっては夢を叶えたり、何かをするための手段かもしれません。健康の位置づけが人生の大きなゴールであるか手段であるかにかかわらず、健康は、平和と同じように、多くの人が生きていく上で願うことの1つであると思います。
●書籍『健康になる技術 大全』より
林 英恵 (はやし はなえ)(著)
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