このウェブサイトにおけるページは、書籍『大人女子のためのデンタルケア事典』(一般社団法人歯の寿命をのばす会 著、クロスメディア・パブリッシング 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。
・「自分の歯は何本ありますか?」
「神経を取った方は何本ありますか?」
こう聞かれて、すぐに答えられる方は少ないと思います。自分の歯とは、インプラントやブリッジ、入れ歯ではない、「正真正銘の自分の歯」のことです。
・「治る」には2つ意味があるのをご存知でしょうか。たとえば、「虫歯が治った」と「かぜが治った」では同じ治るという言葉を使っていますが、まったく違う状態なのです。
虫歯治療で治っても、虫歯で削った歯は修復されませんし、抜いた歯は再び生えてきません。つまり、歯は治療しても元に戻ることはないのです。
でも、多くの方はかぜが治るときと同じようなイメージで元に戻ると思ったりします。治るという誤解が歯を早く失ってしまう原因のひとつになっています。
・この本は、主に40代女性を読者ターゲットとしています。日本人は40代で1本目の歯を失うケースが多く、歯周病も40代になるとかかりやすくなります。
・歯の変色には、「内因性」と「外因性」の2つの要因があります。「内因性」の主な要因は加齢です。(中略)
一方、「外因性」の主な要因は食べ物や飲み物です。コーヒーや緑茶、ワイン、カレー、ミートソースなどに含まれる色素が歯の表面に付着することで変色します。
・歯周病になると、歯を支えている「歯槽骨」が溶けていきます。最終的には歯がグラグラして抜けてしまうのです。
・40歳はお口の曲がり角。早めの対策が必要です
・ 80歳時点における平均残存歯数を海外と比較すると、スウェーデンは約20本、アメリカは約17本であるのに対し、日本は約15本です。(中略)
日本人の歯の寿命は短い
・ 8020運動(中略)
これは、だいたい20本の歯が残っていれば、ほとんどの食べ物を噛んで食べられる、つまり、咀嚼する能力を保てるという科学的な根拠に基づいています。
・歯は奥歯から抜けていく傾向がある
・自分でもわかるお口の老化(中略)
代表的な6つの老化シグナル
①銀歯が増えてきた
②神経を失った歯が増えた
③歯が長くなった
④歯茎が下がった。
⑤口臭が気になるようになった
⑥歯が黄ばんできた
・銀歯は大きさにもよりますが、寿命は平均5〜8年で、食習慣や磨き方、歯科医院でのメンテナンスの有無で短くなったり、長くなったりします。
・痛くないから虫歯がないわけではない
「虫歯=痛い」わけではない
・銀歯の詰め物の平均使用年数は約5年という統計があります。かぶせ物や詰め物をした歯は天然の歯より虫歯の発生率が高くなります。
・銀歯の平均的な使用年数は噛む力の負担、普段の歯の磨き方、治療前の虫歯の深さにもよりますが、詰め物が約5年、かぶせ物が約7年、ブリッジが約8年ほどです。
・歯の神経を取ると、歯の寿命が圧倒的に短くなってしまう
・歯は60代から一気に失う(中略)
特に60代になる前からしっかりケアをしていないと、歯を失うスピードが一気に加速します。
・奥歯は形が複雑でハブラシも届きにくいことから、歯垢が溜まりやすく、磨き残しも多くなり、虫歯の再発を繰り返しやすいのです。
・予防歯科と言えば、歯科業界ではスウェーデンが有名です。しかし、かつては日本よりも虫歯や歯周病の患者さんが多かったという事実があります。
スウェーデンでは、国民の深刻な口腔環境を問題視した政府が1970年に国家戦略として予防歯科に力を入れました。
・スウェーデンの主な予防歯科推進対策
①メンテナンスの義務化
②乳幼児期からの歯磨き指導や予防
③オーラルフィジシャンの活用
・最も口臭に影響するのは舌苔(ぜったい)です。
舌苔とは舌の表面に付く苔上の白い細菌のかたまりです。舌苔を除去することが口臭現象につながります。
・人が食事で噛む力はおおよそ男性60kg、女性40kgで、1日約1800回も噛んでいます。つまり、歯には1年間で65万回も強い力がかかっているのです。その強い力を歯槽骨が支えています。
・「歯医者さん300人に聞いた歯の常識」で「もし自分の奥歯(大臼歯)を治療するなら、どの素材を選びますか?」と質問したところ、上位3つは「ジルコニア(33%)」「ゴールド(32%)」「セラミック(25%)」という結果になりました。(中略)
ジルコニア(保険外)
・歯を失ったときの光の使用法、
歯を失ったときの治療法は、大きく分けて「ブリッジ」「入れ歯」「インプラント」の3つあります。
・ブリッジとは(中略)
セメントで固定されて、取り外しの必要のない治療法ですが、奥歯のブリッジの10年生存率(10年後も問題なく使用できている割合)は32%と言われています。(中略)
両隣の歯の負担は通常の1.5倍以上になっています。(中略)
ブリッジは、使い勝手は悪くないのですが、両隣の歯の寿命を短くしてしまうのが難点です。
・入れ歯(中略)
食事のときの噛む力は、自分の歯のときに比べて30〜40%程度まで落ちてしまいます。
・インプラントの10年生存率(10年後も問題なく使用できている割合)は約90%になっています。
・ インプラントのデメリットは、保険が適用にならないことです。
・20本以上歯が残っている人と、多くの歯を失っても入れ歯をしていない人を比べると、1.9倍も認知症リスクが高まるというデータもあります。
・歯の喪失は噛む力の低下につながり、結果として生活の質(QOL)の低下を招くのです。
・ 8020非達成者は家でテレビを見ることに楽しみを感じている人の割合が高く、他者との関わりが少ない傾向にあります。
つまり、歯の残存本数は、人生の楽しみ方にも大きく影響するということです。
・虫歯治療は長持ちする材料を使ったほうが歯の寿命は伸びる(中略)
といった声が寄せられました。
✳︎補足:「歯医者さん300人に聞いた歯の常識」
・歯ぎしりは、歯科の専門用語で「ブラキシズム」と呼びます。ブラキシズムには、「グラインディング」「クランチング」「タッピング」の3種類があります。
このうち、最も歯を壊す危険性が高いのは、クレンチング、いわゆる「噛みしめ」です。
・ブラキシズムの種類
●グラインディング
上下の歯を無意識で左右に擦り合わせている
●クレンジング
上下の歯を強く食いしばっている。「噛みしめ」とも呼ばれ、音がしないので気づきにくい。
●タッピング
上下の歯をカチカチと何度も合わせている
・一番大切な歯磨きのタイミングは? (中略)
口の中の細菌は夜眠っている間に最も増えます。寝ているときは唾液の分泌量が減り、飲み物もとらないため、細菌が増殖しやすい環境になっているからです。
就寝前の歯磨きが不十分だと寝ている間に細菌が増殖し、起床時の細菌数は夕食後の30倍にもなります。
特に口呼吸の方は寝ている間に口の中は乾きやすいため、就寝前はしっかりと歯を磨くようにしましょう。
・歯を抜けたまま放置しておくと、抜けた歯の両隣が徐々に抜けた部分のスペースを埋めるように傾きます。
・歯ぐきにできたおできを放置してはいけない(中略)
歯ぐきにできるおできのことを「フィステル」と言います。「サイナストラクト」「瘻孔(ろうこう)」とも呼ばれます。その正体は「膿の出口」です。歯の根っこ(歯根)付近の歯ぐきにできます。
(中略)
フィステルは自然に治ることはなく、放置すると内部に膿が溜まり、どんどん悪化します。
・歯根の内部をキレイにする根管治療です。針のような器具を使い、細菌に汚染された神経や以前の古い根を薬で除去して根の内部を清掃・消毒します。
・根管治療の流れ
1 古いかぶせ物や土台を外す
2 内部の感染した薬や虫歯を除去
3 消毒する(数回消毒を繰り返す)
4 新たに薬を詰める
・ハブラシで落とせる汚れは約60%
・次にあげる5つのポイントを意識すれば磨き残しは大幅に減ります。
①小刻みに動かす(中略)
②持ち方と力加減(中略)
ハブラシは軽く持ち、歯と歯ぐきの歯茎に過剰な力をかけないで磨きましょう。(中略)
③磨き始めは苦手なところから(中略)
④歯と歯ぐきの境目にハブラシを当てる(中略)
⑤最低1日1回はフロスや歯間ブラシを
・正しい歯磨きのポイント
毛先を歯と歯ぐきの境目に向けて当てる
45°
毛先が広がらない軽い力で当てる
小刻みに動かす
5〜10mm
・自分の状態に合ったハブラシの選び方(中略)
歯周病を指摘されたり、歯ぐきの出血や腫れが起こりやすい人はテーパー毛、そうでない人は汚れが取りやすいラウンド毛を選ぶといいでしょう。
・ラウンド毛とテーパー毛
ラウンド毛
毛先が丸くなっている
テーパー毛
毛先が細くなっている
・ハブラシを交換するタイミング(中略)
基本は1か月ごとに新品と交換するといいでしょう。
・「歯医者さん300人に聞いた歯の常識」で「ハブラシは『手用』『電動』ではどちらがおすすめですか?」と質問したところ、「手用」が42%、「手用メイン、電動併用」と「電動メイン、手用併用」どちらも24%、「電動」が10%という結果になりました。
・電動は最低でも1万円以上のものを選ぶ(中略)
効果を考えると、乾電池式よりは充電式、最低でも1万円位もぐらいはするものを選ぶといいでしょう。
・マウスウォッシュは歯磨きの代わりにはならない
・フッ素入りの歯磨き粉(中略)
フッ素の効果を高めるには、歯磨きのあとのうがいは1回にしましょう。
・歯周病は早産のリスクを高める
・最も早く失いやすい歯は奥歯です。理由は磨きにくく虫歯や歯周病になりやすいこと、そして噛み合わせの力が大きく、負担がかかるためです。
・マスク生活は顔立ちにも影響する
口呼吸になりやすく、唾液の分泌量が減る(中略)
さらに怖いのは、「アデノイド顔貌」になってしまうことです。アデノイド顔貌とは、鼻とのどの間にある咽頭扁桃(アデノイド)が肥大して鼻呼吸ができなくなり、常に口呼吸となった結果、「口元が前に出ている」「二重あごになりやすい」「丸みを帯びた顔になる」などの特徴が現れることです。
・スウェーデン人は80%以上が歯科医院でメンテナンスを受けているのに対して、日本人は10%以下しか受けていません。
・歯の寿命を延ばすためには、悪くなったら治療を受ける「治療型」から、悪くなる前にメンテナンスをする「予防型」シフトするべきです。
・「歯医者さん300人に聞いた歯の常識」で「理想的なメンテナンスの頻度は?」と質問したところ、8割以上の歯科医院が「3か月に1回」と回答しました。
・ 20歳時点と60歳時点で同じ噛み合わせの人はいません。
噛み合わせのバランスが崩れ、特定の歯に負担がかかると、突然歯が折れて抜歯になりやすくなります。
・信頼できる歯科医院を見分けるポイント
①丁寧に説明してくれる(中略)
②歯周病の検査と治療を提案してくれる(中略)
③治療時に拡大鏡を使用している(中略)
④衛生管理を徹底している(中略)
⑤学会や勉強会に参加している
・「ホワイトニング歯磨き粉」と謳っている歯磨き粉も基本的には、歯に付いた着色の除去だけとなります。
つまり、表面だけで根本的には白くなっていないのです。
特に注意してほしいのは、研磨剤が多く含まれている歯磨き粉で強く磨くと、歯の表面が傷ついて、食べ物や着色料の色が付きやすい状態になってしまうことです。
・ホワイトニングには「ホーム」「オフィス」「デュアル」の3つの方法があります。(中略)
ホワイトニングの方法
①ホームホワイトニング
お口に合った専用のトレーをつくり、そのトレーに薬液を入れて自宅で行うホワイトニング
②オフィスホワイトニング
薬液と特殊なライトを当てて行うホワイトニング。歯科医院で行います
③デュアルホワイトニング
ホーム+オフィスの両方を併用して行うホワイトニング
・シェードガイドと比べると白さのレベルがわかる
W1〜2
自然な白さを超えた色
A1〜2
「歯がキレイ」「歯が白い」と思われる白さ
A1
B2
D2
A2
A3〜3.5
日本人の平均的な色
A3
D3
B3
A3.5
・歯並びを治すのは、見た目の改善だけでなく、歯磨きがしやすくなったり、噛み合わせのバランスが整うというメリットがあります。
つまり、歯並びがキレイになることで、歯周病や虫歯の発生が抑えられて歯の寿命にプラスの影響があるのです。
・お口をキレイにすると病気の回復が早い(中略)
千葉大学医学部附属病院が実施した調査では、お口の環境ケアすることで、「消化器外科」「心臓血管外科」「小児科」「血液内科」など、8つの診療科で入院期間が10%以上も減ったことが示されました。
・口内環境の改善は感染症対策につながる(中略)
歯周病になってる人のほうがインフルエンザの感染率が2倍以上高くなっていることが確認されています。
・治療のトラブルを回避するために(中略)
現金だけでなくカード払いやデンタルローンの利用はできるのか、最初に一括で支払うのか、分割が可能なのかを確認してください。
また、医療費控除が適用になる治療かどうかも聞くとよいでしょう。
・治療のトラブルを回避するために(中略)
歯科医院によっては保証制度を用意しているところがあります。保証の有無やどういうケースで保証が効くのか、保証期間は何年なのかを事前に把握しておくとよいでしょう。
・人生の結果は、知っているか、知らないかの少しの違いで大きく変わることがあります。
誰でも1度や2度は「もっと早く知っていれば……」と思ったことがあるのではないでしょうか。
・歯を失ってから、「もっと早く対策すればよかった」と後悔するのはもったいないと思います。
●書籍『大人女子のためのデンタルケア事典』より
一般社団法人歯の寿命をのばす会 (著)
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